2024年6月25日
2024年度 第6回Jリーグ理事会後会見発言録
2024年6月25日(火)17:00~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施
登壇:チェアマン 野々村 芳和
執行役員 笹田 賢吾
陪席:執行役員 窪田 慎二
執行役員 青影 宜典
執行役員 樋口 順也
司会:広報部長 仲村 健太郎
〔司会(仲村広報部長)より説明〕
本日開催いたしました第6回理事会後の会見を開催いたします。
《決議事項》
1.脳震盪交代ルール変更について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=eebc71f7-8e08-4822-8cf8-19f24cc5ec95&y=&m=&q=
Jリーグは本日の理事会において、国際サッカー評議会(IFAB)からの通達に従い、「脳振盪交代ルール」を下記の通り変更することを決定いたしました。
なお、本ルールは2024/25サッカー競技規則改正のタイミングに合わせて8月3日(土)以降に開催される各カテゴリー最初の試合日より導入いたします。
■脳振盪の疑いによる交代原則
1試合において、各チーム最大1人の脳振盪による交代を使うことができます。相手チームが脳震動による交代を使用した場合は、自チームは追加で1名を交代させることができるようになります。この追加の交代の理由は、脳振盪であるか否かを問いません。
脳震動による交代は、その前に何人の交代が行われているかに関わらず行うことができます。
また脳振盪による交代の回数は、通常の交代の回数の制限とは別に取り扱われることとなります。チームが脳振盪による交代を通常の交代に合わせて行った場合、1回の通常の交代としてカウントされることとなります。
導入時期はそれぞれJ1からJ3、そしてYBCルヴァンカップまで記載の通りとなります。
2.役員指名報酬委員会発足について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=8ffcdc8a-72ad-4a80-ba70-7c4b65d0923f&y=&m=&q=
Jリーグは、役員指名報酬委員会規程に基づき、5月に開催した理事会において、役員指名報酬員会の発足を決議いたしました。なお、6月18日に行われた第1回役員指名報酬委員会にて、委員長が選出され、本日理事会にて報告されましたのでお知らせいたします。
委員長は、社外理事である杉本勇次さんです。委員には、実行委員の大倉智さん、中山昭宏さん、社外理事の藤原弘治さん、政井貴子さんの計5名です。
《その他:理事会議題以外》
1.【後援】日本クラブユースサッカー選手権(U18/15)大会
https://aboutj.jleague.jp/corporate/activities/support_sponsorship/
日本クラブユースサッカー選手権(U18/15)大会の後援をいたします。こちらもホームページに掲載しています。
《報告事項》
1.シーズン前半集客の振り返り
ここからは直近のトピックをお話しさせていただきます。
先週6月23日(日)までに、J1第19節、J2第21節、J3第18節まで試合を開催することができました。シーズン前半の集客の振り返りにつきまして、事業マーケティング領域を担当する執行役員の笹田より状況をご報告いたします。
〔笹田執行役員〕
まず前半戦ですが、現状、試合消化率51%で、コロナ前の2019年に記録した過去最高の入場者数を超えるペースで進捗しています。J1からJ3までの総入場者数は、2023年昨対比で115%になっており、J1からJ3の平均入場者数は昨対比で116%。2019年比では総入場者数104%、平均入場者数101%で、過去最高の数字の進捗になっています。
色々要因はありますが、1つは国立での開催が今年6試合あり、6試合合計で約30万人にご来場いただいていることもプラスに働いているという認識です。
J1からJ3クラブごとの数字で、特にトピックスとして大きいのは、 東京ヴェルディとFC町田ゼルビアが昇格や国立での試合開催効果などにより、前年比で約3倍近く数字が伸びています。ジュビロ磐田や愛媛FCも昇格効果で数字が伸びていますが、東京Vと町田については、特に数字が増えています。
また、サンフレッチェ広島とツエーゲン金沢は新スタジアムの効果もあり、数字がすごく伸びています。浦和レッズも昨対比で言うと、昨年は駒場での開催が最初に2試合あったことから、その数字も含めて非常に伸びています。
これら以外にもヴィッセル神戸、セレッソ大阪、J2ですといわきFC、ジェフユナイテッド千葉など、ベースアップしているクラブが非常に多い状況であることをご報告いたします。
2.Jリーグインターナショナルシリーズ2024について
続きまして、もう1つトピックをご紹介いたします。
