野津田 岳人と柴崎 晃誠はオークランド・シティFC戦での負傷のため、長期の離脱が確定。少なくとも、クラブワールドカップの出場はほぼ不可能となった。しかし前の試合で負傷した清水 航平については「プレーが可能」(森保 一監督)ということで、今日の前日練習にも参加できたことはポジティブ。この大会にそれぞれの思いをかけてきた選手が負傷のため出場できないのは辛い。
いずれにしても、広島は前線の3人の組み合わせを、今まで公式戦では試したことがほとんどない形にせざるをえなくなった。森保監督は昨日、「2トップへの変更も含めて考える」と語っていたが、形は変えないにしてもFWでプレーしていた選手をシャドーで使う可能性もある。たとえば、佐藤 寿人・皆川 佑介・ドウグラスのセット。あるいは、佐藤 寿人・浅野 拓磨・ドウグラス。さらに茶島 雄介の抜擢も十分にありえる。
「よりフレッシュな選手に試合に出てもらおうと思っていますし、相手にしっかりと圧力をかけて、守備のところでも前から食い止められる形をとりたい」
森保監督の記者会見でのコメントを聞いた限りにおいては、守備にも貢献できる形を模索しているように見える。それもそのはずで、アフリカ王者のTPマゼンベ(コンゴ)は2012年大会で広島が敗れたアルアハリ(エジプト)とは異なり、ロングボールを主体にフィジカルで攻撃を組み立てる。となれば、前線からしっかりと相手に圧力をかけてパスの出所を封じることが必要だ。それができて、かつ相手に脅威を与えられる前線の組み合わせは、どうなのか。森保監督はおそらく、最後まで考えに考えるはずだ。
2010年にはアフリカ勢として史上初のクラブワールドカップ決勝進出を果たしたマゼンベは、まさにコンゴの誇り。国内リーグでは14度の優勝。アフリカのチャンピオンズリーグでも5度の優勝を記録しいている伝統あるチームだ。GKのロベール・キディアバが得点をとる度に見せる「平和のダンス」は世界的にもよく知られているが、明日ばかりは彼に踊らせるわけにはいかない。
「僕らはチームとして今までやってきたことをピッチで100%表現できれば、勝てるはずです。持っているものを全て出せれば、通用しない相手ではない。一人一人が自信を持ってプレーできればいい」
若武者・浅野 拓磨は眦を決して、勝利への思いを口にした。ケガをしてこの大会のピッチに立てない仲間たちのためにも、紫の戦士たちは決意を込めてピッチに立つ。
[文:中野 和也]