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坪井 慶介の視点:裏を狙う動きを繰り返し、引いた相手を攻略。2位で通過も、最後の場面の質向上が今後のテーマに【ACL 山東泰山vs浦和】

2022年5月1日(日) 13:30

坪井 慶介の視点:裏を狙う動きを繰り返し、引いた相手を攻略。2位で通過も、最後の場面の質向上が今後のテーマに【ACL 山東泰山vs浦和】

坪井 慶介の視点:裏を狙う動きを繰り返し、引いた相手を攻略。2位で通過も、最後の場面の質向上が今後のテーマに【ACL 山東泰山vs浦和】
これまで出場機会が少ない選手たちが数多くスタメンに名を連ねました。彼らにとっては、良いアピールの機会となったでしょう

激闘が繰り広げられるAFCチャンピオンズリーグ。グループステージ突破を狙うJリーグ勢はアジアの難敵相手にいかなる戦いを見せたのか。DAZN解説陣が鋭い視点で試合のポイントを分析するとともに、次節の見どころを語る。

すでに突破が決まっている状況だっただけに、選手たちがどれだけ集中力を保てるかがこの試合のテーマだと考えていました。チームとして安心感はあっただろうし、精神的にも身体的にも、疲れがだいぶあったと思います。そういう雰囲気の中でピッチに立つ選手たちが、どれだけ集中したパフォーマンスを見せられるか。そこを懸念していましたが、杞憂でしたね。90分を通して緩むことなく、最後までゴールを奪う姿勢を示してくれましたから。

この試合ではこれまで出場機会が少ない選手たちが数多くスタメンに名を連ねました。彼らにとっては、良いアピールの機会となったでしょう。ターンオーバーだから出られたと思ってしまえば、それまでのこと。そうではなく、このチャンスを今後にどのようにつなげていくのか。Jリーグでもタイトなスケジュールが続いていくなかで、そこでも監督に使ってみようと思わせるようなプレーをすることが大事だったと思います。

個人的に注目していたのはCBの2人です。攻められるシーンは少なかったですが、知念(哲矢)も、工藤(孝太)も、ボールを跳ね返すところは安定していましたし、縦パスの意識も高かった。知念に関しては2ゴールと結果も出しましたし、素晴らしいパフォーマンスだったと思います。

後半雨が強くなってからは工藤のところでミスが増えましたけど、あの時間帯でやってはいけないミスだということを学んだと思います。まだ若いですから、この経験を今後につなげていってほしいですね。

試合全体を振り返ると、引いた相手をどうやって崩していくかがポイントでした。相手は5バックではありましたが、時には6枚が最終ラインに並んでいましたから、力の差があるとはいえ攻略するのは簡単ではなかったと思います。それでも、結果的には5得点を奪いました。その要因は、スペースに走る動きに見出せます。

浦和はスペースが限られた中でも、常に誰かが裏を狙う動きを繰り返していました。その動きを出し手がしっかり見ていましたし、上手く間を通してチャンスを作れていました。もちろんボールが出てこないこともありましたが、出る、出ないにかかわらず、裏へのアクションを続けることは、自分たちのサッカーを貫くという意味で評価できると思います。

力の差がある相手との試合は、意外と難しいものです。時間的にもスペース的にも余裕があるので、欲が出てしまうんですね。選択肢が多くなるなかでより良い選択をしようとすると、結局判断が遅くなってしまうんです。

でも、この試合に関しては一人ひとりがテンポよくボールを動かしていました。山東との初戦よりもスムーズだったと思います。一度目の対戦の時は、相手のプレッシャーが来なかったなかで、良いタイミングでボールが入らないシーンが見受けられましたが、今日はそういう現象はあまりなかった。判断の速さも含め、前回対戦の経験が生きたと思います。

これでグループステージの戦いが終わりました。山東とセーラーズには大勝を収めた一方で、大邱には1分1敗。大邱との直接対決で上回られた結果、2位通過ということになりました。

グループステージの戦いを振り返ると、攻撃の部分ではサイドハーフとサイドバックの関係で、相手の深い位置を攻略することは、どの試合でもできていたと思います。しかも選手が入れ替わってもできたことは、大きな収穫でした。ただ大邱との2試合を考えると、個々の守備能力が高い相手に対して、点が取れないという課題も浮き彫りとなりました。チャンスはあるけど、点が取れないのは今季の浦和がJリーグでなかなか結果を出せていない原因ですが、このACLでも同様の課題が浮き彫りとなりました。攻撃の形はできているだけに、最後の精度を高めていくことがJリーグに戻ってからも大きなテーマとなっていくと思います。

ただ総じていえば、6試合を通していい戦いができていたと思います。グループステージのMVPを挙げるとすれば、(アレクサンダー)ショルツですね。引いた相手に対して彼の持ち運びや縦パスは非常に効果的でしたし、守備でも相手が何気なく上げてきたボールを落ち着いてコントロールしていました。つなぐのか、もしくはクリアするのか。そこの判断が的確で、安心して見ていられました。

松尾(佑介)も面白かったですね。特に得点の部分で力を発揮してくれました。こぼれ球への反応、ゴールへの嗅覚、狭いスペースでも相手の急所を突いていける動きは非常に良かった。それが結果にも表れましたし、Jリーグでも活躍してくれると期待しています。

ノックアウトステージまでは少し時間が空きますし、どこと対戦するかも分かりませんが、一発勝負ということもあり、相手はより手堅い戦いをしてくるでしょう。浦和のスタイルを考えれば、ボールを持つ時間はさらに増えるかもしれません。ただ、カウンターの鋭さはグループステージでは味わえなかったレベルになってくるはずで、そこが最も注意しなければいけないポイントとなると思います。

分かっているだけでは手遅れになることもあります。CB、GKだけではなく、前線で奪われた時に高い位置だから大丈夫だろうという意識だと、一気にひっくり返されてしまう危険性があります。チーム全体として考えるべきは、攻撃から守備への切り替えの速さ。そして相手の背後への動きと縦パスへのケア。そこの部分の意識をどれだけ高く持てるかが、次のステージで勝ち進むために重要になってくるはずです。

【山東泰山×浦和レッズ|ハイライト】

 

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