7月下旬のサマーブレイクの期間に、今年もJクラブが海外クラブと対戦するプレシーズンマッチが予定されています。そのうちJリーグが主催する試合として、「Jリーグインターナショナルシリーズ2024」として計5試合の開催を予定しています。うち1試合を「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2024 powerd by docomo」として、昨年に引き続き開催いたします。
すでに各試合の開催につきましてはリリースにて公表していますが、シリーズ全体の開催について3つのポイントをお知らせいたします。
まず1つ目、シリーズ最大規模の国際マッチで、かつ初の地域開催の試みも行っています。今年は5試合を企画しており、東京だけでなく広島や京都での開催も企画しています。
2つ目、UEFAチャンピオンズリーグに出場するようなクラブとのマッチメイクも実現させており、選手だけでなくファン・サポーターの皆様にも世界を肌で感じてもらう機会にできればと思っています。
3つ目、次世代の成長につながる機会創出として、今回、トップカテゴリーの試合に加え、アカデミーマッチとサステナビリティカンファレンスの実施も企画しています。アカデミーマッチにつきましては、招聘クラブからジュニアユース年代のアカデミーチームが来日し、トッテナムとニューカッスルのU-15チームとU-15Jリーグ選抜の対戦を企画しています。それに加え、U-19日本代表とトッテナムのトップチームのトレーニングマッチも行う予定です。契約の最終調整中であり、詳細につきましてはもうしばらくお待ちいただければと思います。
また、サステナビリティカンファレンスにつきましては、Jリーグが主催いたします。欧州トップクラブの経営を学ぶということ、中でもサステナビリティ経営を学ぶというテーマで実施を検討しています。明治安田ワールドチャレンジと同じ週に1日かけて開催する予定で、今回招聘したクラブの中から最先端のクラブ経営を実施している関係者を招き、Jクラブの社長にもご参加をいただいて200名程度の規模を想定したカンファレンスとなります。
〔野々村チェアマンよりコメント〕
今の話の流れですが、JリーグとしてJリーグインターナショナルシリーズ/明治安田ワールドチャレンジをどんなものにしたいか、もちろんJリーグのトップクラブが海外リーグのトップレレベルのクラブと対戦することは大事なことですが、今回に関しては、アカデミー世代、特に中学生年代が日本にいながら、どのようにして世界の同年代の選手と対戦を含めていろんな経験をすることができるか、といったところをすごく重要視し、先方とも話をしました。
Jリーグのみならず、このような大会を実施するのであれば、JFAも含めて日本のサッカーのためになるものをどれだけ実現できるかが大事だと思いますので、JFAとも協力し、おそらく各年代の代表スタッフもここに加わりながら、ゲームを開催することになると思います。「いつ、どこで」ということは、またこれからになります。
U-19日本代表は、トッテナムのトップチームと対戦します。彼らからするとちょうどキャンプの時であり、その時に必要なものの1つにゲームがありますから、打診をしたところ、U-19日本代表とのゲームも快諾いただきました。そちらもこの大会の意義だということはコメントしておきたいと思いました。
またサステナブルな社会・経営の実現は日本のサッカー界でも当然大事にしているところではありますが、大切なことだということは認識してはいても、まだまだそれを経営に落としていくというところまで、しっくり腹落ちしながら進めているという段階にはないと思っています。これからどう取り組んでいくのかを、欧州のクラブから学ぶことは相当大きいと思います。
イングランド・プレミアリーグ自体そこへのコミットが強く、世界的に見てもサステナビリティという観点でもし順位をつけるのであるならば、プレミアリーグのクラブが上位にいるのが事実です。従って、こういう機会をうまく利用しながら、日本のクラブ関係者に、サステナブルなクラブ経営は「どういう形でやっていくのがいいのか」といったような新たな発見をしてもらうことが今回の大会の大きな目的です。
繰り返しになりますが、トップレベルのゲームはもちろん大事ですが、私たち公益Jリーグとして、サステナビリティを学ぶ機会、子どもたちにも大切な経験をしてあげられるような機会にしたかった、ということはお伝えしたいと思います。
私からはもう一つ、先ほどリーグ戦の入場者数は順調に推移して、成長も感じながらちょうど中間に来たという話だったと思います。ルヴァンカップについても今シーズンより大会方式を変えて今ベスト8(が出揃ったこと)になります。ここまで、例えば、カターレ富山はJ1クラスのクラブと3回対戦しました。勝ち上がると、次にもう1回地域の人が楽しめるゲームができることを実現してくれたのはすごくよかったと思います。お客様も平日でも8,000人来場いただいたり、先日の北海道コンサドーレ札幌のゲームは7,000人に来場いただき、通常のクラブのリーグ戦ではなかなか味わえないような空気を作ることができたのはすごく良かった点です。また、経営面でも上に行けば行くほど、そのクラブの当初予定していた予算を、現時点でクリアできるぐらいの売り上げを獲得することができた点も良かったと感じています。
