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2024年度 第5回Jリーグ理事会後会見 および2023年度クラブ経営情報開示メディアブリーフィング発言録

2024年5月30日(木) 12:00

2024年度 第5回Jリーグ理事会後会見 および2023年度クラブ経営情報開示メディアブリーフィング発言録

2024年度 第5回Jリーグ理事会後会見 および2023年度クラブ経営情報開示メディアブリーフィング発言録
 

2024年5月21日

2024年度 第5回Jリーグ理事会後会見 および
2023年度クラブ経営情報開示メディアブリーフィング発言録

2024年5月21日(火)17:00~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施

登壇:執行役員 青影 宜典 
クラブライセンスマネージャー 大城 亨太
陪席:執行役員 笹田 賢吾
   執行役員 樋口 順也
   海外事業部部長 助川 卓矢
司会:広報部部長 仲村 健太郎 

〔司会(仲村広報部長)より説明〕
本日開催いたしました第5回理事会後の会見および2023年度クラブ経営情報開示メディアブリーフィングを開催いたします。

【第5回理事会後会見】

《決議事項》
1.Saudi Pro League(SPL)との戦略的パートナーシップ協定の締結について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=6d25be64-9e41-4dc7-b3d5-3c2723c75eec&y=&m=&q=

皆様は既に報道等でご存知かもしれませんが、日本とサウジアラビアが本日ビジネスフォーラムを開催しており、野々村チェアマンも本日そちらの会合に出席しています。
それに関連して、Jリーグは2024年5月20日(月)、サウジアラビアのプロフットボールリーグ Saudi Pro League(SPL)と戦略的パートナーシップ協定を締結いたしました。今回の戦略的パートナーシップ協定により、両リーグが緊密な連携を図ることで、東西アジアのトップランナーとしてアジアのフットボールをけん引する存在となることを目指して参ります。
本協定により、フットボール水準の向上を目的とした人材交流、両リーグの成長と発展を目的としたワークショップ、ビジネスカンファレンスの開催、育成などに関する情報共有、および交流イベント、親善試合などを通じた国際交流を行っていく予定です。
協定期間は、2024年5月20日から2025年12月31日までとなります。
なおJリーグは、提携しているアジア各国に対し「提携国枠」を設定しており、提携国の国籍を有する選手は、試合エントリー時において外国籍選手ではないものとみなされますが、今回戦略的パートナーシップ協定対象国となるサウジアラビアの国籍を有する選手はこれに該当いたしませんので、ご承知おきください。
過去、スペインのラ・リーガやオーストラリアのAリーグとのパートナーシップでも提携国枠選手扱いとしないこととしましたが、今回も同様の扱いとなります。

《報告事項》
1.JFA 懲罰規程改正 適用開始日について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=4b27aa6b-d305-43b8-a23b-9d699a34cb4e&y=&m=&q=

3月7日に日本サッカー協会の理事会にて承認された「JFA懲罰規程」改正内容(4月1日より施行)を、5 月25日(土) のJリーグ公式試合より適用開始とすることを決定いたしました。
それに合わせて、「出場停止処分に関する取扱いについての細則」についても一部更新をしています。また、先月の理事会でも、本件の適用日と同時に、審判員の懲戒処置に明らかな誤りがあった場合の取り扱いについても検討していることをご説明いたしましたが、こちらの件につきましても、本日公表いたします。

《決議事項》
2.「審判員の懲戒処置に明らかな誤りがあった場合」の取り扱いについて
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=4be5b5b5-eaaa-45da-9a78-ce71f53102d7&y=&m=&q=

