2024年6月10日(月) 12:00
審判DVDシリーズ第三弾『トリオ』販売記念インタビュー前編:Jリーグのトレーナーを目指して大学に進んだ笠原寛貴プロフェッショナルレフェリーの分岐点
Jリーグ担当審判員の舞台裏を追ったDVD『トリオ ~セクステット』は、レフェリー、アシスタントレフェリー、4thオフィシャル、VAR、AVARの『納得感あるゲームの着地』のための努力、舞台裏に迫り、一試合にかける情熱を映し出している。
https://w8sports.stores.jp/items/65993bd43fed3c0bdd602104
スタジアム到着時の選手同様の人間味あふれる表情から、プロの姿勢を感じる試合前の濃密な打ち合わせ。そして、アスリートさながらの試合中のレフェリングと試合後の安堵感。
DVDのメインとなるのは試合中にセクステットがフットボールというスポーツを、競技規則を駆使して円滑に進める中で多用するコミュニケーションシステム(ボケイロ)の音声だ。
収録された現場感溢れる音声は、お世辞にもクリアとは言えないが、テロップフォローによって逆に臨場感、ピッチのリアルが感じられる。
そんなドキュメントの主人公の一人が笠原寛貴プロフェッショナルレフェリー(PR:日本サッカー協会(JFA)と契約するプロの審判)である。DVDを御覧頂く前に、笠原PRがどのような方なのか知って貰うためにインタビューを行った。前編と後編に分け掲載したい。
――サッカーを始めたきっかけを教えて下さい。
「私が通っていた小学校には、サッカー、ソフトボール、バスケットボールのチームがありまして、皆、いずれかのスポーツを選んでいました。私は、サッカーを選んでいた三つ上の兄の影響で小学三年生からサッカーを始めました。ただ、元々、兄は野球をやっていました。というのも、父が社会人まで野球をしていまして、兄と私を連れ、社会人の練習や試合に行っていたそうです。ですから、父の影響で兄も最初は野球をやっていました。しかし、小学生に入る前にキャッチボール時のフライが顔に直撃したらしく、それ以来、兄は野球をやめて、サッカーを始めたと(笑) 兄弟は、兄がやっているスポーツに弟も影響される事が多いじゃないですか?兄の顔にボールが当たっていなければ、サッカーをやっていなかったかもしれませんし、そうなると今、こうやってJリーグに関われていないかもしれません。」
――幼少期に転機が訪れていたのですね(笑)小学校ではどのポジションでしたか?
「最初はフォワードでしたが、徐々にポジションが下がり、中学校と高校ではセンターバックでした。小学校は県大会には出場できる程度でしたが、中学校ではキャプテンを任され、県大会で準優勝する事が出来ました。」
――高校は、学業を大事にする県立に進学されました。
「学業推薦で入学させて頂いたのですが、その頃からグラウンドが芝生になったり、選手も集まってくるなど、サッカーにも力が入っていました。ですが、他校に東福岡高校など強豪校も多く、ベスト16くらいで敗退してしまいました。私の世代で有名だったのは、石津大介さん(元アビスパ福岡など)ですね。高校時代のチームメイトでゴールキーパーだったのが、DVD『トリオ』に収録された試合で4thを務めた先立圭吾さんです。先立さんは隣の学区だったので、区の選抜で一緒になることもあり、小学校から面識がありました。」
――センターバックとGKのコンビが、DVD『トリオ』ではレフェリーと4thを務めたのですね。大学ではサッカーは続けられなかったのでしょうか?
「通学に二時間かかること、またカリキュラムも一般的な学部よりも多く、体力的にも部活に時間をとるのは難しいと判断しました。そんな中で、母校である高校の顧問から、コーチに来ないかと誘って頂いたのをきっかけに、コーチへの興味を持ちました。ただ、顧問が異動になってしまったので、高校ではなく、母校の中学校で四年間コーチをしました。」
――コーチからなぜレフェリーの道に進まれたのでしょうか?