〔質疑応答〕
Q:インターナショナルシリーズについて。トッテナム ホットスパーは監督がアンジェ ポステコグルーでありVfBシュトゥットガルトは元々日本人選手がいましたが、ニューカッスル ユナイテッドやボルシア・ドルトムントなど、日本人選手がおらず、そういう意味で日本と縁もゆかりもないクラブが日本に来る背景をどうご覧になっているのか。あるいは向こうのクラブから日本に行くメリットをどう聞いているのか。たとえばJリーグが招待する金額がとても魅力的なのか、あるいはそういうことを度外視しても日本に来るメリットを彼らはどのように感じているのか。
どのような背景があってJリーグを相手に選んでくれているという認識をお持ちでしょうか。
A:野々村チェアマン
Jリーグが関わっている以外のチームの事情はよくわかりません。ただ昨年のマンチェスター・シティやFCバイエルン・ミュンヘン、今回のニューカッスル ユナイテッドとトッテナム ホットスパーなど、おそらくアメリカに行った方が金銭的なメリットはあるということは間違っていないと思います。
しなしながら、金銭的なもの以外にも日本に来るメリットを感じてくれ、かつ私たちのオーダーであるアカデミーやサステナビリティに興味を持って一緒にやっていただけるところとマッチメイクをするということです。クラブサイドからの、このクラブとぜひ、というオーダーも理由の中の何番目かにはあります。
Q:このクラブに行き着くまでに相当な候補の中から最終的に絞っていく作業は発生しているのでしょうか?
A:野々村チェアマン
すごい(数だと)と思います。海外のクラブやリーグとのコミュニケーションは、現地に行って色々とっているので、今回日本に来たいと言っているクラブとはもちろん1年以上前から話をしたりしています。もっと多くのクラブに打診したり、打診されたり、打診してきたが実現に至らなかったということは当然ながらあります。このチームだけを数ヶ月前からというより、多くのクラブと1年以上前からコミュニケーションをとっています。今年は来なかったけれど来年なら、というところももちろんあります。
来年以降は、色々な状況の変化も含めて話し合いながら決まっていくと思います。
Q:海外のクラブが日本に来るメリットはどのように考えていますか。
A:野々村チェアマン
結構あるのではないでしょうか。パートナー関連もあれば、日本全体にプロモーションしたいという面でも日本は魅力的な国であることに間違い無いと思います。日本の文化も含め、色々な要素はあると思います。
Q:先ほどの話を聞いていると、かなり交渉に手間や時間をかけていると思うのですが、オンラインベースでやり取りをしているのか、出張して向こうで交渉しているのでしょうか。Jリーグはヨーロッパに拠点があるわけでは無いと思うのですが、その辺りはどう行っているのでしょうか。
A:野々村チェアマン
もちろんオンラインで繋がることができる時代ですが、先方のそれなりの方達と話をする際は基本的には私が現地に行っています。最初は、日本の代表としてスタッフと2人で行き、然るべき人を紹介してもらい、ヨーロッパのトップレベルのクラブ、10クラブ以上と話をしています。今年だけでも2、3回行きました。
Q:基本はチェアマンが営業をかけているということでしょうか?
A:野々村チェアマン
大会を実施するためということ以外にもコミュニケーションをとった方が良いことはたくさんあります。色々な学びの場にしたり、日本はこうだと正確に伝えることも距離の差を埋めるのには大事なことなので、様々なコミュニケーション中の話題の一つがこれという感じです。
Q:Jリーグが主催ということですが、観客が何万人入ったら黒字になるという見込みはあるのでしょうか。あるいはスポンサー集めについても、この時点である程度見込みはあるのでしょうか。円安がすごい状況なので招集するにも随分費用がかかるのではないでしょうか。
A:野々村チェアマン
お金を出せば来るというのもありますが、それ以上のメリットを感じてもらえ、かつそれなりのコストで来てもらえるようなクラブを招聘しています。どのラインにいくと黒字になるという数字はありますが、そこに関してはまだ試合が始まってみないとわかりません。とても手が届かない目標ということではないと認識しています。
Jリーグですので、ビジネス的な面も大切ではあるのですが、公益性というところでアカデミーやサステナビリティというものを大切にしており、ビジネスのためだけにやっているものではないということはお伝えしておきたいと思います。
Q:サステナブルな経営の話をされていましたが、チェアマンの認識におけるサステナブル経営というのは、環境問題などの取り組みを指すのでしょうか?