Jリーグ規律委員会における「審判員の懲戒処置に明らかな誤りがあった場合の取り扱い」に関するルールを決定しました。
FIFAならびにAFC規律委員会の権限において「明らかな懲戒処置の誤りを修正する」ことが明記されていること、またAFCをはじめ海外リーグにおいても同様のルールを運用していることから、本ルールを先ほどの懲罰規定の適用日と同じ5月25日(土)より導入することを決定いたしました。
試合で審判員が下した懲戒処置に対して、その後、規律委員会において懲罰を検討することになりますが、今回審判員の懲戒処置に明らかな誤りがあった場合、懲罰を科さないということを事後に決めることができるルールを設定いたしました。
懲罰を科さない場合とは、競技規則第12条第3項〔退場となる反則〕に定める違反行為のうち、退場となる反則に該当するものとして主審が退場を命じたにもかかわらず、主審が命じた当該退場の懲戒処置に『明らかな』誤りがあった場合を指します。即ち1発退場になったケースを今回の対象とし、2枚警告をもらって退場したケースは今回の対象には該当いたしません。リリース(上記URL参照)の(1)~(7)が競技規則に書かれている退場に該当する反則です。
また、懲罰を科さないことを決定した場合、公式記録及び反則ポイントの運用については、公式記録の訂正は行わないが、反則ポイントは加算しないということといたします。

《報告事項》
2.2024/25シーズン AFCクラブライセンス判定結果について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=c5548fac-8226-4374-980d-29160baf45b3&y=&m=&q=

まず、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2024/25の出場権を獲得している川崎フロンターレ横浜F・マリノスヴィッセル神戸、そしてAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)2024/25の出場権を獲得しているサンフレッチェ広島の4クラブ対して、AFCクラブライセンス判定の結果、2024/25シーズンのAFCクラブライセンスが交付されましたことをお知らせいたします。
なお、詳細についてはクラブライセンスマネージャーの大城よりご説明いたします。

〔大城亨太クラブライセンスマネージャーから説明〕
2024/25シーズン AFCクラブライセンス判定結果の概要についてご説明いたします。
今ご説明した通り、川崎フロンターレ横浜F・マリノスヴィッセル神戸サンフレッチェ広島の4クラブにAFCクラブライセンスが交付ということになりました。
ただ、広島に対しては、皆様ご存じだと思いますが、5月11日にエディオンピースウイング広島でフラッグ掲出用バトンが落下するという事故が発生し、クラブライセンスの施設基準の中にもスタジアムの安全性に関する要件があることから、審査員の先生方の中で議論となりました。
結論としては、クラブに対し、FIBから発信するクラブライセンスの決定書の中で、特記事項として以下の2点を通知しています。1点目が、迅速な原因究明に努め、再発防止策も含めてJリーグへ速やかな報告を行うこと。2点目が、スタジアムの安全性に疑義が生じる事態となった場合は、クラブライセンスを取消しとする可能性があるということです。

AFCクラブライセンス制度の概要をあらためてご説明いたします。
1.AFCクラブライセンス制度の概要
これまではJ1クラブライセンスがイコール「AFCクラブライセンス」ということで運用を行っていましたが、2023/24シーズンからACLのシーズンのスケジュールが変わったことに伴い、AFCクラブライセンスを5月に別途審査をしなければならないことになりました。2025シーズンJ1~J3クラブライセンスは、2024年9月に判定会議を開催する予定です。

FIBは弁護士2名、公認会計士2名計4名の構成となっています。

AFCクラブライセンスに関する組織構成としては、AFCから各国のFAにクラブライセンスの運用を行うように指導が来ており、日本はJリーグで運用しています。クラブライセンス交付第一審機関(FIB)は、Jリーグからは独立した存在です。任命は理事会で行っていますが、完全な第三者機関として審査、判定をしています。

審査スケジュールとしては、5月までに段階的に財務状況等の資料をご提出いただき、5月16日にFIBによる判定会議を行いました。

2. 判定結果、制裁および特記事項など
判定結果については、本日ご説明した通り、申請があった4クラブ全てにライセンス交付ということになりました。

ただB等級基準において、一部未充足で制裁を受けているクラブがございます。クラブライセンスの基準は、A・B・C三つの等級に分けられており、A等級の基準を充足していないとライセンスは交付されないのですが、B等級の基準に関しては、クラブライセンスの交付には影響しないものの、未充足の場合には制裁を科されるというルールになっています。今回、広島と神戸が人事体制・組織運営基準の3つの項目で未充足があったことで、制裁としてクラブ名を公表する形になりました。

