FC町田ゼルビアは28日、FW鄭 大世が今季限りで現役を引退することを発表しました。
鄭 大世は2006年に川崎フロンターレでプロのキャリアをスタートさせると、その後、ドイツ、韓国でのプレーを経て、2015年に清水エスパルスに加入。2020年にアルビレックス新潟でプレーした後、2021年より町田に在籍していました。
17年に渡る現役生活では、J1リーグ通算181試合・65得点、J2リーグ通算130試合・46得点を記録。北朝鮮代表としても活躍し、2010年のワールドカップに出場しました。
クラブを通じて鄭 大世は、次のようにコメントしています。
「裏山の鶯の鳴き声で目を覚ます。そんな清々しい朝を迎えてた町田での2年間。最後の最後まで。本当に最後の試合まで苦しかった。これを遅くに書き上げた後に夢で、外されてるのに怒鳴られる夢でうなされ、朝思わず加筆した。現実もそんな日常だった。
全て伏線だと言い聞かせ、この”痛みや苦しみ”は自分だけの花を咲かせるためだと愚痴りながらも、食らいついた。自分と、周りが思う今の質の差にも薄々気がついてたが年甲斐もなく、まだできる!とギラついてたけど、変わることはなかった。
苦しさは変わらずで、こんな歳でも、悔しくて何度も泣いた。でも喜びは、喉が裂けるほど咆哮したあの頃とは、もう違う。同世代に勇気づけられ、ひと回り下に慰められた。歳の半分以下の選手たちと鎬を削った。
幼き頃、買ってもらったユニの袖のJリーグのエンブレム。太くなった腕の袖のそれを見るたびに、胸が熱くなった。何年も前から、今日が最後かもと毎試合トイレに篭り嗚咽を漏らして泣いてた。酸いも甘いも味わい、綺麗事だと思ってたあの言葉も、今なら素直な気持ちで言える。
『みんなのおかげ』。こんな性格じゃなかったらもっといい景色が見えたかも?こんなエゴイストだからここまでこれた?違う。みんなの支えで今がある。後悔や、人としての失敗は数え切れないけど。
はっきりと言える。これが『ベスト』。砂埃舞う大学都リーグ3部からのし上がった、最高に痛快なサッカー人生。多くをサッカーからもらい、今は心が満たされてる。あの頃想像もできなかった舞台で夢中で走った17年間に、終了の笛を吹き、終止符を打つ。悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます。エゴイストなくせに馬鹿みたいに繊細で感情的な、こんな僕に関心を持ってくれてありがとうございました」