2017年3月13日(月)、Jリーグ村井 満チェアマンは、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)田嶋 幸三会長らとともに福島県を訪れ、福島県浜通りの被災地域を視察し、県庁にて内堀 雅雄福島県知事にJFA、Jリーグ共同の福島復興支援行動計画「DREAM福島アクションプラン2017」を報告しました。また、同行したなでしこリーグの選手らにより、被災地域の小学生を対象としたサッカー教室が開催されました。
一行はまず、2019年4月に全面再開を予定しているナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」を訪れました。バスが到着した女子寮の駐輪場には選手達の自転車が当時のまま残り、震災の爪痕を残す一方、作業員の宿舎跡には新たなグラウンドを敷設する工事が進み、施設の再興に向け着実に前進する様子が伺えました。今回同行した8名の女子選手はみなJヴィレッジを活動拠点とするJFAアカデミー福島出身で、選手達は活動していた場所を確認しながら当時を振り返りました。
続いて原発事故で避難区域となった富岡町や大熊町、第一原発の状況をバスの中から確認しました。第一原発では、廃炉に向けて約6,000名が作業に従事している様子など説明を受けたあと、広間に集まった約450名の作業員へ田嶋会長、村井チェアマン、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの山根 恵里奈選手が挨拶しました。
その後、田嶋会長と村井チェアマンは福島県庁を訪れ、内堀福島県知事へ福島復興支援行動計画「DREAM福島アクションプラン2017」の報告を行いました。計画には、Jヴィレッジにフロントオフィスを設置し、JFAやJリーグからスタッフを派遣することや、継続的に福島の復興を後押しできる支援体制を整えていくこと、県内でのサッカー教室やJリーグ公式試合の開催などが盛り込まれ、報告を受けた内堀知事は「非常に熱い思いを感じた。すごくエネルギーをいただける」と感謝を述べられました。
一方、選手は楢葉町総合グラウンドにて楢葉町や広野町の子どもたち約30名を集めてサッカー教室を開催しました。サッカー選手と触れ合った子どもたちからは笑顔が見られました。指導にあたったなでしこリーグ1部ノジマステラ神奈川相模原の田中 陽子選手は「復興に向け少しずつ前進していることを実感した。サッカー選手として1人でも多くの人の目に触れる活躍をし、復興の力になりたい」とコメントしました。
視察と知事への報告を終えたJFA田嶋会長は報道陣に対し「Jヴィレッジに関しては、新たにグランドを再生する作業をしている。その姿を見たときに、いよいよ今度は前に進むときなんだと改めて感じた。我々サッカー界のこの20年の発展はJヴィレッジ抜きには語れない。そういう意味では、サッカーが(Jヴィレッジに)戻るということが、地域の人々を勇気づけることになるし、あの場所の真の復興となると我々は信じている。しっかりとやっていきたい」と復興に向けた決意を表明しました。
また、被災して以降初めて福島県浜通り地域を視察した村井チェアマンは、「実際にJヴィレッジを拝見したが、着実にサッカーの聖地の再興に向けて動き出している。フロントオフィスを設置し現場の意向を尊重しながら、具体的な中身を詰めていきたい」としたうえで、「Jリーグ全54クラブのネットワークを最大限活かし、様々な形で支援できる体制を整えたい」とJリーグとクラブが協力して継続的に支援を働きかけていく意向を示しました。さらに福島の子どもたちに向け「サッカーは日本国内全国、そして世界につながっている。胸を張って、世界に向けて頑張って欲しい。福島を世界にアピールして欲しい」とエールを送りました。