「元々、審判に興味はあったので、大学一年生から中学校でコーチを始めた時に、四級審判員、そして三級審判員とすぐに取得しました。」
――「審判に興味があった」のですね。トップレフェリーの方々の取材をさせて頂いていますが、ほとんどの方が最初は嫌々やらされている事の方が多いように感じます。
「そう聞きますよね。でも、私は嫌々ではありませんでした。小学生の時から、レギュラーで試合に出場した後、立候補して副審をやっていました。それは、中学や高校でも変わりません。逆に、「じゃんけんして負けた人がこの後の試合の審判」みたいな決め方をした記憶がないです。」
――顧問の先生が国際審判員やJリーグ担当審判員でもないのに珍しいですね。では、トップレフェリーを目指そうと思ったきっかけは何でしょうか?
「大学に進学したのは、サッカーに関われる仕事に就きたいと考え、Jリーグのトレーナーになるためです。大学入学後、すぐに中学校のコーチも務めるのですが、生徒たちが夢や目標の話をしないのが気になりました。自分には無理だと最初から諦めていたり、そもそもで夢や目標自体がない生徒もいました。その生徒たちを見ていて、まず自分が夢を目指す姿をみせて、最終的には夢を与えられる存在になりたいという気持ちが湧いてきたのです。そんな思いがあった時に、Jヴィレッジでの最後の11人制の大会となった全日本少年サッカー大会(現:全日本U-12サッカー選手権大会)にレフェリーとして参加させて頂く機会に恵まれました。同じ福岡県出身の方が、前年の決勝を担当されていた事もあり、参加する前にお話しを伺い、私自身も参加するからにはベストを尽くそうと臨みました。全日本少年サッカー大会は将来の一級審判員を目指す方も多く、全国から60名近い審判員が集まり、切磋琢磨し、その中で色々な事を吸収できました。そして、結果として決勝戦のレフェリーも務めさせて頂けた。レフェリーにやりがいや楽しさも感じていましたし、生徒に夢を追う姿を見せ、最終的には夢を与えられるようになりたいと考え、トップレフェリーを目指す事にしました。余談ですが、決勝戦の副審は先立さんが務めました。」
後編では、DVD収録当日の心境や選手とのコミュニケーションについてお伺いし、エピソードを交えて語って頂けました。
【収録内容】120分
■CHAPTER.1
2023明治安田生命J1リーグ 第33節 川崎フロンターレ vs. 鹿島アントラーズの舞台裏
〇試合前の舞台裏
日本のトップリーグである明治安田生命J1リーグ、終盤戦というシビアな試合にレフェリーがどのように臨んでいるのか。舞台裏にカメラが潜入する。
・スタジアム入り
・審判団控室の様子と打ち合わせ
・ピッチインスペクション
・ウォーミングアップなど
〇ピッチでのコミュニケーション
レフェリーチームが使用するコミュニケーションシステム「ボケイロ」の音声を独自収録(音質は聞き取り辛い部分があります)。
レフェリーチームと競技者とのコミュニケーションをテロップフォローで追いながら、試合全体の映像とレフェリーやアシスタントレフェリーを追った二画面映像で、普段は見られないレフェリーの世界をご覧いただけます。
■CHAPTER.2
2023Jリーグアウォーズ舞台裏
中村太、野村修、越智新次、蒲澤淳一、佐藤隆治、野田祐樹
■CHAPTER.3
Jリーグレフェリングレビュー
佐藤隆治
【商品概要】
■先行販売サイト:https://w8sports.stores.jp/
■販売日:2024年5月31日
■協力:公益財団法人日本サッカー協会 審判委員会
■制作:公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
■発売元・販売元:データスタジアム株式会社・株式会社ダブルインフィニティ
■映像収録時間:本編120分
■価格:6,160円(5,600円+消費税)
■先行予約受付期間:
~6月10日(月)までの御購入は40%OFF、
6月11日(火)~6月30日(日)の御購入は35%OFF、以降未定
【DVD審判シリーズとは】
〇第一作(2019年):審判 ~ピッチ上の、もう一つのチーム
https://w8sports.stores.jp/items/5cc18308d211bf72eafbf0a8
デジタルカメラ一台でフィットネステストや研修会、試合の舞台裏を撮影。
撮ったままの「審判の人となり」を映し出した。
※YFFFアワード2020 観客賞受賞作品
〇第二作(2022年):レフェリー ~監督や選手とのコミュニケーションの舞台裏
https://w8sports.stores.jp/items/60c714d8e9ccb27a9bbce20d
試合中の監督や選手とレフェリーのコミュニケーションとは?
レフェリー本人への独自取材で映像と共にひも解いていく。