5月4日(水) 2005 J1リーグ戦 第10節
F東京 0 - 2 鹿島 (16:03/味スタ/40,300人)
得点者:'17 本山雅志(鹿島)、'41 本山雅志(鹿島)
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40,300人・・・味の素スタジアムの今季最多観客数となったFC東京vs鹿島アントラーズ。気温は21度で風はほとんどなく、心地よい行楽日和、家族連れの姿も多く見られた。
そんな中、あきらかに違って見えたのがF東京のゴール裏だ。選手がアップのためピッチに現れた瞬間始めた応援を、そのままずっと続け「ここぞ」という特別な日の応援を見せた。その様子に気がつき東京のフロントスタッフ、そして選手も・・・目をそちらに向けパワーを受け取る。そして誰よりそのパワーを強く受け取ったのは他でもない原監督だろう。
いつものように選手のアップの様子を見に出てきた原監督はまず、いつもと違うサポーターの様子に気がつきハッと振り返って見つめた。「全力で応援してくれてるサポーターに応えられるように戦いたい」と話した。
けが人続出(三浦、藤山、金沢、ルーカス、戸田、鈴木規など)、そしてチーム最悪の5連敗で迎えたこの試合、ホームF東京は、GKに土肥、DFに加地、ジャーン、茂庭、迫井、MF今野、宮沢、石川、栗澤、馬場、そしてFWに近藤祐介といった顔ぶれ。一方こちらもけが人続出で、主力のアレックス・ミネイロ、野沢、フェルナンド(警告累積でもある)や深井などが出場できない状況の鹿島、スタメンはGK曽ヶ端、DFアリ、岩政、大岩、石川、MFに青木と小笠原がダブルボランチを組み、増田、本山、FWに鈴木、そして初スタメンの興梠という組み合わせ。
「すべてはあの1点目」と両チームの選手が試合後にあげた得点は前半の17分に生まれた。左サイドから出された鹿島の石川選手のボールにゴール前の興梠選手が頭であわせるもバーに当たる。そのこぼれたボールを捕らえたのは本山選手、頭でゴールに押し込み先制点。そこまで勢いのあったF東京も少しづつその様子が変わっていく。そして41分にはまた興梠選手が放ったシュートがバーにあたり、跳ね返ったボールを本山選手が勢いのあるシュートでゴールに突き刺し追加点。2−0で前半を終えた。「いろいろ注意点はあるけど、やっぱり小笠原」と試合前に原監督が一番警戒した小笠原選手を中心とした鹿島の選手に中盤を支配される。
後半に入り、原監督は早いタイミングで交代をしかけていく。5分には馬場選手に代えてダニーロ選手を、12分には迫井選手に代えて小林選手を投入する。一方の鹿島は「約束事」を徹底した試合運びを見せる。25分には興梠選手が右足を痛め本田選手が投入された。続いて動いた原監督は足を痛めた様子の近藤選手を下げ、DFの増嶋選手を投入しジャーン選手を最前線に上げるなどしたが、一矢報いることができず2−0のまま試合は終了、鹿島が首位の実力を見せ勝利、F東京はチーム最悪の6連敗となった。
2得点を演出した「ヒーロー」でもある鹿島の興梠選手は、試合後痛々しい姿でロッカールームから現れた。スタッフに両肩を支えられ、痛めた右足を地面につくことが出来ない状況、自分で立っていることすらできない状況、急遽椅子が用意されインタビューが行われた。「シュートは決めたかったけど、自分のプレーには満足しています。点にからめたことは良かったです」とその痛々しい姿と逆に表情は笑顔を絶やさなかった。「伸び伸びやっていた」と小笠原選手も、「前でよく動いてくれた」と本山選手も高卒ルーキーの活躍に笑顔を見せたが、試合中にも「のびのびやれ、思いっきりやれ」と二人からは声がかかり、その声こそが興梠選手のなによりもの自信とパワーになっていたのではないだろうか。
一方これで6連敗と・・・連敗記録をまた重ねてしまったF東京。当然試合後の選手の表情は一様に暗い。「何が悪いのか・・・わからない」という茂庭選手をはじめ、どの選手も口も足取りも重かった。「もうちょっと最後のところを落ち着いてやれれば・・」と加地選手が話したが、この試合、F東京の放ったシュートは13本、鹿島は8本。バーに当たったボールをシュートに持ち込み2点を決めた鹿島と、バーに当たったボールはそのまま鹿島に拾われたF東京・・・。この日、メインスタンドから向って左側のゴールのバーも、鹿島に味方したようだ。
試合後、F東京のサポーターは引き上げる選手たちに「You‘ll never walk alone」を歌って背中を押した。メインスタンド前を歩きながら何度も茂庭選手が振り返ってその様子に目をやった。まさかの6連敗に悔しさと、悲しさと・・いろいろな感情にさいなまれたF東京の選手には、その声はどう響いたのだろうか。
4日後、中3日ですぐに次の試合はやってくる。
以上
2005.05.05 Reported by 日々野真理
以上
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