人事体制・組織運営基準におけるB等級基準は、リーガルアドバイザーとテクニカルダイレクター、GKコーチ、フィットネスコーチの4つです。
2022年AFCクラブライセンス基準の改定に伴い、Jリーグの国内交付規則も改定をいたしましたが、AFCが求める資格について、これまでリーグとして基準に充足する者の配置を推奨していなかったという背景やAFCの改定がやや急に行われたこともあり、J1ライセンスの判定においては、未充足であっても制裁を科さないという対応を、審査員の先生のご判断で行っていただいています。しかしAFCクラブライセンス上は、それができないことになっていますので、今回制裁という形になりました。制裁のメニューは、クラブ名を公表するということになっています。

先ほどご説明した広島のフラッグ掲出用バトンの件、この特記事項もクラブライセンスの判定結果に影響はありませんが、クラブに注意喚起を行っておくべき事項を通知するものということで決定書に記載しています。

〔質疑応答〕
Q:Saudi Pro League(SPL)との戦略的パートナーシップ協定の内容ですが、もう少し具体的に人材交流とはどういったものかなど教えていただけますか。

A:助川海外事業部長
本件に関してはSPLと戦略的パートナーシップを結んだ段階で、具体的な内容はこれから詰めていきます。現在、話し合いをしている状況ですので、具体的な案件は決定次第、発表いたします。

Q:AFCライセンスの件ですが、昨年、横浜F・マリノスが(人事体制・組織運営基準に関するB等級基準が)未充足で、今年は入っていない(未充足ではない)のですが、どのような点が変わって今季は充足しているのか、また資格要件を満たすというのは、どのような資格があればいいのかルールも含めて教えてください。

A:大城クラブライセンスマネージャー
審査の関係もありますので、個別クラブの状況についてこちらからご説明することは控えたいと思います。今年、ヴィッセル神戸サンフレッチェ広島が制裁を受けているテクニカルダイレクター、GK・フィットネスコーチなどの役職の方は当然、それぞれのクラブにいらっしゃると思いますが、AFCの基準では、例えばテクニカルダイレクター、日本ではGM、強化部長の役職がそれにあたりますが、そういった方にも指導者ライセンスの保有が求められています。国内では一般にその役職を務めていても、指導者ライセンスを持っていない方もいるので、そこで未充足という状況が生まれています。
フィットネスコーチについてもAFCのライセンスを保有していなければいけない形になっており、例えばフィジカルコーチで、ヨーロッパや南米のライセンス等を保有している方も該当しないということになってしまいます。未充足のクラブがクラブ経営上、人員が不足しているかというと、一概にそうとも言い切れず、AFCが求めているライセンスを保有している方がたまたまいないという状況です。GKコーチもフィットネスコーチもこれから取得していただくことも可能ですが、ルール上1年、2年で取得できるものではなく、段階的に基礎的なライセンスから取得していく形になりますので、J1ライセンスの運用においては審査員の判断で制裁を科さないことにしています。しかし、AFCクラブライセンスではそれができないので形式的に制裁が科されたという状況です。昨年未充足であったクラブが今回未充足となっていないということは、そういう資格を保有している方が今年はクラブにいるということです。

Q:今回のサウジアラビアとのパートナーシップの件についてお聞きします。過去の提携国は基本的に東南アジア、スペイン、オーストラリア、アジアの場合は東南アジアだったと思いますが、西アジアと提携を結んだ背景は。アジアのサッカーの主導が西アジアに動いていると感じてのことなのでしょうか。

A:助川海外事業部長
サウジアラビアはご存知の通り、FIFAワールドカップ誘致を唯一している国でもありますし、サッカーへの投資を最も多く行っている国ということから、Jリーグの海外戦略を東南アジアで続けながらより広げていこうとしたときに、まず、サウジアラビアとコミュニケーションを取っていくのが一番いいのではないかということで、今年から始めていることが理由の一つ。また本日開催され、チェアマンも参加した「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」の一つの要素としてスポーツがあることで、それを我々Jリーグとして具現化していくことも一つ。これはリーグ間のみならず国と国との関係という意味でも重要な役割を果たせるのではないかという要素もあり、サウジアラビアとの関係性を構築してきたことで、今回の提携にこぎつけたという経緯です。

