縁浅からぬ両者の対戦。この日唯一のナイトゲームは熱戦必至
開幕14連勝に始まり、史上最速のJ1昇格や100を超える勝点奪取、すべての対戦相手から勝利を挙げるなど、湘南は昨季、圧倒的な成績でJ2を制した。曺貴裁監督が就任した2012年にJ1昇格を果たしながら翌年降格したチームにとって、昨季はJ1復帰が目標ではなく、J1に復帰したその先でいかに戦い抜くかを常に見据えたシーズンだった。J史に刻んだ足跡は、そうした日々の積み重ねがもたらしたものだ。
見据えていた舞台に再び立った今季、右肩上がりの内容を示しながらも勝ち切れなかった2013シーズンを踏まえ、内容と結果を追求する。テーマはすなわち湘南スタイルの証明だ。13人の新加入選手を含む28人の選手たちは、2月のトルコキャンプや日々のトレーニング、帰国後の練習試合などを通じ、スタイルの浸透や互いの融合、フィジカル的な追い込み、なによりJ1で勝つためのあり方を培ってきた。
詳細はベールに包まれているが、今季のチームは、選手の組み合わせによるバリエーションが例年以上に増した印象が強い。攻守にアグレッシブなスタイルの中で、人数分の個性が融合し、様々な化学反応を織りなしていく。チームカラーのライトグリーンを下地として、色彩豊かな戦いが展開されそうだ。
一方、BMWスタジアムに乗り込む浦和には、タイトル奪還に向け、石原直樹やズラタンをはじめ11人の強力な新戦力が加わった。AFC チャンピオンズリーグ(ACL)の水原三星戦、FUJI XEROX SUPER CUP 2015のG大阪戦、そしてACL・ブリスベンロアー戦と、ひと足早く重ねた公式戦にいずれも敗れ、目下3連敗という現状を踏まえても、湘南とのJ1開幕戦で勝利を挙げリスタートを図りたいところだ。
2年前の対戦の記憶がよみがえる。埼スタでの戦いに臨んだ前期、湘南は0-2で浦和に敗れ、結果と内容ともに力の差を見せつけられた。しかし、ホームで迎えた後期は相手を上回るだけの内容を示し、勝利こそ得られなかったものの勝点1を手にした。さらに、記憶が正しければ、曺監督が就任した2012年、1月の宮崎キャンプで初めて行なった対外試合が、ペトロヴィッチ監督就任1年目の浦和だった。振り返れば、湘南にとってペトロヴィッチ監督率いる浦和は、追求するスタイルの節目に立ち会ってきた存在と言えるかもしれない。
その浦和との開幕戦に向け、曺監督は言う。「相手に、こいつらやるなと思わせるのか、ビクビクしてるなと思われるのか。『嫌だな』と思わせるプレーを仕掛けていきたい」。胸を借りるように前からプレッシャーをかけ続けたあの日から4年目となるシーズン、深化した湘南スタイルを存分に発揮したい。
文:隈元大吾
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