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【J2:第32節 鳥栖 vs 福岡 レポート】九州ダービーは、スタジアムが一体化した鳥栖が制す(04.09.05)

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【J2:第32節 鳥栖 vs 福岡 レポート】九州ダービーは、スタジアムが一体化した鳥栖が制す
9月4日(土) 2004 J2リーグ戦 第32節
鳥栖 1 - 0 福岡 (19:02/鳥栖/9,565人)
得点者:'25 伊藤彰(鳥栖)
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 試合開始前からこの日の鳥栖スタジアムは熱気に包まれていた。

 鳥栖が勝てば、12試合ぶりの勝利。対福岡戦となれば、2002年8月10日以来、約2年ぶりとなる。しかし、この熱気はそれだけではない。サポーターの呼びかけによる、25,000人動員計画のせいでもある。いつものホームゲームでは約3,000人程度しか集まらないスタジアムにこの日は9,565人の入場者があった。試合開始前のアップの時から気勢が上がるサポーター。ダービーマッチということで、福岡サポーターも負けじと応援に熱が入る。前座試合では、福岡のチームを招待してサガン鳥栖U-12と対戦させるという演出で、会場全体を盛り上げる。この雰囲気の中で戦う鳥栖選手たちが、燃えないはずはない。

 松本監督の作戦は明解だった。福岡の武器である『サイド攻撃を押さえる』ことと、『前線からの早いチェック』を行うことだった。

 テクニックとスピードがあるサイドMFには朝比奈伸と中村祥朗が徹底的にマークし、簡単にセンタリングを上げさせない。高さがあるFWには山道高平がマークについて仕事をさせない。さらに佐藤陽彦が1枚余ってDFのカバーを行うという、徹底したマンツーマンディフェンスを敷いてきた。ボールの出しどころを消された福岡は、DFとMFの間でただひたすらボールを回すのみとなっていた。その上、鳥栖の3トップがそのボールを執拗に追いかけるため、ボールはキープされていてもゲームの流れは鳥栖が完全に支配していた。

 先制点は前半25分に生まれた。自陣で奪ったボールを左サイドに開いた竹村栄哉にすばやく渡す。FKのために前線に上がっていた福岡のDF陣が戻りきらないうちに中央を駆け上がった伊藤彰にパスを通すとGKとの1対1の局面となる。ここで百戦練磨のベテランは落ち着いて左足でゴールの中にボールを流し込んだ。歓喜するサポーター。抱き合って喜ぶ選手たち。松本監督のガッツポーズもいつもより大きく見える。欲しかった先取点。3試合ぶりの得点でもある。決定力に難がある福岡にとっては、やってはいけない得点でもあった。

 後半開始から福岡は太田恵介を投入し、増川隆洋との高さのある2トップでパワープレーに転じてきた。
 
 狙いはハッキリしたのだが、鳥栖の執拗なマークに思うようにボールが渡らない。中盤でのパスワークも雨のピッチでは足元を取られ正確性に欠ける。状況を打破しようと76分には若い有光亮太を送り込むが、流れは変わらない。焦りからなのか無用なファールが多くなり、つかみかけたチャンスも鳥栖に返してしまう悪循環に陥ってしまった。交代カードを使い切ってしまった福岡は、最後まで流れを変え切れず終了のホイッスルを聞くことになる。

 徹底したマンマークに前線からの早いチェックを仕掛け、奪ったボールはシンプルに前線に預ける鳥栖。中盤を支配しながらでも決定力を欠き、逆襲を許す福岡。今季の両チームを象徴する内容だった。
 
 松本監督は『選手に集中力がよみがえった』と会心の勝利に笑顔でコメントを残し、松田監督は『どこに負けても1敗は1敗。次節にこの敗戦を活かす』と悔しさをにじませた。

チーム存続に揺れる鳥栖。試合後、古賀社長のクラブ経営についての記者会見があり、株主との懇談会を開催する意向があると発表された。サポーターと選手、フロントと現場スタッフ、株主と経営陣、それぞれが同じ目的を持って戦うと自ずと結果が現れるということを示してくれた試合であった。

以上

2004.09.05 Reported by サカクラ ゲン
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