Q:協定内容の3つのうちの一番上にある人材交流はどういった人材を想定しているのか。

A:助川海外事業部長
フットボール面はもちろんですが、どちらかというとビジネス面も含めた両リーグの交流を今後幅広く広めていきたいと考えています。サッカーを通じてビジネス面の交流を深める意味ではビジネスカンファレンス等を実施するといったところまで広げてできないかと先方のリーグと話し始めているところです。なるべく早いタイミングでそのようなことを実現していきたいと思います。政府等を巻き込んで実施できれば最高だと思いますので、積極的に今、コミュニケーションを取っているとご理解いただければと思います。

Q:協定期間が2025年12月31日までなのですが、これは基本的には更新していくという認識でよろしいですか

A:助川海外事業部長
チェアマンの任期も少し意識しながら、一旦区切りを2年にしていくのが良いのではないかということでこのタイミングにしました。今後も継続できるような関係性を作っていきたいと思います。

Q:「審判員の懲戒処置に明らかな誤りがあった場合の取り扱いについて」ですが、公式記録の訂正は行わないということですが、取り消しになったということはどこで確認すればよいのでしょうか。

A:樋口執行役員
どこで確認できるかについては、後ほどご連絡いたします。おそらく、公式記録上に注釈で補足されることになると思います。

Q:加筆されるということですか

A:樋口執行役員
その場だけで完結されることが望ましいと思いますので、そうなると思います。

A:仲村広報部長:
今後の運用の話になってきますが、一発退場の場合、規律処分として出場停止試合数に関するリリースもJリーグから出していますので、取り消される場合はそことも絡んでくると思います。

Q:今の「審判員の懲戒処置に明らかな誤りがあった場合の取り扱いについて」ですが、4月からJFAは採用、導入していて、Jリーグではこの件について慎重に議論した結果、このタイミングになったと思うのですが、具体的にはどのあたりで難航した、慎重になったということがあれば教えてください。

A:樋口執行役員
JFAで懲罰規定が変更となったのが3月のタイミングです。それが4月1日から適用されることになっていますが、実際にいつ適用するかは、各競技会に委ねられています。Jクラブが参加する協議会は、明治安田Jリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯となります。改定された懲罰規定をいつから適用するかについては、今回、退場の出場停止の試合数が増えるという一部厳罰化される部分があるので、単純に厳罰化されるものだけを導入するのではなく、AFCなどでも取り入れられている「明らかな誤りがあった場合は、懲罰が科されない」というルールを一緒にセットで導入しないと整合性が取れないという議論がありました。従って天皇杯の1回戦が開催される5月終盤のタイミングを目標に検討を重ねてきました。
なお、「審判員の懲戒処置に明らかな誤りがあった場合の取り扱い」についてはJリーグのみになり、現時点で天皇杯には適用されないことになっています。今後、天皇杯で適用されるかどうかについてはJFAとの連携が必要だと思います。

【2023年度クラブ経営情報開示メディアブリーフィング】

〔司会(仲村広報部長)〕
2023年度のJ1・J2・J3全60クラブのうち、決算期がずれている柏レイソル湘南ベルマーレを除いた58クラブについてご説明いたします。資料はコーポレートサイト上にも掲載しています。
例年同様、個別のクラブに関するリーグとしての評価やコメントは控えさせていただきます。ご承知おきください。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/about_jclubs/management_jclubs/

〔大城クラブライセンスマネージャーより説明〕
2023年度クラブ経営情報についてご説明いたします。

今説明があった通り全60クラブのうち3月決算クラブである2クラブを除いた58クラブの情報となっています。全60クラブの状況については7月にご説明させていただく予定です。

例年2段階発表を行っていますが、理由としては大きく2点あり、1つ目は迅速な情報提供です。ほとんどのJクラブが1月決算で、4月末に決算が確定し我々にご報告いただいていますのでそれを速やかに5月に開示しています。もう1点の理由として、これからJ1・J2・J3ライセンスの審査のプロセスが進んでいく上での、そこに関連する透明性・公平性を担保するために2段階発表を行なっています。

本年度の主なトピックです。繰り返しになりますが、柏・湘南の2クラブを除いた数字になっています。①売上高としては58クラブ合計で過去最高の1,445億円となりました。58クラブ中43クラブが増収です。特に入場料収入が前期比138%と大きく成長し、コロナ前を上回る数字となりました。また、個別のクラブとしては、浦和が100億円を越えています。②に記載されている売上原価・販管費、費用側ですが、こちらも過去最高となっています。成長した売上高がしっかりとトップチーム人件費に投資されてフットボールの魅力向上に繋がっていると評価をしています。

