J2への自動昇格を果たせるのは、わずかに1チーム。そこに最も近い位置にいるのが、第29節を終えて首位に立つ大分だ。
前節、YS横浜に快勝を収め、4連勝でついに首位に浮上。苦しかったシーズンだったが終盤に見事な巻き返しを実現し、いよいよJ2復帰へあと一歩に迫った。運命の最終節の相手は鳥取。下位に沈むチームとあって大分にとっては組み易い相手だが、昇格のかかる大一番で重圧がかかるのは否めないだろう。しかも2位の栃木とは同勝点で並んでいるだけに、引き分けも敗戦も許されない状況にある。勝たなければいけない試合で結果を出すのは決して容易ではないだろう。カギを握るのはここ4試合で2失点の堅守。ここが崩れなければ、1年でのJ1復帰というミッションはクリアされるに違いない。
大分を追う栃木は、追う者の強みを生かし、アグレッシブに戦うほかない。首位から陥落した前節の敗戦は確かにショッキングではあるものの、ダメージを引きずらずそこからいかに立て直せるかが、栃木にとっての最大のテーマとなる。盛岡の本拠地に乗り込む今節は、勝利が歓喜に直結するとは限らないものの、勝利できなければ逆転昇格のシナリオが描かれないのも事実。連勝街道をひた走ったシーズン中盤のパフォーマンスを取り戻し、アグレッシブな戦いで勝点3を狙いたい。
3位の鹿児島はアウェイで4位の長野と対戦。昇格1年目にして躍進を遂げた前者と、昇格候補と目されながら優勝争いに絡めなかった後者。状況は異なるものの、よりよい順位でシーズンを終えたい心理は変わらない。勝ったほうが3位となる上位決戦。昇格という目に見える成果は手に入らないものの、シーズンを良い形で締めくくるべく、激しい戦いが期待される。
5位の富山はホームに相模原を迎える。昇格争いからは脱落したものの、就任1年目の三浦 泰年監督のもと、手ごたえをつかむシーズンとなったことは間違いない。今季の集大成とも言える一戦で、その成果を示したいところだ。対する相模原は、前節、安永体制初勝利を挙げた。目指す攻撃スタイルがようやく形となった試合であり、大きな自信を得たはずだ。来季の戦いにつなげるためにも、連勝でシーズンを締めくくりたい。
6位の秋田と7位の琉球の一戦も興味深い。ともに独自のスタイルを確立し、今季のJ3リーグを大いに盛り上げた。シーズンを通せば波もあったが、最終的に上位を目指せる位置に付けられたのは、大きな成果だろう。攻撃面に特長のあるチーム同士のカード。興奮を呼び起こす激しい打ち合いが期待される。
藤枝の攻撃サッカーも今季のJ3を語るうえで見逃せないトピックだ。今節はホームに福島を迎える。前節は相模原に苦杯をなめたものの、そのアグレッシブなスタイルは試合を重ねるごとに精度を高めた。今季培ってきたそのスタイルをシーズン最後の試合で、地元のファンに見せつけたい。
U-23チームの参戦も今季の話題のひとつ。そのなかで最上位となる9位のG大23はアウェイでYS横浜と対戦。上位陣を撃破する攻撃力を示した一方で、ここ5試合は勝利がなく尻すぼみの感は否めない。育成が目的ながら、結果も無視することはできないだけに、若く有望なタレントたちの、意地と執念を見せてもらいたい。対するYS横浜は得点力不足を露呈し、今季の最下位がすでに決定している。ここまでわずか4勝と厳しいシーズンとなったが、今季最終戦で、ホームに訪れるファン・サポーターに勝利を届けられるか。
F東23とC大23は直接対決となる。前者は11位、後者は12位と決して満足のいく結果は残せなかったものの、若手が実戦を数多く積んだという意味では実のあるシーズンとなったに違いない。より注目なのはF東23。前日にU-18チームがJユースカップで優勝を果たした。そこに参戦できなかったユース年代の選手たちは刺激を感じているはずで、彼らのパフォーマンスに大いに注目したい。
■第30節の見どころをチェック
盛岡vs栃木
秋田vs琉球
YS横浜vsG大23
長野vs鹿児島
富山vs相模原
藤枝vs福島
鳥取vs大分
F東23vsC大23