スカパー！生中継 Ch186 後03:20〜
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一つの時代が終わりを告げようとしている。ご存知のように横浜Ｆ・マリノスは、松田直樹、坂田大輔、清水範久、河合竜二、山瀬功治ら、計８選手と来季の契約を結ばないことを発表。黄金期を支えたベテラン、日本代表経験者の山瀬などが、クラブを去ることになった。
11月30日。情報が流れた後の最初の練習には、約200人のファン・サポーターが駆けつけ、山瀬、清水、河合らの試合用の横断幕がスタンドに広げられる。なかでも、『トリコロール愛』一筋16年、松田のそれは、大小含め数多く並び、反響の大きさを物語っていた。
練習後には、突如、松田のチャントの大合唱が起こり、ピッチに響き渡る。松田はスタンドへ歩み寄り、あいさつ。すぐに背向けて歩き出すと、目には感極まって涙が。顔をくしゃくしゃにし、嗚咽が漏れるほど泣きじゃくながら、クラブハウスの中へと消えた。
そんな松田の切ない姿を、遠くから神妙に見つめていた天野貴史は、「今度の試合は相手うんぬんじゃない。チーム一丸となって最後まで戦い抜きたい」と語気を強める。
小椋祥平は去りゆくベテランに対して、感謝の意を込めてこう語る。
「08年に自分がＦ・マリノスに移籍してきて、年上の人たちが面倒を見てくれた。ほんと自分がここまで成長できたのは、上の人たちのおかげ。最後はしっかり勝って恩返ししたい」
小椋だけでなく、他の中堅、若手も同じ気持ちで、最終節に臨むであろう。
対する大宮は、前節のアルビレックス新潟戦で引き分けに持ち込み、Ｊ１残留を決めた。これで残留争いを対岸の火事として眺める立場となり、開放感に浸ってしまいそうだが、鈴木淳監督は気を緩めない。新潟戦後の会見で「今季を振り返って？」という質問に、総括はまだ早いとばかりにこう答える。
「残留したからＯＫではなく、シーズンの全34試合をしっかり戦うことが重要。次の試合で真価が問われるし、しっかり戦うことで来シーズンにつながる」
直近６戦は３勝１敗２分という粘り強さをシフトダウンさせることなく、今節を迎えるに違いない。
横浜FMとのリーグ戦での対戦成績は、５勝５分１敗と相性抜群。今回も牢堅なブロックを築き、速攻一発で仕留める攻略パターンを狙うはず。また、相手DFは中澤佑二、栗原勇蔵が不在。さらに松田も練習中に古傷の傷みが再発し、欠場の可能性がある。それはラファエル、李天秀の２トップにとって大きなチャンス。２人が主導権を握れば、過去の対戦とは違う展開になってもおかしくない。
横浜FMは、苦手な大宮を撃破するには、少々青臭いが、戦術のことより「このチーム、このメンツで戦う最後の試合」（小椋）を全員が噛みしめ、「フォア・ザ・チーム」の精神で戦うことではないか。試合後にはホーム最終戦セレモニーを行う。それは、愛着の深い選手たちとの別れの場。笑顔あり、涙ありの記憶に残る式になるだろう。その一番効果的な演出は、何よりも勝利の美酒を添えることだ。
以上
2010.12.02 Reported by 小林智明（インサイド）
