先制点が結果を大きく左右する開幕戦。7年ぶりのアイスタでの開幕戦で、清水はホームの力を生かせるか
清水にとっては、じつに7年ぶりに迎えるホームでの開幕戦。対戦相手は、難敵・鹿島。“清水のレジェンド”大榎克己監督が初めて始動時から指揮を執る新生チームへの期待度も高く、チケットの売れ行きは好調。さまざまな想いが交錯し、開幕戦ならではの喜びや緊張感に満ちたゲームになることは間違いなさそうだ。
昨年は本当にギリギリのところでJ1に残留した清水。その経験を経て今年は「優勝」を目標に掲げながらチーム改革に乗り出した。プレシーズンの準備でかなり力を入れていたのは、90分間走り切れる体力をつけることで、そのために「ローパワー(有酸素運動の領域)」を強化するトレーニングを重ねてきた。それもあって戦術的な煮詰めは多少出遅れたが、開幕に向けては守備面の修正に力を注ぎ、2月下旬からは練習試合やプレシーズンマッチで無失点を続けている。その中でDFラインには本来センターバックの選手を4人並べる形をとっており、1トップの長沢駿も含めて、昨年まで目立った“高さ”の弱点は改善されている。それに伴い、課題だったセットプレーの守備が安定してきたこともプラス要素と言える。
一方、鹿島のほうは、世代交代が順調に進んでチームがかなり若返った中でも、試合運びのうまさや勝負強さといった伝統は維持している。先制されると脆いという面が清水にあることを考えると、鹿島が先制するとかなり優位に立つと考えられる。そのため「先制点を取るか取られるかで勝率はかなり変わると思うので、90分を無失点で終えることに強くこだわりたいです」と清水のDF犬飼智也も語る。
ただ鹿島のほうも、2/25から始まったAFC チャンピオンズリーグで2連敗を喫しており、チームとして本調子が出ているとは言えない。主導権を握れている時間はあるし、チャンスも作れているが、それを決めきれていないことが結果に影響している。ダヴィがケガで長期離脱しており、現時点ではトップに外国籍選手は不在だが、高崎寛之や赤崎秀平がその不安を払拭する仕事を見せられるかが最大の注目点。アウェイでも鹿島が押し込む時間帯はあるだろうが、そこで決め切れるか、清水が粘り強く守り切れるかという部分は大きな見どころになる。
また、ソウルでのアウェイゲームから中3日でJ1開幕を迎えるということで、コンディション的な難しさもある。そんな中で、メンバーの入れ替えがどの程度あるかという部分も、鹿島ファンには気になるところだ。
清水の攻撃に関しては、チーム全体でのビルドアップについてはまだ発展途上だが、前線の長沢駿、大前元紀、村田和哉らが好調な動きを見せており、村田の裏への飛び出しからのクロスを長沢や大前が決めるというパターンは大きな武器。新加入の外国籍選手2人、ピーター ウタカとミッチェル デュークも、まだ十分にフィットしているとは言えないが、途中出場でも貴重なジョーカー役となるはずだ。彼らがどんな形で起用されるかにも注目したい。
先制点がどちらに入るかは予測し辛いが、先制点が生まれるまでの緊張感のある攻防、その後のリスクを負った攻防、そしてアイスタ独特の高揚感もあり、盛り上がるべき要素には事欠かないゲームになるはずだ。
文:前島芳雄
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