スカパー！生中継 Ch182 後03:20〜
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成績や状況がどうあれ、このリーグ最終節が清水にとって特別なゲームであることは間違いない。現体制で戦う最後のリーグ戦。長谷川健太監督をはじめとしたコーチングスタッフ、そして伊東輝悦、市川大祐、西部洋平、ヨンセン他、チームを離れることが濃厚な選手たちにとって、清水で戦うリーグ戦最後のゲームだ。
前節で神戸に敗れた清水は、これで5位以下が確定し、リーグ戦の成績でACL出場権を獲得する可能性が消えた。つまり明確な目標を失った状況だが、だからといってこの試合の重要性が薄れることはない。これまでの6年間、ホームでの強さにこだわり続けてきた長谷川エスパルスにとって、その集大成を見せるべき戦いだからだ。
その意味では、G大阪は本当にまたとない相手。自分たちでアクションを起こし、中盤もしっかりと作ってくるチームであるため、「サッカーしているなという感じになるから、ある意味やりやすい」と伊東も語る。じつに清水育ちらしい感覚だが、今年の清水にとっては、そうした戦いは臨むところだ。
小野伸二が出場停止から復帰して、ほぼ現状のベストメンバーで臨むことができる。チーム状態も、神戸戦には敗れたが内容はけっして悪くなく、ボールをスムーズに動かしながら、さまざまな角度から攻めていくという攻撃はできている。1週間のインターバルでコンディションもある程度整え直すことができ、あとは「G大阪は注意すべきところが非常に多いが、だからといって相手に合わせるのではなく、自分たちのサッカーをやるだけ」（長谷川監督）ということに尽きる。
対するG大阪は、現在勝点59の3位で、4位のC大阪とは勝点1差。自力でACL出場を確定するためには、引き分けではなく勝点3を取らなければならない。前節の横浜FM戦は、早い時間に2点をリードされ、その後は「ディフェンス力があるチームに対して崩せなかった」（西野朗監督）という敗戦だった。その意味では、清水が攻撃的でがっぷり四つの戦いをしてくれば、G大阪にとってもやりやすいだろう。
前線には、ルーカス、イ グノ、平井将生、宇佐美貴史と非常に力のある選手が揃っており、誰が先発で、誰がジョーカーとして出てくるのか予想しにくいチーム。だが、誰が出ても非常に恐い2トップになることは間違いない。
攻撃力のあるチーム同士が、立ち上がりから激しく攻め合う展開になれば、見る側にとっても非常に楽しいサッカーになる。当然、流れは行ったり来たりして、清水が押し込む時間も、G大阪が押し込む時間も出てくるだろう。その中で、どちらが危険な場面を守りきり、決めるべきところを決めて先制点を奪うことができるか。それが第一の焦点になる。
そして、どちらかが先制点を奪えば、リードされたほうはさらに攻勢に出るしかなくなるので、さらに試合は動いてくる。激しい打ち合いになる可能性も十分にあるゲームと言えるだろう。
またチーム総得点では、現在G大阪が62点でトップに立ち、清水と川崎Fが60得点で2位につけている。「今年は攻撃的に戦うということでやってきたので、ぜひG大阪の得点を上回りたい」と長谷川監督も語っており、チーム得点でトップに立って終わるということが、現時点で最大の目標になっている。
個人の記録では、岡崎慎司と藤本淳吾が現在13得点で並び、チーム内得点王を激しく争っている。3点以上取れば得点王になれる可能性も残っており、とくに岡崎はシーズン15得点という数字にこだわっているので、貪欲にゴールを狙い続けるはずだ。
清水としては、先制点、追加点と奪って、焦るG大阪からさらに追加点を重ねて、最後は伊東が出てきてきっちりと締めくくるというのが理想のシナリオ。もちろん、G大阪を相手にそんな筋書き通りの戦いをするには、本当に100％以上の力を発揮しなければならない。
だが、そのためのモチベーションは十分だ。この試合に勝てば、コーチングスタッフも含めた全員で過去最大の“勝ちロコ”を行なうことが約束されている。
「アウスタは中学1年から18年間の思い出が詰まった素晴らしいホーム。勝ちロコはそのスタジアムが一体になる最高の瞬間なので、ぜひ勝って最後にやりたいです」と語るのは市川大祐。その想いは、他の選手にもサポーターにも十分に伝わっている。
以上
2010.12.03 Reported by 前島芳雄
