9月11日（土）J2 第33節 川崎Ｆ vs 大宮（19:00KICK OFF/等々力）
-リアルタイム速報はこちら-
-スターティングメンバーは、試合開始約2時間前に各試合のスコアボード「試合詳細」に掲載されます-
----------

川崎Fの選手たちは表向き、平静を保っている。

あえて口には出して来てはおらず、それについての質問に対しては慎重な言動を繰り返していた。ただそうした表の対応の裏で、選手たちはシーズンの早い段階から「昇格」について意識していたのだという。2位以下を大きく引き離してきた今季のこれまでの戦いを見ていれば、それは自然なことでもあった。

　前節の甲府戦を終えて、1日というタイムラグがあって、ようやく周りが騒ぎ始めた。ただ彼らにしてみると、シーズンを通して当たり前に覚悟してきたことであり、次節を勝てば昇格条件をクリアする所までこぎ着けたとしても、何かが変わる、というものでもなかった。
「ずいぶん前に自分たちが考えてきた所に、ようやく周りが追いついてきた感じです」と、箕輪義信は語る。後続集団に大きく勝ち点差をつけた今季の戦いの中で、彼らはすでに自分たちの中で「昇格」というものについて消化しており、視線はさらにその先を見てきたのだという。実際、練習場で選手たちに話を聞く中で彼らの表情をうかがっていたが、平常心を保っていた。

　そうした精神状態で、いよいよ川崎FがJ1への昇格条件である2位以内確定に王手をかけた。
「この大宮戦で勝利すること」
　他会場を意識する必要はない。ただ、目の前の試合に集中すればいいという状況だ。川崎Fの今季のホームゲームでの強さは、ずば抜けたものがある。気がつけば今季だけでホーム16連勝。昨シーズンも含めると現在21連勝中であり、単年度、複数年度の両方でJ2のホーム連勝記録を更新中である。今節はジュニーニョ、アウグストという2人の外国人選手が出場停止処分を受けているのが気がかりだが、どの選手に聞いても「もし勝てなかったときに『あの2人がいなかったからだ』と言われたくないから、なんとしても勝ちたいです」と話しており、そうした反発心がプラスに作用する部分もあるだろう。川崎Fとしてみれば、なんとしてもこのホームで勝利し、サポーターの前で2位以内を確定させたい。

　そんな川崎Fの心配の種となりそうなのが、対戦相手が大宮だという点。川崎Fにとっては非常に難しい相手だといえる。川崎F・関塚監督は「今季の2試合が（大宮にとって）ともにいい試合だったので、来ると思います」と述べている。今季の2度の対戦を振り返ると、いずれも川崎Fが苦戦していた。前回の対戦で大宮はフォワードをタテに並べ、中盤を厚くしてボール支配率を高めることに成功。川崎Fを押し込んでいた。三浦監督はその成功体験を踏襲するのだろうか。それとも試合開始からバレー、トゥットの2トップを採用してくるのか、注目のポイントである。

　トップの布陣が気になる一方、大宮のここまでの戦績を支えてきた金澤慎、斉藤雅人というボランチも忘れてはならない。この2選手の攻守における連携は見事で、お互いの能力をうまく引き出しあっている。川崎Fの中村憲剛は、ボランチのせめぎ合いがボール支配率を左右してくるのではないか、と話していた。

　振り返れば、大宮は去年の新潟、一昨年の大分と目の前で昇格を見せつけられてきた悲運のチームでもある。そうした過去があるので、選手たちが「悔しい思いは繰り返したくない」と考えているのは当然のこと。注目が集まる試合ということも含めて高いモチベーションの中での試合となるだろう。
　20節以降、13節連続で2位チームが勝てないという記録が続いているが、川崎Fのホーム連勝記録も含めて途切れない記録はない。昇格を狙う大宮とすれば、ライバルチームとの競争の中で、この試合をものにして勝ち点を積み上げておきたいところだ。
　お互いがお互いの立ち位置から激しくぶつかり合う激闘が期待されるが、川崎Fの選手に聞くとどの選手も「1-0」という最少得点差での決着を予想していた。さて、試合を終えて笑顔をこぼすのはどちらのチームになるのだろうか？

　ちなみに川崎Fが前回ホームで敗れたのは、昨シーズンの第32節のこと。0-1という結果に終わったその対戦相手は、大宮である。

以上

2004.9.10 Reported by 江藤高志
-11日、川崎フロンターレの昇格内定の条件は？レポートをチェック！-