5月28日（土）ヤマザキナビスコカップ 第4節 東京Ｖ vs 広島（19:00KICK OFF/国立）
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広島は21日の川崎F戦を1−4で落とし、ナビスコカップ3連敗となってしまった。リーグでの好調さとは対照的にナビスコカップでは結果が出ておらず、数字上は可能性が残っているものの、現実的には予選突破の門は閉まりかけている。そんな広島にとってこれからの残り3試合は、決勝トーナメント進出へのわずかな可能性を残していくことももちろん大事だが、7月から再開されるリーグ戦にいい形で繋がるようにしていく方が賢明だ。広島はその点を踏まえ、次の東京V戦をステップアップのための踏み台にしたいところだ。

広島は東京V戦にいいイメージを持っている。4月13日のリーグ戦第5節で今季初白星を挙げた縁起のいい相手だということもひとつあるが、なによりその試合が今後を戦っていく上での転換点となったからだ。今季は4バックを試し、いい内容を見せながらも結果の出ていなかった広島だが、この試合で前線に3枚置く4−3−3から大木をトップ下に置く4−4−2に代えると、これがピタリと当たって4−1の快勝。開幕から1カ月で方向性が決まった広島は、このあとリーグで旋風を巻き起こし、現在は2位まで浮上している。選手たちも、ターニングポイントにこの東京V戦を挙げており、28日の試合にも自信を持って臨んでくるだろう。

東京V戦では広島の動力源である右サイド2選手のうち、中盤の茂原は出場停止明けで帰ってくるが、サイドバック駒野の出場は微妙。ただ、勝敗を考えれば多くのアシストを記録している駒野の欠場は痛いが、個人的には駒野不在でどこまでやれるか見てみたい。1年というスパンを考えれば、この先、主力の欠場はどうしても出てくる問題。選手層が厚いとは言えない広島は限りある戦力でうまくやりくりするほかないし、この時期に控えのメンバーからある程度計算の立つ選手が出てくれば、これからの戦いが楽になる。若手成長株筆頭の前田はワールドユースで欠場するが、川崎F戦で駒野の代わりとして大抜擢された森脇など、広島の誇るユース世代の奮闘に期待したい。

対する東京Vにとってこの試合は、予選突破に向けて重要なものとなる。勝ち点4の東京VはG大阪（勝ち点7）、川崎F（勝ち点5）と三つ巴の争いに持ち込むために、とにかく結果が求められる。上位2チームが潰し合う今節で勝ち点3を上乗せしたい。しかし、ここで相馬が出場停止なのは痛い。司令塔タイプばかりがピッチに並ぶ東京Vにあって、ドリブル突破を仕掛けてクロスを上げられる相馬は異質で、パスワーク主体のチームにアクセントを付ける唯一無二の存在。東京Vはこのレフティーがいないと、ボールをだらだら回すだけの展開に陥りやすい。

苦しいときのエース頼りと、得点源のワシントンに期待したいが、そのワシントンが得意のペナルティエリア内で仕事にありつけていたのも、相馬の活躍によるところが少なくなく、その欠場はチームの得点力に大きく響くことだろう。スーパーサブ森本をワールドユースで欠くのもアルディレス監督には悩ましいところ。腰痛で戦列を離れていた小林大が戻ってくる可能性があるのは朗報だが、果たして。東京Vが相馬不在をどう克服するか見ものだ。

立場は違えど、ともに重要なこの一戦。ともにベストな陣容ではないため、凡戦の可能性もあるが、そういう状況でこそ新しい何かが生まれる可能性もある。その何かに期待して、28日、19時キックオフの時間を待ちたい。

以上

2005.05.27 Reported by 神谷正明