こちらのグラフは売上高の推移です。2019年から2023年の5年分を並べたものになっています。1番濃い色がスポンサー収入、真ん中が入場料収入、1番上がその他となっています。売上高の全体の数字としては、昨年ご説明したとおり2022年度時点で2019年を上回る数字となっていましたが、22年度と19年度を比較すると、真ん中の入場料収入はまだコロナ前に届いていませんでした。ただ23年度は19年度の数字を上回り、完全にコロナ前を上回る成長曲線に戻っていると考えています。

費用は、収入と同様に増加傾向にあり、先ほどお話ししたようにチーム強化にもしっかりとお金が使われている結果となっています。

ここからは、60クラブがそれぞれの地域で輝く、トップ層がナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く、という2つの成長テーマに関連する経営情報を少し整理しています。「60クラブがそれぞれの地域で輝く」という観点では、売上高が増加したクラブが全体の中でどのくらいあるか、チーム人件費が増加したクラブがどのくらいあるかを示す数字を整理しています。
2点目の「トップ層がナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く」については、売上高上位のクラブの推移に関し、売上高上位20クラブの平均、売上高50億円以上のクラブ数、売上高成長率上位10クラブで整理していますので、ご説明いたします。

売上高・チーム人件費が増加したクラブ数です。上段が売上高になっておりJ1、J2だと8割〜9割のクラブの売上高が増加した結果になっています。特に入場料収入が増加したクラブが多いという状況です。売上原価・販管費も同じように増加しているクラブが多く、トップチームの人件費に投下されているという評価です。

こちらは2023年に在籍したカテゴリーごとのクラブ売上高の3年間の推移を整理した表です。一番左がJ1在籍クラブで、前年度比で青が増加しているクラブ、赤が減少しているクラブとなります。売上高全体の推移ですが、ご説明したようにJ1・J2ともに増加したクラブが多いことが見ていただけるかと思います。

売上の科目の中でもメインのスポンサー収入と入場料収入に関しては個別に整理しています。

こちらはトップチーム人件費の推移です。

続いて、売上高上位のクラブの状況です。こちらも19年から23年の比較になっています。
青の折れ線グラフで表現しているのが、売上高上位20クラブの平均の売上高の推移です。
昨年、コロナ前の48億円を若干下回る45億円だったのですが、今年上位20クラブの平均が初めて50億円を越える状況になっています。
棒グラフで示しているのが売上高50億円以上のクラブ数の変動です。こちらは、昨年同様9クラブでした。

上位20クラブを並べたものです。繰り返しになりますが、浦和が100億円を越え、緑色の清水までの9クラブが50億円を超えています。

続きまして売上高成長率の上位10クラブです。円の大きさはクラブの売上高の大きさを示しており、藤枝、町田、新潟と成長率が高かった順に右から並べています。藤枝はJ2昇格のシーズン、町田はJ1昇格に向けて戦っていたことで、昇降格に関係したクラブが成長率も高かったという状況です。

こちらは情報開示からは外れるのですが、クラブライセンスの財務基準が、コロナ以降、若干複雑な運用になっていましたので、改めて簡単にご説明いたします。
23年度決算は、グレーの部分の特例措置期間でしたので、債務超過や3期連続赤字はライセンス交付の判定対象とはしておらず、我々が個別にクラブの資金繰りの状況などを確認していました。今後は、進行期である24年、25年の2年間かけて元々の制度、3期連続赤字、債務超過NGというルールに戻していく予定になっており、進行期に関しては、猶予期間という形で少し厳しくなります。従って、債務超過であっても債務超過の額が超過してはいけない、資産超過で着地したクラブは進行期に新たに債務超過に陥ってはいけないというルールとなっています。3期連続赤字についても、過去の連続赤字をカウントすることはありませんが、24年度から赤字のカウントをスタートするため、今年赤字になってしまったクラブは1年目としてカウントし、その後特例措置なしに戻していく流れになります。従って、23年度に関しては債務超過や連続赤字は、特にライセンスの交付には影響は与えませんのでご承知おきください。

