サンフレッチェ広島が初めてFUJI XEROX SUPER CUPに出場したのは2008年のこと。しかし、それは異例の参戦と言えた。
2007年のJ1リーグで16位と沈み、入れ替え戦で京都サンガF.C.に敗れJ2降格が決定。しかし天皇杯では決勝まで勝ち進み、準優勝と意地を見せた。優勝した鹿島アントラーズがリーグ戦も制していたため、繰り上がりで出場を決めたのだ。
J2所属チームがこの大会に参戦するのは史上初のことで、J1王者の鹿島との対戦はミスマッチかと思われた。しかし、広島はじつに逞しかった。前半から劣勢を強いられ後半の早い時間帯に2失点。ところがここから鮮やかな反攻を見せる。80分に途中出場の久保 竜彦のPKで1点差に詰め寄ると、その5分後にはエース佐藤 寿人が起死回生の同点弾。その勢いのまま広島はPK戦を制して、見事に大会初優勝を成し遂げたのだ。
J1王者を撃破しての優勝で自信を付けた広島は、この年J2で圧倒的な強さを示し、1年でのJ1復帰を決めている。
次に広島が出場したのは、2013年。今度はJ1王者の立場としての堂々の参戦である。相手は柏レイソル。試合は1-0での勝利となったが、決勝点となった佐藤の得点は大会史上に残るスーパーゴールだった。左クロスから水本 裕貴が頭でそらしたボールを、倒れこみながらの左足ボレー。相手GKも見送ることしかできない鮮やかな一撃だった。
リーグ連覇を成し遂げての参戦となった2014年は若手の躍動が光った。横浜F・マリノスと対戦したこの試合でヒーローとなったのは野津田 岳人と浅野 拓磨の19歳コンビ。開始早々に野津田が先制点を奪うと、66分には野津田のパスから途中出場の浅野が追加点を奪取。2年連続3度目の優勝の立役者となったのだ。この試合で自信を掴んだ2人は、翌年のブレイクスルーへとつなげている。