「因縁の対決」。そういっても過言ではないだろう。昨シーズンの明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ決勝の再現であり、天皇杯準決勝の再戦でもある。現在のJリーグを代表する両チームが、2016シーズンの幕開けとなるこのFUJI XEROX SUPER CUPの舞台で、再び顔を合わせるのだ。
チャンピオンシップでは、サンフレッチェ広島が年間勝点1位チームの意地を見せた。第1戦をロスタイム弾2発で逆転でモノにすると、第2戦でも先制を許しながら、浅野 拓磨の一撃で1-1の引き分けに。2戦合計4-3でガンバ大阪を下し、通算3度目のリーグ王者に輝いた。
年末に行われた天皇杯準決勝では、G大阪がチャンピオンシップのリベンジを果たした。エース宇佐美 貴史の2ゴールの活躍などで3-0と完勝。その勢いのまま浦和レッズとの元日決戦を制し、5度目(前身の松下電器時代を含む)の優勝を飾っている。
リーグ王者の広島は、昨季のチーム得点王のドウグラスが期限付き移籍期間満了で徳島に復帰(その後中東クラブに移籍)。攻撃力のダウンが懸念され るなか、清水エスパルスから期限付き移籍で加入したピーター ウタカがその穴を埋められるかがカギを握る。
一方で既存戦力の成長には目を見張るものがある。とりわけ今季より背番号10を背負う浅野には新エースとしての期待がかかる。U-23日本代表を アジア王者に導いたこのスピードスターが、絶対エース佐藤 寿人の牙城を崩し、レギュラーの座を確保できるのか。2年前の大会でもゴールを奪っている浅野のパフォーマンスは、この試合の見どころのひとつとなる。
一方のG大阪は、今オフの補強でさらなる戦力アップに成功した。宇佐美 貴史、パトリックの強力2トップに加え、新たに横浜F・マリノスからアデミウソンと藤本 淳吾というふたりのアタッカーを迎え入れた。熟練の司令塔、遠藤 保仁が操る攻撃陣は間違いなくリーグ最高レベルの破壊力を秘める。東口 順昭、丹羽 大輝ら日本代表勢が顔を揃える守備陣も堅実で、4年目を迎える長谷川体制の下、組織の成熟度も高い。天皇杯では勝利したとはいえ、チャンピオンシップで味 わった悔しさを再び晴らすべく、“打倒・広島”の想いも強いだろう。
両者は昨シーズン、公式戦で5度顔を合わせ、結果は2勝1分2敗と五分。実力はまさに拮抗しており、試合の行方はまさに神のみぞ知るだ。今年最初 の公式戦でライバルを打ち破り、勢いを加速するのは果たしてどちらか。今シーズンの行方を占う試金石の一戦となる。
[文:原山 裕平]