国際親善試合〜FIFAワールドユース選手権大会 オランダ2005 壮行試合〜
5月24日(火)16:20キックオフ/豊田ス
U-20日本代表 vs U-20チリ代表
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22日から愛知県内で始まったU-20日本代表合宿。今回の合宿は、試合後に場所を移して31日まで行われる。期間中は24日には壮行試合のチリ戦、28日にはワールドユース選手権のためにオランダへ行く最終メンバー発表を行う。本番前最後の実戦と、本当のサバイバルレースを含む最後の合宿だ。
今合宿招集は29人。前回の熊本合宿には招集されなかった故障あけの吉弘充志(広島)、杉山浩太(清水)、梶山陽平(F東京)、所属クラブでAFCチャンピオンズリーグに出場のため合宿を途中で切り上げたカレン ロバート、船谷圭祐(以上磐田)、バックアップメンバーとなるであろうGK山本海人(清水)が招集されている。
それが合宿中の28日に21人に絞られるのだから、今合宿ではシビアな戦い、まさにサバイバルレースが展開されるのだ。
そして本番前最後の実戦となるのが、24日に豊田スタジアムで行われるチリ戦だ。前日となった23日、チームは15時から約1時間半の練習を行い試合に備えた。
「やるべきことを確認しつつ、チャンスの場も与える」というのが大熊監督の考えるチリ戦だ。チリ戦は、ワールドユースの初戦で対戦するオランダを意識した戦いをすると明言しており、この日のミニゲームでは4バックを試した。4バックでワールドユース南米予選4位のチリと対戦して、どのような「やるべき課題」を見つけるかが1つ目のテーマとなる。
先発が予想される組に入ったのは
GK 西川周作
DF (右から)中村北斗、水本裕貴、増嶋竜也、高柳一誠(→伊野波雅彦)
ボランチ 伊野波(→兵藤慎剛)、本田圭佑
アウトサイド (右から)カレン ロバート(→水野晃樹)、家長昭博
トップ下 兵藤(途中からなし)
FW 平山相太(途中からカレンと2トップ)
コンディションの良さ、ゴール前でのキレを見せたのはカレン。右サイドに入った前半は相変わらず守備に負われることが多くボールタッチ自体さほど多くもなかったが、平山と2トップに入った後半ゴール前でシュートを放つなどFWらしい動きを見せた。このチームでは発足以来コンスタントに招集されながらいまだ0得点。しかし、今年に入りJリーグですでに4得点をあげており、今や磐田の若きエースに成長しつつあるカレン。「ビデオを見るとよくなっているようだ。先輩や助っ人外国人のいないこのチームで、どれだけできるかを見てみたい」と大熊監督。4月の国内合宿、先の熊本合宿と磐田での試合スケジュールを優先させてきた彼が、代表0ゴールの記録を払拭できるのか、注目の価値はある。
「チャンスを与える場」というこの試合のもう1つの意味で、まず混戦模様なのがボランチ。1月のカタール国際大会でそれまでのストッパーとしてでなくボランチとして定位置を確保しつつあった吉弘が、3月のサテライトリーグで負傷。全治3ヶ月と言われた負傷とリハビリを乗り越え、本番前に滑り込みでこの合宿メンバーに入った。「間に合うって言われたので、必死に治そうとした」(吉弘)。ディフェンスのできる大型選手を欲しているポジションだけに、コンディションさえよければ彼の存在(181cm)は重要になる。チリ戦ではどのような形でチャンスが与えられ、どのような戦いを見せてくれるだろうか。「以前のようなプレーをどれだけ思いきって出来るか」と吉弘。ただ彼が負傷した箇所(右足第五中足骨)は、デリケートで負傷しやすい箇所だけに、長いサッカー人生を考えた選択がなされることを望みたい。
その吉弘と対抗馬になるのが同じく負傷あけの杉山。同じく攻撃よりディフェンスに力を発揮するタイプで、セットプレーではキッカーもできる。21日のヤマザキナビスコカップでは90分のフル出場を果たしており、すでに怪我への恐怖心はないが、彼も「いいアピールのためにいいコンディションを意識している」とまずは、コンディションが大事になる。
加えて、このポジションに4月の合宿から招集されているのが伊野波。鹿児島実業高出身の阪南大2年生。ユニバーシアード代表にも選ばれているが、これまでこの世代での招集歴はない。今大会直前の急成長株だ。持ち味は高い身体能力、特に打点の高いヘディング、そして「潰すのが仕事」というフィジカルの強さだ。「僕はディフェンスしか出来ない、ディフェンスの選手なので」と守備に自信を持つ。しかも運動量も豊富。フィットさえすれば面白い存在になりそうだ。
そして、そんな彼等とダブルボランチを組むことになりそうなのが本田。今年に入り、高校選手権での活躍など名古屋入り以前からなにかと話題豊富だが、彼もまた負傷により5/11の壮行試合第1戦・カメルーン戦(熊本)を辞退せざるを得なかった。「この合宿がどうではなく、6月10日にピッチに立つという強い信念でやっている」と相変わらずの強気なコメント。
2枚のボランチのうち攻撃的な役割を担うのは本田になりそうで、試合中にいかに彼とコンビネーションを合わせられるか。他のボランチ候補選手たちは、その順応性も見られる90分になりそうだ。
対するチリは南米予選4位でワールドユース本大会に向かう。先日のカメルーンは調整不足が目立ったが、今回は手応えのある相手となりそうだ。監督は「チリについては、あまりよく知らない」と言うが、サッカーは主導権を握っていようがいまいが、最後は1人で局面を打開できる選手がいれば変わってしまうもの。南米のスピード、個人技を今一度体感し、本大会前に気を引き締めるチャンスでもある。
「現状考えられる最高の相手」と大熊監督。ある程度叩きのめされても、あくまで照準を合わせる先は6月10日。確認と選考の場であるチリ戦。6月10日にこの日を振り返って「あれは良い試合だったよね」と言えるような、ひとつの通過点となることを願いたい。
以上
2005.05.23 Reported by 了戒美子
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