昨年入れ替え戦に勝利してギリギリのところでJ1残留を決めた柏は、2005シーズンを始めるにあたって『1ケタ順位』を目標に掲げていた。わかりやすく言えば、今季から18チームになるJ1リーグで半分より上であることを目指したわけだ。
開幕前に獲得したのはFW安永、崔、李、MFクレーベル、DF土屋、即戦力候補のMF鈴木、小林亮の7人。このうち登録の関係上、崔のデビューは3月19日以降となったが、開幕戦では土屋、安永、クレーベルがスタメン出場を果たした。その川崎F戦、5年ぶりのJ1の舞台に堅くなった相手を圧倒。しかし再三のチャンスを決められず、途中交代の山下のゴールのみで1-1の引き分けにに終わった。後半33分に先制点を挙げ、残り時間も川崎Fを圧倒しながら追加点を上げられなかった柏は、終了間際に追いつかれ勝点2を逃す詰めの甘さを見せた。この試合で見られた詰めの甘さは、その後の試合でも随所に見えた。
チャンスを作りながらも決めるべきところで決められず、流れを失う試合が多く、リーグの約3分の1である12節を終了した段階の成績は、2勝4分け6敗で17位。失点は17(リーグ9位タイ)とそれほど多いわけではないが、得点は9でリーグ最下位の成績だ。
リーグ戦に限って言うと、FWの選手では山下、安永がそれぞれに1ゴールを奪っているだけに過ぎない。何よりも柏のエース玉田が無得点であることが、チームが波に乗れない要因のひとつといえるだろう。
◆再開後の展望・見どころ
中断明けの7月に向けて、柏は10日間の新潟キャンプを実施した。ここではフィジカルを強化する第1クールと、戦術を強化する第2クールに分けられ、ハードなトレーニングが繰り広げられたようだ。このキャンプに入るに当たって、早野監督の下で確認されたことは、「結果は出ていないが、やってきたことに間違いはない。意識を再統一して、戦おう」ということ。キャンプには小野寺社長も同行しており、早野監督をバックアップしている。
こうしたことを考えると、再開後の柏の戦い方に中断前との間で大きな変化はないと思われる。J1リーグは再開直後の2週間で5試合をこなすハードスケジュールとなるが、柏は13節の広島戦、14節の大分戦とホーム連戦でリーグを再開する。本来ならばホームでスタートできることは有利な材料となるが、柏は今季のホームで3月19日に勝利して以来、勝ち星なしの状況が続いている。ホームの理はあまり期待できないだろう。
また不安材料としてあげられるのは、負傷者が多いという点だ。6月22日現在、別メニューで調整中の選手が主力組に目立つ。GK南、DF土屋、中澤、波戸、近藤、MF明神、リカルジーニョ、クレーベル、田ノ上、FW崔、宇野沢…書き出してみると、今日のスタメン発表かと間違えるほど。ここから何人が試合に出場できるまでにコンディションを戻せるかが、リーグ再開後の成績を左右するだろう。
◆HOT6の注目選手
この中断期間中に日本代表として、招集された柏の選手は3名。ワールドカップのアジア最終予選とコンフェデレーションズカップを戦ったFW玉田、オランダで行われたワールドユース選手権の4試合にスタメン出場を果たしたMF小林祐、U-21代表のフランス遠征でツーロン国際大会に参加したFW矢野だ。矢野は、フランスからの帰国直後、ナビスコカップ6節・大分戦で今季初めてトップゲームに出場を果たし、新潟キャンプでは好調をアピールした。代表として戦う中で選手が得るものは多く、3人の中でチームの顔といえる玉田も25歳とまだまだ成長期。彼らが代表での経験をチームに還元すれば、大きな力になるだろう。既存の選手が結果を出せないでいるなか、サポーターからの改善要求も出たFWにはパリSGからブラジル人のレイナウドを補強したが、ここは若手の活躍にも期待したい。
もうひとりの注目選手は、ルーキーながら試合に出ればきっちりと仕事をこなし、即戦力の名に恥じない活躍ぶりを披露している小林亮だ。彼が先発としてプレーできる目処が立てば、チームにとって大きな戦力となるはず。サイドバックとしてはもちろん、センターバック、ボランチとオールマイティさを武器とする小林亮のプレーに注目したい。
◆再開後のフォーメーション予想
以上
Reported by 平山佳代