Jリーグは3月28日に開催した第3回理事会で、Jクラブのアカデミー組織が段階的にステップアップするために開設した新しい認定制度「Jリーグアカデミークオリティースタンダード(J.LEAGUE Academy Quality Standards、略称JAQS:ジャックス)」の初の認定を行い、モンテディオ山形、AC長野パルセイロ、FC今治、FC琉球のアカデミーに1つ星の付与を決定しました。
Jリーグアカデミークオリティースタンダードは、2030フットボールビジョンの達成に向け、日本独自の育成システムを構築し、優秀な選手やスタッフが持続的に育つためのワールドクラスのアカデミーを増やすことを目的に2019年から推進している「Project DNA」の施策の1つで、現在は4つ星を最上位に、1つ星から4つ星までの認定段階があり、全てのJクラブが目指す星を定めて申告しています。
4クラブの認定は、評価プロセスを経て23のクオリティースタンダードに紐づく1つ星の基準を全て充足したことによるものです。
■1つ星認定クラブ
モンテディオ山形、AC長野パルセイロ、FC今治、FC琉球
■Jリーグアカデミークオリティースタンダード
1.名称
日本名:Jリーグアカデミークオリティースタンダード
英語名:J.LEAGUE Academy Quality Standards
略称 :JAQS (ジャックス)
2.内容
①Jリーグアカデミークオリティースタンダードとは
世界で活躍する、クラブで活躍する選手を育成するために、クラブで必要な事柄、過程は何かを言語化し、物差しとなる23のクオリティースタンダード(1~4つ星まであり)を設け、クラブが自己評価し、クラブ独自の目指す姿を長期スパンでJリーグがサポートする仕組み。
②スキーム
クラブは自ら目指す星を決め、クオリティースタンダードに基づき自己評価する。星の認定まで(また、認定後も)、Jリーグは経験豊富なASM(アカデミーサポートマネジャー)等によりクラブをサポートする。
Jリーグにて評価チームを結成し、第一段階:評価チーム(Jリーグフットボール本部所属のスタッフで構成)にて、クラブを直接ヒアリングし、確認する。第二段階:シニア評価チーム(Jリーグ役員、およびフットボール本部スタッフで構成)にて、評価チームの報告内容を確認、決定する。第三段階:理事会にて星が承認される。
③サイクル
3年を1サイクルとし、それぞれのサイクルでクラブは目指す星を決め、取り組む。
2021~2023年第1サイクル
2024~2026年第2サイクル
2027~2029年第3サイクル
④星の認定
第1サイクルにおいて、2021年に1つ星を目指すクラブ、2022年に2つ星を目指すクラブ、2023年に3つ星・4つ星を目指すクラブのヒアリングを実施。クオリティースタンダードを達成したクラブより順次、認定、公表する。
⑤目指す基準・23のクオリティースタンダード
23のクオリティースタンダードがあり、それぞれに1つ星、2つ星、3つ星、4つ星の基準がある。
〇目指す基準
星 | 目指す基準、または輩出する選手例 |
★ 1つ星 |
・Jクラブライセンスを含む1つ星の基準を満たしている ・Jクラブのアカデミーとして、最低限クリアしたいレベル ・セーフガーディングなど、現行のクラブライセンス制度にはない大事な要素が含まれた、新評価制度の導入とも言える基準 |
★★ 2つ星 |
・2つ星の基準を満たしている ・アカデミーから、トップチームで活躍できるレベルの選手を毎年輩出している状態 |
★★★ 3つ星 |
・3つ星の基準を満たしている ・アカデミーから、トップチームで活躍できるレベルの選手を毎年複数輩出している状態 |
★★★★ 4つ星 |
・4つ星の基準を満たしている ・国内最高のレベル、グレートアカデミー ・世界で活躍できるレベルの選手を輩出している状態 |
〇23のクオリティースタンダード
1 | セーフガーディング | 13 | 選手に求められる要素 |
2 | 組織構造 | 14 | スタッフの資質能力 |
3 | アカデミーパフォーマンスプラン | 15 | コーチングカリキュラム |
4 | クラブのフットボールフィロソフィー | 16 | GK用コーチングカリキュラム |
5 | アカデミーのプレーイングフィロソフィー | 17 | アカデミーのコーチングフィロソフィー |
6 | ビジョン&ストラテジー | 18 | ゲームプログラム |
7 | アカデミーの財務経理 | 19 | タレント発掘プログラム |
8 | アカデミーの運営管理 | 20 | 昇格経路&プラン(パスウェイ)の構築 |
9 | 指導者育成プログラム | 21 | 技術委員会 |
10 | 若年層を対象とした普及活動 | 22 | 選手ケア&教育 |
11 | 個別育成プラン(選手用) | 23 | 分析部門 |
12 | 個別育成プラン(スタッフ用) |
3.認定までのフロー
① クラブが目指す星を自ら決定し、セルフアセスメントに取り組む
② 評価チームによるインタビュー実施
③ 評価チームによる中間レポート作成。評価チームおよびシニア評価チームでミーティングを実施し、同レポートを承認
④ クラブへ、アクションプラン付き中間レポートを提示し、同レポートに基づきクラブと評価チームとのミーティングを実施
⑤ クラブは、アクションプランに基づき未充足の箇所に取り組む
⑥ 評価チームによる2回目のインタビュー実施
⑦ 評価チームによる最終レポート作成。評価チームおよびシニア評価チームでミーティングを実施し、同レポート承認
⑧ 理事会承認
4.第1サイクルにおける進捗
その他の1つ星を目指すクラブは、中間レポートに基づき引き続きアクションプランに取り組んでいる。1つ星獲得に向けJリーグはサポートを継続し、アクションが完了したクラブより認定、承認のフローへ移る。
2つ星を目指すクラブは、2022年インタビューを実施。
3つ星・4つ星を目指すクラブは、現在、自己評価に取り組んでおり、2023年インタビュー実施。
【付帯資料】
・クラブの目指す星一覧(第1サイクル)
・23のクオリティースタンダード詳細・星の基準