8月29日（日） 2004 J2リーグ戦 第31節
横浜FC 0 - 0 仙台　（19:04／三ツ沢／2,433人）
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雨の中で行われたゲームは0-0のドロー。しかし記者会見場に響く声の大きさが両監督、両チームの現況を表していた。

後半こそ小降りになったものの、前半は激しい雨が降る中での試合。仙台にとっては開幕戦に0-4で敗れた苦い思い出がある三ツ沢で、上位に食らいつく勝利が欲しいところ。ベルデニック監督は前節、根引の出場停止の穴を埋めた小原を引き続きバックラインに起用。注目されたFWは大柴、中原、佐藤の3トップで臨んだ。対する横浜FCも今シーズン初となる連勝を狙ってのゲーム。メンバーに大きな変動こそないものの、こちらも終盤戦の巻き返しに向けて、緊張感ある試合内容が期待された。

ほぼイーブンペースで進んだ前半、ボールの支配率で上回ったのは横浜FC。特に右サイドに配置された臼井はこの日も再三にわたって仙台陣内に侵入。しかしこの臼井、そしてボランチのマシュー、内田らがボールをゴール前へ運んでもそこからの展開力が意外性に乏しく、仙台のディフェンダーが慌てる展開に持ち込めない。残念ながら今年の横浜FCの特徴的なシーンが前半から繰り返されてしまい、ボールを支配するもののゴール前で決定的なシーンが生まれない。対する仙台も時折鋭いカウンターで対抗、特にボールを奪ってからの攻守の切り替えの早さで何度かゴールの可能性を感じさせるシーンもあったが、結果的には前半のシュートはわずかに2本、特に中盤の選手たちのポジショニングが徹底されておらず、セカンドボールの働きかけにおいて後手を踏むシーンが多く、こちらも修正点が多い前半となってしまった。

後半に入ると、仙台は見事に前半戦の悪い部分の修正に成功する。シルビーニョ、千葉のボランチ陣の連係が噛み合いはじめ、横浜FCが守備に追われる時間が多くなっていく。しかし横浜FCも、今季は常に奮闘が目立つ守備陣が今日も根気よく仙台の攻めに対応し、決定機を作り出させない。特にトゥイード、山尾のセンターバックの2人は今日も素晴らしい連係を見せていた。仙台も攻め続けるものの、その流れに閉塞感が出始めるといら立ちからか警告を受ける選手が増えてきてしまう。そして81分には最前線でゴールの可能性を追い続けていた中原がこの日の2枚目の警告を受け退場になってしまい、攻めの勢いも落ちることに。

中原の退場で数的優位となり横浜FCが攻勢に出るかと思われたが、仙台も浮き足立つことなく大きな流れの変化も生まれぬままそのまま試合終了。微妙な空気の中で試合終了のホイッスルが鳴らされた。

試合後の会見場で声がよく響いていたのが、仙台のベルデニック監督。後半はゲームを支配しながら退場者を出したことでゴールを生めなかった。悔しさは残るものの、9試合連続で失点を続けていた守備陣の安定感が今後への大きな収穫となった。ベルデニック監督の声を大きくさせた要因がもう一つ。大宮、福岡が敗れたため2位までの勝ち点差が5に縮まったのである。不満は残るものの、確実に勝ち点1を稼ぎ出し今後へ可能性を残した事実はベルデニック監督が前向きにコメントを発するに十分な要件であろう。その前向きな姿勢はミックスゾーンの選手たちからも感じとれた。

対する横浜FCのリトバルスキー監督は少々元気がないように見えた。特にリトバルスキー監督も例えに挙げたが、J2得点ランキングトップのジュニーニョ（川崎）の31得点よりも、横浜FCの総得点（30点）が低い現実は「攻撃力がない」というレベルでは片付けられないであろう。安定した守備陣に対し、攻撃陣の元気のなさが目立つ横浜FC。選手たち、そしてリトバルスキー監督は日々の練習からこの修正点を克服しようと様々なトライを続けていることも事実。実際にスタジアムでその効果が出る日をひたすら待つしかない。

記者会見場を出ると、試合以上に激しい雨が三ツ沢のピッチを叩いていた。J2は厳しいスケジュールの8月を終え、次節からはいよいよ9月に突入。この日の両チームの雰囲気がそのままシーズンの最後まで続くとは思えない。両チームにとってまだまだ正念場の戦いは続いていくはずだ。

以上

2004.08.29 Reported by 小島耕