2024年1月26日
2024年度 Jリーグ臨時理事会後会見発言録
2024年1月26日(金)17:30~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施
説明者:杉本 勇次 役員指名報酬委員会 委員長
中島 正樹 役員指名報酬委員会事務局 コーン・フェリー・ジャパン株式会社
コーポレートガバナンス・アドバイザリー部門リーダー
野々村 芳和 チェアマン
司会:仲村 健太郎 広報部長
〔司会(仲村広報部長)より説明〕
本日開催しました臨時理事会後の会見を開催いたします。
本日は次期役員改選についてご説明いたします。
Jリーグは、本日の理事会にて2023年1月に発足した役員指名報酬委員会からの答申に基づき、次期チェアマン候補者を含む理事、監事を内定者として2024年度定時社員総会および臨時理事会の議案に含めることを承認いたしました。また、チェアマン候補者が承認されることを条件に、2024年度定時社員総会および臨時理事会以降の特任理事、執行役員についても内定者として承認いたしました。本件は、3月19日(火)開催予定の定時社員総会および同日の臨時理事会決議をもって正式に決定いたします。
それでは本日の登壇者をご紹介いたします。
役員指名報酬委員会の杉本勇次委員長です。
役員指名報酬委員会の第三者機関でございます、コーン・フェリー・ジャパン株式会社 コーポレートガバナンス・アドバイザリー部門リーダー、中島正樹様です。
そして次期チェアマン候補者に内定しました、野々村芳和現Jリーグチェアマンです。
それではまず役員指名報酬委員会の杉本委員長より次期チェアマン、理事、監事、執行役員候補者の選任について選考過程及び内定者をご説明いたします。杉本委員長よろしくお願いいたします。
〔杉本委員長より説明〕
役員指名報酬委員会は、2023年1月理事会にて決議し設置され、発足以来のべ16回委員会を開催し、2024年改選にあたってのチェアマン候補者、理事、監事、執行役員の選任案の検討、報酬枠に関する検討、それら規定の検討を行ってきました。
今回チェアマンを含む理事、監事の選任、選考プロセスですが、役員指名報酬委員会が2023年2月理事会にて確認されました選考プロセスというものを踏まえて選任基準等を決定、第三者機関が収集した評価情報を活用し、公正かつ客観的に選考を行ってまいりました。
なお第三者機関に関しては、役員指名に関する知識や選定プロセスの運営経験が豊富で経営者層への一定のネットワークを有しているということ等、委員会の期待水準を満たしうる4社のエグゼクティブサーチファームへの提案依頼を行いました。
そしてご提案いただいた各社の内容を委員会にて検討した上で、コーン・フェリー社へ今回もお願いすることに至りました。具体的な選考基準とアセスメント方法についてはコーン・フェリー社の中島さんよりご説明いただきます。
〔コーン・フェリー社中島氏より説明〕
選考プロセスおよび体制をご説明いたします。
まず選考プロセスを役員指名報酬委員会で設定し、これに基づいて一貫して選考を進め、本日の理事会の答申・決議に至り、皆様への発表となりました。
最初に候補者を評価するための選任基準を確定しました。これをベースに候補者評価に必要な情報を第三者機関の客観的な視点から求め、探し、かつそれを分析したものを委員会に提供する形で公正かつ客観的に選考を行ってきたものです。具体的にはチェアマン候補者、理事、監事、それから執行役員と選考を進めてきました。
次に選考体制です。5名のメンバーを役員指名報酬委員会のメンバーとし、検討をしてまいりました。
社外理事が3名、実行委員2名という構成で、執行とは独立した体制をとりました。事務局には運営をサポートしていただき、かつ第三者機関が選考の公正性、客観性を担保する形で選考してきた体制になります。
選任の基準のベースとしたのは、Jリーグの今後の経営課題です。ご案内のようにJリーグは、フットボール、事業、社会連携という多面的な領域での取り組みを通じて価値を生み出し発展してきた法人です。Jリーグの今後の経営課題は何かというものを大きく要約すると、一つはフットボールの質を向上させることをはじめとし、短・中長期での魅力を向上させていくということ。事業面では、マーケティングを強化することによって、ファンベースを拡大していくこと。またスポンサーやパートナーを獲得していくことで事業としての競争力を増やしていくということ。それから社会連携として、クラブも含め、Jリーグとしての独自の立ち位置からの貢献をしていくこと。この3つを経営基盤としてうまく支え、リーグの組織が、ガバナンスや組織の能力を上げていくことでJリーグの価値を最大化していくということが今後のJリーグの経営課題であることを役員指名報酬委員会で整理し、確認いたしました。