別資料(https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/club_info/j_kessan-2023.pdf)で、J1・J2・J3クラブごとの一覧表もお配りしていますが、それをカテゴリーごとに合計した数字の前年比較、J1・J2・J3クラブ平均、営業収益の主要項目の推移、平均入場者数のデータを(情報開示資料のAppendixに)記載しています。

最後は赤字と債務超過の違いです。赤字はその年の収入と費用の差分から出てくるもので、債務超過はそれに加えて資産の状況も反映したものになっています。

今年も一部債務超過のクラブもありますが、親会社からの支援が中期的には決まっている状況などですので、特に現時点で資金繰りの懸念や大きなリスクを抱えているクラブはございません。しかしながら、先ほどご説明したように、財務基準上は25年末までに債務超過を解消しなければならないので、当期の利益で解消していくのか、資本金を増やす意味での増収を実行するのか、各クラブと綿密にコミュニケーションをとりながら、このような形で解消していく見通しです。

〔質疑応答〕
Q:損益計算書の見方について、「その他」収入にクラブごとに差があります。移籍金収入や指定管理などの収入も含まれているのでしょうか。他にこのような収入もあるということについて、個別のクラブについてはお話しいただけないかと思いますが、一般的なサッカークラブの収入として、どのような項目があるのか教えてください。

A:大城クラブライセンスマネージャー
ご質問の通り、移籍金、施設の指定管理を行っているクラブにはそうした収入も含まれます。またリーグ戦やACLの賞金、出場給なども「その他収入」に入ってきます。

Q:シーズン移行した後の決算期はこのままなのか、シーズン移行に伴い、決算期は変更するのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
クラブとも色々と意見交換をしているところで、リーグとして決算期を指定することは無いのですが、決算期がずれるとそのシーズンに得たスポンサー収入をどう按分するのかなどの状況が生まれてきますので、移行後のシーズンに決算期を合わせるクラブが増えるのではないかと思います。

Q:Jリーグ配分金が前年度からJ1、J2、J3ともに大きく減額されていますが、どのような理由があるのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
配分金のルールを見直したことにより減額になっています。また、その年の配分金をクラブ側が2023年度の決算に入れるのか、2024年度に入れるのかは、クラブの判断によるところもありますので、期ずれの影響でリーグが公表している配分金合計と、クラブの収益の合計が多少ずれてしまうこともあります。

Q:配分金全体の大枠として縮小していることではないのでしょうか。

A:青影執行役員
一昨年のクラブとのコミュニケーションを通じて、成長戦略をどう描くかの一つとして、配分金構造の見直しがありました。具体的には、これまで同様に均等配分金として配布するのではなく、競争環境を刺激するために傾斜配分金に移行すること、それに加えてクラブが成長できるようなメニューにするために、配分金から投資を生み出していこうということをクラブの皆さまと話し合って、このような形になっています。
クラブのP/Lだけ単体で見ると配分金が減っているように見えるのですが、リーグのP/Lも併せた収支全体で、クラブに対する配分金も踏まえた投資金額として全体像を見ると、ここで見えるほどのマイナスのインパクトはございません。

Q:先ほどの質問に関わることになりますが、シーズン移行した場合の3期連続赤字、債務超過に関して、シーズンを移行したらどのような期間とするのでしょうか。移行シーズンの「0.5期」がどのような扱いになるのか、未決定部分も多いかと思いますが教えてください。

A:大城クラブライセンスマネージャー
シーズン移行前後のクラブライセンス制度の運用については、昨年から検討を行っています。シーズン移行期の半年もそうですが、クラブライセンスをどのような交付の仕方にするのかは大会と連動する部分もありますので、現段階でこうなるというご説明はできません。ご懸念いただいている通り、クラブの決算期変更のタイミングもずれてくると思いますし、イレギュラーなことも想定されます。クラブが不利益を被らないようにしたいと考えていますが、クラブライセンスとしてクラブの財務状況をきちんと評価しなければなりませんので、そこはきちんと両立させていかなくてはいけないと考えています。クラブが不利益を被るような制度改定は考えていませんので、クラブの意向も確認しながら、本年度中には新しい制度運用について決定していきたいと考えています。

