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2015/10/29(木)21:09

ガンバらしいサッカーで大会連覇を狙う【G大阪側プレビュー:決勝】

厳しい日程を乗り越え決勝に辿り着いたG大阪。連覇は実現するか?
厳しい日程を乗り越え決勝に辿り着いたG大阪。連覇は実現するか?

昨年に続きガンバ大阪が、ヤマザキナビスコカップ決勝の舞台に立つ。前回と異なるのは、昨年は予選リーグを勝ち上がって決勝まで駒を進めたのに対して、今回はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に参戦していたため予選が免除されたこと。つまり、決勝トーナメントからの出場になったことが挙げられる。加えて、その準々決勝、準決勝は日本代表選手4人が不在に。かつ、ACLを最終的にベスト4まで勝ち上がったG大阪にとっては日程的にも非常にタイトな戦いを強いられた中で、決勝進出の切符をつかみ取った。

この状況から決勝の舞台には、今季のナビスコカップ初出場となる選手もいるが、選手の士気は高い温度で揃っている。また、今季最大の目標として掲げていたACL制覇がかなわなかった今、ナビスコカップ連覇を実現することで、タイトルの可能性を残す他の公式戦への勢いにしたいという思いも強いはずだ。

直近の明治安田生命J1リーグ 2ndステージ 第15節のベガルタ仙台戦で2得点を挙げた絶好調の副キャプテン・倉田 秋は言う。

「ACLの決勝に進めなかった悔しさを誰もが忘れていないなかで、仙台戦はそのみんなの気持ちが結果につながった。今回もそれは同じで、ガンバは確実に毎年タイトルを積み上げていかなければいけないという自覚もある中で、ナビスコカップを絶対に獲るんだという思いは強い。昨年もそうですが、ナビスコカップはチーム全員の力でここまで勝ち上がってくることができた大会。ピッチに立った選手はそういうみんなの思いを背負って戦わなければいけないし、ここから先のすべての戦いに向けていい流れをつくるために、しっかり勝ちたい」

鹿島とは、今季のリーグ戦で2戦2勝。昨年に遡っても、現在、公式戦4連勝中と相性はいい。それもあって選手の多くが「苦手意識はない」と話しているが、一方で過去の対戦経験を踏まえ、また、国内タイトル16回の優勝経験を誇る鹿島に対し、警戒の言葉を口にする選手も多い。チームの支柱、キャプテン・遠藤 保仁もそのひとりだ。

「鹿島はJリーグの中で最も粘り強く、したたかなプレーをできるチーム。特に大事な試合、大舞台であるほど、そうした力を発揮できる。ファイナルを経験している選手が多いからこその落ち着きもありますしね。それゆえ、今回の決勝も難しい試合になるはずだし、鹿島のしたたかさを思えばこそ先制点を取られると厳しくなる。そこには共通理解をもって試合に入りたい。ただ、仮に先制されたとしても逆転すればいいこと(笑)。慌てず、気負い過ぎず、ガンバらしい流れに持ち込んで、ガンバらしく自分たちの力を出し切って戦い抜きたいと思います」

昨年のナビスコカップ決勝戦。ガンバは前半のうちに2点を失う苦しい戦いを強いられた。それは「自分たちさえ予想しなかった展開だった」(今野 泰幸)が、結果的にパトリックの2ゴールで同点に追いつくと、大森 晃太郎が決勝ゴールで逆転勝利。大舞台で、ガンバらしいサッカーを炸裂させて1冠目を手にし、その勢いをJ1リーグ、天皇杯へとつなげて『三冠』を実現した。

『目の前の試合を1つずつ、大事に戦い、勝利を積み上げていくこと』に気持ちを揃えてつかみ取った栄冠。全ての戦いを終えたエース・宇佐美 貴史はこんな言葉で『タイトル』を表現した。

「タイトルは欲しいと思って獲れるものではなく、獲るにふさわしい戦いをしたチームにもたらされるもの。」

今回もそれは同じだろう。ガンバ大阪らしく戦い抜いたその先に、きっと栄冠は待っている。


[文:高村 美砂]