この観点から、現職者はどんな成果をあげ、今後何が期待できるのかということ。新任者については、どの領域で貢献ができるのか。こういった視点で評価、選任を行ってきました。特にチェアマンにつきましては厳格なプロセスで客観的、包括的に評価をいたしました。
現職者の着任後の実績、その分析、まとめに加え、第三者機関が主要スポンサー、JFA会長をはじめとする外部のステークホルダー、それからJリーグの役職員、これらを含めた10名以上の方にインタビューを行い、評価情報を獲得し、多面的に分析をいたしました。それをもとに委員会がさらに現職者にインタビューを実施し、振り返りとしての自己評価、それから今後の課題認識等を行っていただいた上で、それらの結果を全て委員会で総合的に評価をし、選任判断を行いました。このようなプロセスを取った結果を選任の結果と得ることとなりました。
《役員指名報酬委員会委員長 杉本勇次説明》
今、中島さんからご説明いただきました役員指名報酬委員会による透明なプロセスと、客観的なアセスメントによる選考の結果、次期チェアマン候補者として現チェアマンである野々村芳和氏を理事会にて決議、内定いたしました。
また、クラブ理事候補者、社外理事候補者、監事候補者は次の資料の通り決議いたしました。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/release/26623/
まずはチェアマン候補者の野々村芳和氏についてですが、野々村氏は2022年3月の就任後、フットボール領域での新たな施策とガバナンス改革などによる経営基盤の強化に優先的に取り組み成果を上げ、リーグ価値の最大化に向けた改革を起動させました。
今後、これらの成果をさらに拡大、定着させるとともに、さらなる成長のためにtoC領域、社会連携の各種施策の連携や取り組みが多くれている事業、および組織、人のマネジメントでの課題解決に腰を据えて取り組むことで、Jリーグを新たな成長の軌道に乗せ、価値を高めていくことを期待しています。
野々村氏は就任後、2つの戦略を明確に提示し、DAZNとの契約延長に代表される困難な課題に対しても、現場感を持った適切な意思決定を行ってきました。フットボールを最優先する姿勢と、社会価値を追求する志はJFA、スポンサーからも強く支持されています。また、一貫したメッセージの発信と、クラブ社長との信頼関係をベースにした説得力は社内外の関係者から高く評価されています。
toC領域では、チケット収入とクラブの売り上げ、こちらは過去最高を更新する見込みです。これらをJリーグのローカル施策によって後押しし、社会連携では気候アクションをはじめとした各種戦略の方針の議論を進めてまいりました。一方、Jリーグの新規スポンサーの獲得、首都圏でのメディアへの露出拡大等による、各事業の収益性の向上、あるいは組織全体のコミュニケーション等によって社員を束ね、Jリーグをより一層、活力ある組織とするマネジメントは今後さらに取り組みを強化していただきたい領域です。
次期に向けて、野々村氏の一層の能力の発揮を期待すると同時に、今後、Jリーグが取り組むべき課題の重さや多さを踏まえ、野々村氏の能力を補完し、補強できる人材を執行役員として選任し、経営チームを強化するというところも提言しています。
次にクラブ理事候補者、社外理事候補者です。
クラブ理事に関しては、これまでの実行委員としての実績、クラブの特性を総合的に勘案し、大倉智氏、小泉文明氏、小西工己氏の3名を候補としています。
また、社外理事の選考にあたっては、Jリーグ価値の最大化のために、候補者の持つ専門性と経験が理事の意思決定と執行に対する監督に貢献できるという件を要件として、私、杉本勇次、元榮太一郎氏、秋山有子氏、藤原弘治氏、政井貴子氏の5名を候補としました。
新任となる秋山氏はマーケティングの知見により事業の領域で、藤原氏は国内有数の金融機関の経営トップの経験等により、事業、社会、経営基盤を含む経営全体で、政井氏は官民両方の視点とガバナンスの見識により、社会、経営基盤を含む経営全体でそれぞれ貢献が期待できます。