Q:今年度の債務超過は7クラブでよろしいでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
はい、7クラブです。

Q:売上高が過去最高ということですが、コロナ前の水準を上回っていると解釈してよいのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
売上高もコロナ前の2019年度を上回っています。

Q:浦和が売上高100億を超えましたが、過去に100億を超えたクラブはあるのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
過去には、2019年に神戸が100億円を超えました。初めてではありません。

Q:アカデミー関連収入がゼロのクラブがありますが、それは他の科目に含まれているのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
アカデミーに関しては、一般社団法人、NPO法人など別法人で運営しているクラブがあります。今回はトップチームを運営する株式会社の決算報告となりますので、アカデミー関連の項目にはゼロと表記されているクラブもあります。
ただ、そういったクラブの状況が見えにくいというご意見がありましたので、何年か前から、クラブごとの損益計算書の売上高の部分に、関連する法人の営業収益だけを参考資料として記載しています。
ただ、アカデミー収入とイコールかと言いますと、別法人でアカデミーだけを運営しているクラブや、スクール運営、その他のことをやっているクラブもあり、法人によって様々ですので、参考として資料に記載しています。
参照:2023年度クラブ決算一覧(https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/club_info/j_kessan-2023.pdf

Q:J1・J2・J3クラブ合計を見ていると、J3の営業損失があまりに多いのですが、要因はあるのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
個別クラブについて詳細な言及を避けますが、相模原、琉球など、大きな赤字を出しているクラブがあるため、合計としてはそうした数字になってしまっています。

Q:浦和の売上高100億円超えについて、2019年の神戸の114億円が過去最高で、リーグとして浦和は過去2番目というとらえ方で間違いないでしょうか。また、全体の売上高がコロナ前を上回っているということですが、クラブ数が増えていると思うので、全体として当然だと思いますが、上位の平均などを見ても平均を見ても増えているから、過去最高を上回っているという考え方で問題ないでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
おっしゃる通りクラブ数は増えていますが、増えたのは新たに入会した売上高3~4億円のJ3クラブです。従って全体に与えるインパクトとしてはそれほど大きくなく、それぞれのクラブの努力で売り上げを伸ばしたことになります。先ほどご説明させていただいた通り、前年の上位20クラブの売り上げ平均が2022年度は約45億円だったのが、2023年度は51億円と6億円増額となっています。新規加盟クラブ数による増加というよりは、J1クラブがけん引してリーグ全体の売り上げが増加していることになります。

Q:1試合当たりの平均入場者数の数字の見方なのですが、リーグとして当初目標があって、この数字は想定内、もしくは想定外なのでしょうか。

A:青影執行役員
個別に色々な1年間の流れがあってこの結果になっていますが、トータルで見ると過去最高の2019年を上回ることを目標としていましたので、そこに若干届かなかったことからも、引き続き今年はそこを上回って行かなくてはいけないと思っています。

Q:関連する法人の売上金額について、数字が記載されているクラブは、決算期が同じなのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
数字が記載されているものは、12月決算または1月決算で今回確定した決算を開示できるクラブです。一方、学校の年度に決算期を合わせている法人が多いのですが、「3月決算」と記載されているクラブは、7月の2段階目の本発表にてご報告いたします。「-」が入っているクラブはそういった法人が無いクラブです。

Q:女子チームの関連収入、関連経費について。物販収入、女子アカデミー収入なども女子チーム関連収入や経費に入るのでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
ご認識の通り、女子チームに関連するすべての収入(経費)が入ってくることになります。これからの課題ではありますが、例えばスポンサーの契約で明確に分けられない契約をしている場合の按分方法はクラブにお任せしています。
物販や入場料はわかりやすいですが、施設使用料など、アカデミーも女子、男子と同じ施設や同じスクールで運営しているクラブもありますので、切り分けが難しいときにクラブのご判断で按分していただいています。分け方はクラブの判断によるものになっています。

Q:この数字が、WEリーグ各チームの運営経費(収入)の数字に直接なっているというわけではないということでしょうか。

A:大城クラブライセンスマネージャー
そのとおりです。

 

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