J1&J2クラブの戦力を徹底分析
東京V東京ヴェルディ
冨樫イズム全力注入。一体感と質の追求で、新生ヴェルディを作れ!
今季のみどころ
今季の東京V最大の魅力は、なんといってもその雰囲気の良さ。アカデミーからの生え抜き選手が多いというクラブの特長もあり、もともと選手同士の仲はいいのだが、今季はさらにひと味違った印象を受けるのだ。
20代前半の選手が主体という若さ。冨樫剛一監督が全幅の信頼を寄せ、固い信頼関係で結ばれているコーチングスタッフ陣の明るさ、パワフルさ。そして永井秀樹、平本一樹、中後雅喜ら30歳以上のベテラン組が持つ厳しさと器の大きさ。そうした多くのプラス要素が、13歳からヴェルディと関わってきた冨樫剛一という人望厚い指揮官によって、ただただ純粋に最大限の力を発揮しようというポジティブなベクトルにまとめられているのだ。質・量ともに妥協を許さない日々の厳しいトレーニングを乗り越え、目指すサッカーを共有しているからこそ生まれる仲間意識が、今の東京Vには存在する。
昨季途中から就任して11試合を指揮した冨樫監督が今季も続投の要請を受けた理由の1つは、「さらにトレーニングを積んでいけば、必ず良いサッカーで結果が出るようになる。もっとこのチームでやりたい」と強く思ったからだという。
新加入選手は、トップチームに就任するまで冨樫監督が見ていたユースから直接トップ昇格する2名と、ユースから大学を経由して加入する2名、そしてブラジル人3名。つまり外国籍選手を除いてチーム全員が『ヴェルディのサッカー』を経験済みなのである。冨樫イズムの浸透に長い時間は要さないだろう。キャンプでの実戦練習でも昨季以上に攻撃にバリエーションが見られ、監督も選手たちもそれぞれが手応えを口にしている。あとは、昨季最大の課題だった『フィニッシュ』をいかに克服するか。せっかくの攻撃のバリエーションを、最後にきっちりと得点に繋げること。昨季と同じ轍は踏むまい。
以上
Reported by 上岡真里江
開幕時の予想布陣
メディアを大きく賑わすようなビッグネームの獲得は行われなかったが、ユースからの昇格ながら即戦力ともなりうる三竿健斗・中野雅臣が加わり、さらにDFウェズレイ、MFブルーノ コウチーニョ、FWアラン ピニェイロとセンターラインに新外国籍3名が加入したことは、戦力アップと見ていいだろう。
冨樫剛一監督は、「誰もが見たいゴール前のシーンをたくさん作れるチーム」を目指す。カギを握りそうなのは、FWアランか。昨季は得点力不足に悩まされただけに、新加入会見で「フィニッシュが得意」と言い切った決定力には大いに期待したい。
また、チームの成績を大きく左右しそうなのがセンターバックだろう。井林章の新しい相棒は誰で落ち着くか。現時点ではウェズレイが有力だが、キローラン木鈴、畠中槙之輔にも十分チャンスはある。場合によっては3バックも…。指揮官の選択が楽しみだ。
注目はボランチだ。ルーキーの三竿が開幕スタメンを奪う可能性が高そう。「視野の前のボールが取れるし、スイッチを入れていける。チームの中でも稀有な存在」と、冨樫監督はその才能への高い評価を口にする。一方で、同位置には昨季は前線での出場が主だった澤井直人も起用されている。
冨樫監督が東京Vで指揮を執る大きなメリットの1つは、選手たちをアカデミーの頃から継続して見ているため「誰がどのポジションをできるのか、適性をすでに知っている」ことにある。さまざまな選手とポジションの組み合わせによって、攻守のバリエーションはまたさらに増えることになる。選手個々もチームもまだまだ若く発展途上だけに、どのようなチームになっていくのか、今季はもちろん、今後の成長が非常に楽しみだ。
以上
Reported by 上岡真里江