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【J2:第33節 栃木 vs 札幌】レポート:乱打戦を制して松本新体制の初陣を飾った栃木。強靭なメンタリティで札幌を退けた。(13.09.16)

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監督交代の劇薬は功を奏した。札幌に先制を許しても、2度同点に追い付かれても、外的要因に心を折られそうになっても、栃木の選手達は一度も屈することはなかった。最後まで拳を下ろすことなく戦い続けられたのは、強靭なメンタリティを備えた“希代のモチベーター”松本育夫新監督の存在が小さくない。
「勝ちたい気持ちは70歳になっても変わらない」
そう豪語した指揮官の熱が体の隅々まで沁み渡った選手達が、簡単に足を止めるはずがない。4‐3のスコアは堅守・栃木には不格好だが、この一戦で求められたのは勝利のみ。それを手に入れ、3カ月ぶりに「県民の歌」を歌えたのだから、贅沢は言えない。
「誇りというか、俺達はここにいるんだぞ、という意味を示せたと思う。松さん(松田浩元監督)が(栃木のサッカーを)築いたからこそ今日のサッカーができたし、そこに育夫さんの気持ちが入ったことでいいサッカーになった」
そう語った菅和範の言葉は、勝点3の意義を過不足なく表していた。栃木は新体制の初陣で「感動!」をファン・サポーターに届けることができた。選手、スタッフは最高の仕事をやってのけた。

思うようにポゼッションできないピッチコンディションを考慮し、栃木は前半の立ち上がりからシンプルに縦方向へボールを送り込んだ。意図した攻撃から8分、17分と、サビアが決定機を迎えるに至った。栃木が流れを掴んだかに思えたが、先制したのは札幌。ロングスローの流れから前田俊介がルーズボールを捻じ込む。本橋卓巳がGKのカバーに入るも実らず、18分に先手を取られてしまう。

失点後は試合が膠着し、互いに攻め手を見出せないまま時間が過ぎた。栃木はパスの質が悪く、奪ったボールを易々と相手に渡してしまう。一方の札幌も時折サイドから鋭い攻めも見せるが、単発に終わり畳みかけられない。我慢の時間が続いた中、均衡を破ったのは栃木。自ら得たFKをクリスティアーノが豪快に突き刺して振り出しに戻す。前半をイーブンで折り返せたことが、残り45分に繋がった。

「上手く長いボールと繋ぐプレーを使い分けられ、セカンドボールを拾えない時間帯が続いた」(財前恵一監督)札幌に対して、「セカンドボールは8割が気持ち。皆が集中力を維持できていた」(菅)栃木が主導権を握った。57分には高木和正が右サイドからドリブルを仕掛けて2人をはがし、間髪入れずに振り抜いた左足でGK杉山哲のニアサイドを射抜いた。

その後は一方的に栃木が試合を支配し、面白いようにショートカウンターが決まった。だが、肝心の3点目を奪えずに、仕留め損なったことが仇となる。80分に“栃木キラー”内村圭宏に同点弾を浴びてしまう。またしても失点はスローインから。それも西澤代志也の安易なクリアミスが引き金だった。これまでならば崩壊してもおかしくなかったが、ここで栃木は下を向かなかった。84分、クリスティアーノのスルーパスをサビアが冷静に沈めて再び突き放す。

あとはのらりくらりと相手をかわすだけだったが、スリリングな展開には続きがあった。一瞬の隙を見せたことで88分に被弾。フェホの3点目以降は立て続けに札幌がゴールを脅かすも、今度は札幌がピリオドを打つには至らない。難を逃れた栃木はアディショナルタイム5分、土壇場でクリスティアーノがワールドクラスの一撃を叩き込んで勝機をたぐった。乱打戦を制しての勝利には、僅差の勝利とはまた違った味わいがあった。

2試合続けてアディショナルタイムに失点を喫し、勝点を喪失した札幌は足踏み。奪ったゴールは全てセットプレーと、グラウンドコンディションを考えれば効率的だったが、裏を返せば流れの中からほとんどチャンスを作れなかったとも言える。不慣れな状況でもタフに戦えるようになることが、今後プレーオフ争いに絡んでいく上で求められる要素になるだろう。また、失点シーンは寄せが甘く、厳しい対応も不可欠になるはずだ。ホームで立て直しを図り、終盤での連敗だけは回避したい。

この試合で課せられたノルマを達成した栃木。結果を出したのだからあまり多くを語る必要はないが、2‐1からの試合運びには改善の余地がある。
「2‐1の時点で試合を2‐1の時点で試合を終わらせないといけない。攻撃の選手が点を取ってくれて勝つチャンスがあった中で、また追い付かれた。最後は劇的に勝ったけど、あそこで勝ち切る力をつけないといけない。今日はたまたま(4点目が)入ったけど、それが続くわけではない。これからの課題になる」(高木)
止まらなかった失点と共に、リードしたらそのまま逃げ切る、あるいは差を拡げる試合巧者になることが、残された試合で勝点をひとつでも多く稼ぐ鍵になるはずだ。

以上

2013.09.16 Reported by 大塚秀毅
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