J1&J2クラブの戦力を徹底分析
愛媛愛媛FC
昨季からの戦力維持と木山イズム浸透で、シーズン勝ち越しを狙う
今季のみどころ
愛媛は今季から木山隆之新監督を迎えたが、中心選手はほぼ残留した。昨季全試合に出場して8得点を挙げた堀米勇輝やボランチで活躍した渡邊一仁らがクラブを去ったものの、新加入選手たちは実力派揃い。石丸清隆前監督が築いたベースを引き継ぎつつ、「攻守ともにアグレッシブに、組織で戦う」という木山新監督のサッカー観を加えてチーム力のアップを図る。
その木山新体制で目指すのは、クラブ史上最高の成績となるシーズン勝ち越し。2010年は勝率55割で終えたが、その成績を超えることができれば悲願のJ1プレーオフ進出にも近づく。
とはいえ、昨季は19位に甘んじた愛媛。河原和寿や西田剛ら前線の選手が得点を挙げてチームを引っ張ったが、終盤に追いつかれたり逆転を許す試合が続いて勝点を伸ばせなかった。守備陣の顔ぶれに関しては昨季と大きな変化がなく、それだけに連携を深めること、あるいはチームとして守る戦術の浸透については木山監督の手腕が問われるところだ。
一方で攻撃面では、昨季13得点の河原と10得点の西田に加えて、栃木で8月までに7得点を挙げた(その後、期限付き移籍元の清水に復帰した)瀬沼優司が加わった。
中盤にも攻撃を得意とする岡崎建哉が加わるなど、堀米の抜けた穴を埋めるだけの戦力は揃っている。また、プロ2年目の表原玄太や近藤貫太ら成長が期待される若手の突き上げがあれば、チーム全体として高いレベルの競争も生まれる。互いに切磋琢磨し、シーズンを通じてチーム力を高めることができれば、掲げた目標に近づく戦いも期待できそうだ。
以上
Reported by 近藤義博
開幕時の予想布陣
新チームが始動して、木山新監督はまず昨季まで採用していた3-4-3でスタートした。ただ、その形にこだわるのではなく、戦力を見極めつつ柔軟に形をシフトしていくことも十分に考えられる。というのも、単純に今季の戦力を昨季の3-4-3に当てはめると、まず前線では西田剛と瀬沼優司が1トップを争うことになる。しかし2人の能力を考えれば争わせるのではなく共存の道を探りたいところ。どちらかがシャドーに回るか、あるいは2トップという形も考えられるだろう。
また、中盤ではボランチの吉村圭司と岡崎建哉は攻撃参加をして得点に絡む役割も期待できるが、チームの課題である失点減ということを考えればバランスをとる役割の選手も必要になる。その点では、新加入の藤田息吹や村上巧らを起用する選択肢もあるだろう。
また、昨季はサイドの人材が不足していたが、玉林睦実は即戦力として計算できるベテラン。藤直也やカン ユングら若手のお手本にもなりそうだ。
守備陣では守護神・児玉剛を筆頭に、昨季のメンバーが中心となる。しかし現状では若干バックアップが不足気味で、ボランチの江口直生が林堂眞の代わりを務めることも。昨季はその林堂や浦田延尚らがケガで離脱したことも守備が安定しなかった要因の1つだった。守備の強化という課題を考えても、センターバックはシーズン中の補強も考えられる。ただ、現状の戦力でも各ポジションに多彩な顔ぶれが揃い、目標を達成するだけの戦力が整ったことは確か。あとは木山監督の下で、どれだけチームの成熟度を高められるかにかかっている。
以上
Reported by 近藤義博