横浜FM 2 - 1 磐田 (14:02:横浜国) 入場者数 43,283人
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わずか5分足らずで、3クラブの命運は180度転回した。ある者は勝者から敗者へ、またある者は敗者から勝者へ…。今日の勝利の女神はいつになく気まぐれだった。最初は磐田に、次に鹿島に微笑みかけたと思ったのに、彼女はすぐにそっぽを向いてしまった。そして最後に微笑んだ相手は、横浜だった。
勝てば文句なしに優勝、仮に引き分けても2位・鹿島が5点差以上で勝たなければ優勝が決まる首位・磐田。対して、その磐田に勝った上で、なおかつ鹿島が引き分け以下に終わらなければステージ制覇の芽がない横浜。試合前は、磐田の圧倒的有利と予想する向きが多かった。そしてその予想は、試合終了のホイッスルが鳴る直前までは決して外れていなかった…。
立ち上がりから得意のポゼションサッカーで主導権を握った磐田。開始わずか2分、敵陣左サイドで前田が粘ってキープしたボールがジヴコヴィッチへ渡り、ゴール前へクロスを送る。これを待ち構えていたグラウが左足で合わせ、スタンドが落ち着く間もなく先制点を挙げる。さらに、その13分後には相手GK榎本哲がグラウへの乱暴行為で一発退場。この時点で、磐田の優勝は決まったと思われた。
だが、何かが違う。相変わらずボールをキープして中盤でパスを回すのだが、そこから前に進まない。1点のリード、そして数的優位の状況で王者としての余裕を見せ始めたのだろうか? そうではなかった。「(リードして数的優位で)安心というより、勝たなくてはという気持ちで最終ラインが落ち着きがなく、それがプレッシャーになった」(柳下監督)、「消極的なプレーになってしまったのが敗因。みんな冷静にやっていたつもりだが」(田中)─。有利な状況が皮肉にも磐田イレブンを硬直させ、運動力は目に見えて落ちていった。
ライバルの心の機微を、横浜の選手たちが見逃すはずもなかった。奥は「(磐田は)パスを回しているだけで、怖いという感じじゃなかった」、松田も「1人少ないイメージじゃなかった」。そして後半開始から5分、横浜は得意のセットプレーで試合を振り出しに戻す。左CKをニアの久保がヘディングシュート。キーパーがはじいたこぼれ球をディフェンダーが蹴り出そうとしたのだが、クリアが小さく、ゴール前に詰めていたマルキーニョスがこのボールを頭でゴールに押し込んだ。
しかし、横浜は同点では優勝できない。逆に磐田は引き分けで十分。逆転優勝を狙う横浜が攻勢に出るが、ゴールネットを揺らせずに時間だけが過ぎてゆく。そして試合は3分のロスタイムへ。だれもが磐田の優勝を確信したとき、横浜にとって1つ目の奇跡が起こった。
ロスタイムに入って1分だろうか、磐田ゴール前に放り込まれたロングボールが、ディフェンダーとキーパーの間で大きく弾む。ここに久保がいた! “ドラゴン”がディフェンダーを制してヘディングシュートを試みると、ボールはキーパーの頭上を越えてゴールネットに吸い込まれていく。2対1。そしてタイムアップ。
横浜の優勝のためには鹿島が引き分け以下でなければいけないが、鹿島は終盤まで2対1と浦和をリードしていた。「鹿島の優勝か」。記者席では誰もがそう思っていた。
横浜のゲーム終了と同時に、大型スクリーンには浦和−鹿島戦の映像が映し出された。得点はどうなっているのか? 横浜の監督・選手、そしてファンが固唾を呑んでスクリーンを見つめる。スコアが表示される。2対2の同点! そしてそのまま試合終了を告げるホイッスルが鳴り、鹿島イレブンがピッチに崩れ落ちていく。横浜の1stステージ・2ndステージ両ステージ制覇による年間優勝が決まった瞬間だった。
埼玉スタジアムでは、横浜逆転の報を聞いた鹿島のトニーニョ・セレーゾ監督がベンチで喜びを爆発させていたという。しかし、それからわずか2分後、ロスタイムに痛恨の同点弾を浴びていた。横浜に2つ目の奇跡が起きていた。
史上稀に見る混戦となったセカンドステージを象徴するようなドラマチックな幕切れ。岡田監督は「選手たちは最後まであきらめずに、ひたむきさでチームのために戦ってくれた」、柳下監督は「勝ちたくて硬くなってしまった。ジュビロらしい試合ができなかった」と話した。わずかな精神状態が、勝者と敗者のコントラストを浮かび上がらせた。
スタジアムから新横浜へと帰る道すがら、店の内外を問わず祝杯を挙げる横浜サポーターの姿をあちらこちらで目にした。彼らも試合終盤まで、まさか美酒を味わえるとは思っていなかったはずだ。こんな劇的なシナリオ、どんな素晴らしいドラマだって敵わない。だからサッカーファンを辞められない。
2003.11.30 Reported By スポマガWORLD SOCCER
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