A:野々村チェアマン
環境分野が大切だと皆分かってはいるのですが、それをフットボールビジネスの中にどう取り込んでいくと実際にクラブにお金が落ちたり、クラブの周りのサポーターがそれを意識してくれるようにするには、フットボールの中でどのようにしたら良いのか、リーグ、クラブがまだ分かっていないところがたくさんあります。
特にトッテナム ホットスパーやリヴァプールFCなどはその点において大分先をいっているので、彼らのようなクラブにカンファレンスで講義をしてもらい、なるほど、という発見があると良いと思っています。
Q:シーズン移行期の大会方式に関しての議論はどのような状況なのか、またどのぐらいの時期に決定するのか教えてください。
A:樋口執行役員
詳細も含め、本日はまだ発表できる段階にはありません。本日の理事会でも時間を取って議論いたしました。大枠の方針については、Jリーグ、クラブや理事会の中で方針はある程度合意できていると思っています。今後は、選手会や様々なステークホルダーとの調整が必要だと思っています。現状、いくつかアイデアがある中で、昇降格がない方が良いのではないかというのが有力な案になっています。3ヶ月程度の大会で昇降格を決めるのは極めて大きな影響があります。選手にはワールドカップの直前でもあることからも、3ヶ月間最後まで強度を持ってやってもらいたいと思っています。お客さまにも1試合、1試合、最後まで楽しんでいただきたいですし、クラブのビジネス面でもしっかり機能させる必要があります。その辺りの細部の設計も含めてもう少し時間を掛けたうえで、改めてこういう大会にしたいということをしっかりと発表させていただきたいと思います。タイミングとしては、例えばどのような賞金体系にするかといったこと等も含めると、予算の設計もあることから、1、2週間での発表にはならないと思っています。
Q:前半戦が終わったタイミングですし、野々村チェアマンにお伺いします。下馬評を覆してFC町田ゼルビアがJ1で首位。東京ヴェルディも昇格して中位につけています。町田の首位に関して、驚いているか、いないのか等、感想をいただければと思います。
A:野々村チェアマン
解説者ではないので、シーズン前に予想もしなくなっていますし、予想もしていないことから、予想とは違う、予想通りといった感覚は持っていません。
私たちJリーグの立場からすると、クラブが成長する中で、売り上げも含めて現場、選手、監督といった現場にどれだけ投資できているかが、この先を考えるとすごく大事だと思います。それをベースに考えると、今、上位にいるクラブは一定レベル以上しっかりとその成長があります。ビジネス面での成長を現場にしっかりと投資できているというところがあると思いますので、通常のサッカーの考え方からすると、(それらのクラブは)上位に行っておかしくないと思います。
戦術的なことはここで話すつもりはありませんが、そういった要素はあると思います。少し違った見方ですが、お金だけではなく、スタジアムの雰囲気がどれだけ素晴らしいかによっても成績は変わってくると思います。上位のクラブ、または皆さんが予想しているよりもだいぶ上位に行っているクラブはスタジアムの空気感や雰囲気づくりなど全体でクラブ力がうまく発揮できているとことだと思っています。
Q:日本人選手の海外移籍の時期になってきました。今シーズンに入る前に、Jリーグとして移籍金を上げようという大きな目標を掲げていました。円安等もありますが、現状と感触はどのようなものか、教えてください。
A:野々村チェアマン
みんなで目指し始めてまだ間もないので、すぐに変わるとは思っていません。ただ移籍金をより良い形でクラブの経営に回していこうという意識は間違いなく上がっていると思いますので、引き続きしっかりと見ていきたいと思っています。
Q:笹田さんに入場者数についてお伺いしたいのですが、インバウンド関連の数字を具体的に把握しているのであれば、海外から何名が試合観戦に来ているのか等、教えていただきたいです。
A:笹田執行役員
インバウンドの数字については、全体で何人という把握はできていませんが、例えばセレッソ大阪など、各クラブからは今年になって増えていると聞いています。具体的には、1試合で200~300人が来ているという話は聞いているのですが、クラブごとにかなりバラつきがあり、リーグ全体でまとまった情報は把握できていません。これからもリーグとクラブで、一緒にインバウンドの来場者数を増やしていくということに取り組んでいきたいと思っています。
Q:Jリーグの60クラブの中で10クラブ程度がチケットぴあのインバウンドに対応する英語版サイトに参加していると思いますが、今シーズンが始まっても10クラブに留まっています。その理由やこれから増やしていく方法や方針をJリーグはどのように考えていますか?
A:笹田執行役員
今、おっしゃっていただいた通り、Jリーグチケットのインバウンド向けのサイトは約10クラブが利用しています。Jリーグとしては、国立の試合を今年から非常に増やしていますが、インバウンドの方々にとって国立は一番行きやすい会場ではないかと思います。我々Jリーグもインバウンドの集客を国立開催の試合からやっていくトライアルをして、そこでうまくいった結果をクラブにも共有していく流れを今年から作っていければと思っています。