今期、事業、組織運営の両面の改革に貢献してきたと評価いただいた私杉本と、政界からの理解と支持を得る活動を支援してきた元榮を再任することによって、Jリーグの経営課題領域をまんべんなくカバーし、専門性と経験、年齢の多様性とバランスを確保した体制としています。
監事ですが、鈴木秀和氏、小林久美氏、大金直樹氏を候補者として、Jリーグの運営とクラブ経営の双方に精通し、会計士としての専門性を持つ体制を継続して確保することとなっています。
なお、こちらは現監事の過半数の同意を得ております。
任期については、2024年3月19日から2026年3月開催予定の定時社員総会終結時までとなります。
執行役員選任の選考にあたりましては、候補者のこれまでの実績を確認したうえで、今後のJリーグへの経営課題への取り組みに必要な専門性と能力を持ち、成果を上げることが期待できるかどうかを評価しました。そして、透明なプロセスと、公正かつ客観的な選考の結果、以下の8名を執行役員候補者として内定しました。
選考にあたりまして、候補者のこれまでの実績を確認したうえで、今後のJリーグの経営課題への取り組みに必要な専門性と能力を持ち、成果を上げることが期待できるかどうかを評価しました。窪田慎二氏、青影宜典氏、勝澤健氏、笹田賢吾氏、辻井隆行氏、相田鉄弥氏、いずれも再任でございますが、彼らは今期の現職における成果をさらに持続、発展させることが期待できます。また、笹田氏はマルチメディア事業本部も管掌します。新任の中村健太郎氏は、今期、Jリーグの事業拡大のための戦略企画に取り組んできた経験を活かし、今後は新規パートナーの開拓や、新規事業の企画・開発などの新たな仕組み作りを執行役員として指導することが期待できます。同じく新任の樋口順也氏ですが、今期、フットボール本部長としてシーズン移行の検討に取り組んできた経験や事業面での経験等を活かし、今後はフットボール領域を含めたJリーグ全体に関わる新規の取り組みを執行役員として指導することが期待できます。
なお、執行役員の中でも窪田氏、青影氏、中村氏、樋口氏においては管掌領域のみならず、Jリーグの組織全体へのコミュニケーションを含む、組織マネジメント全体のサポートや経営の中心的な役割を担うことによって、野々村チェアマンを補完、支えていくことを期待しています。
任期は2024年3月19日から選任後、1年以内に終了する事業年度のうち最初のものに関する定時社員総会の終結の時までになります。
〔仲村広報部長より補足〕
特任理事につきましては、次期チェアマン就任を条件に、定時社員総会および臨時理事会以降に特任理事の内定者として承認しています。新たな内定者として小野伸二さんが加わっています。
また、内定者の経歴については、3月19日の就任時に改めて皆様に配布いたします。本日の配付はチェアマンのみとなります。
〔野々村チェアマンよりコメント〕
3月19日の社員総会をもって決定するという内定の状態ではありますが、まず改めて、ここまで2年間、2シーズン、ありがとうございました。2シーズンの中で、大きな改革を色々やってはきましたが、何のためにやってきたかというと、当然サッカー、Jリーグがもっとより良くなるために、良い方向に進んでいくために改革をしてきたわけです。ここからは、その改革によって進む方向を多くの皆さんと共有し、しっかりと成果を得ていくということがすごく大事な2年間になると思います。
とは言え、そう簡単に結果が出るものではありません。この2年間でなにが良かったかというと、積極的にこうだと思うところに投資をしてきたのが結果に結びついていると思いますので、より良くするためにも、より投資をするという感覚は持ちながら、投資をしていくための原資をどう獲得していくかということが、これからの2年間最も重要なことになると思います。いずれにしても、2つの成長戦略を今まで以上にしっかりと進めながら、実際にクラブが、日本のサッカーが良くなっていくことを実感できるような次のシーズンになればと思っています。
〔質疑応答〕
Q:チェアマンを選考する上で、現職の評価と同時に新任も複数名候補者は見てこられたのでしょうか。
A:杉本委員長
もちろん同時並行で、候補者となる方を評価させていただいています。常に、外部にどういった候補の方がいらっしゃるかということは、役員指名報酬委員会としてはウォッチしてきました。
Q:成果と共に、今後の課題のお話もありましたが、野々村さんご自身はその課題についてどうとらえられていますでしょうか。
A:野々村チェアマン
自分はできることを一生懸命やるということ。いずれにせよ今までもそうですが、得意なことがある人たちの得意な部分をどれだけうまく発揮してもらえるか。自分もそれなりに生きているので、自分が足りないところも自分なりにはよくわかっています。もっとこうしたら、ということをいつも色々な人にアドバイスいただいているので、そこを補完していただきチームで勝つということがよりサッカーっぽくて自分も好きなので、自分がどうするかというよりもチームとしての強度、強さを増すようにできればと思います。
Q:特任理事として小野伸二さんが新たに選任されますが、経緯と、どのような評価で選任するにいたったのでしょうか。
A:野々村チェアマン
理事会は、日本のサッカーをどうしていこうかというビジネスの話し合いが大きなウェイトを占めます。その中でフットボールは最も大事にしていかなくてはいけないことです。特任理事として、内田篤人さん、中村憲剛さん、両氏と共に、小野伸二さんに加わっていくことで、バランスをどうとるかということがすごく大事だと思っています。サッカーは本来楽しいものだと思っており、小野伸二さんはその楽しさを表現する象徴的な人だと思っているので、とかく真剣勝負の中で忘れがちな部分(楽しさ)を常に思い出させてくれるという意味で、小野伸二さんには是非活躍してほしいと期待しています。子どもたちに向けてサッカーは楽しいということを体現しながら、サッカーの普及をJリーグとしてもやっていかないといけないと思っているので、そういうところで活躍してもらいたいと思っています。
Q:まず、選考の件ですが、理事に女性4名が多いか少ないかはここで議論はできないかもしれませんが、執行役員0名に関してはお伺いしたいです。執行部に関わる女性を増やすことが今のこの国の大きな課題だと思います。ビジネスモデルとして色々なことを解決していくことがチェアマンだという選定だとすると、Jリーグを支えている女性は大勢います。この選任について、先ほど透明かつ公正なプロセスとありましたが、ご説明いただきたいです。
A:杉本委員長
おっしゃる通りです。Jリーグをビジネス的な観点から考えても、お客様の4割は女性です。より、女性の方々にもスタジアムに来ていただきたい、Jリーグを観ていただきたい、そういった視点を経営の中にも取り入れることは非常に重要な課題だと思っています。
まず、私どもとして、理事の構成の中である程度、そういった女性の知見、経験、アドバイスをいただけないかと、今回、理事の構成では4名入っていただき、監事の中にも1人、女性がいます。次に執行役員ですが、今回、女性が入っていないということは、我々としても、十分、課題として意識しています。より、経営に女性の視点を入れていくことを我々としても課題として考えていますので、ここについては、来期以降、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
一方で、Jリーグの女性職員の比率という意味ではかなり高い比率で女性にも活躍いただいていますので、来期に向けてそういった方々の登用を含め、あるいは外部から専門的な知識を持っている方に参画いただいて、よりJリーグを発展させていただきたいと考えています
Q:チェアマンにお願いします。2期目ということで、1期目と大きく内容が変わるわけではないと思いますが、チェマンが2期目に入ったときにまずはこれに着手したい、シーズン制は一番大きなテーマではあると思いますが、2期目に入ったら、1期目にできなかったこの点に着手したいということがあれば教えてください。
A:野々村チェアマン
着手できなかったというよりは、先ほども少しお伝えしましたが、一つの課題として投資をすることは色々な部分ですごく大事だと思います。そのためには当然原資が必要です。色々なものを削って投資の原資を作るというよりは、もっと仲間をしっかりと増やしていきながら、収益を上げて、効果的であろうというところに投資できるような原資をどう作っていくかということがすごく大事だと思っている点が1つ。
また世界の人たち、特にフットボール周りの世界の先をいくような人たち、あるいは伸びていく国やクラブと、どれだけコミュニケーションが取れるか。地理的な距離は現実に縮まるわけではないので、心理的距離を近くしていくことを積極的に行っていきたいですし、私たちが取り組むことでクラブも近くなっていくはずなので、そういった点に取り組んでいきたいと思っています。