5月14日、新型コロナウイルスワクチン大規模接種への協力に関する記者会見を実施し、村井チェアマンは以下のとおりコメントしました。また全国知事会の飯泉会長より頂いたコメントも併せてご紹介します。
※Jリーグが知事会に提案した内容はこちら
【Jリーグ・村井チェアマン】
全国知事会 飯泉会長、日頃Jリーグの活動に関して、全国の都道府県の絶大なるご協力をいただきこの場を借りて改めてお礼申し上げます。ありがとうございます。
この度、Jリーグ、そして全国40の都道府県で活動しております57のJクラブの両者で、新型コロナウイルスワクチン大規模接種への協力について、先日合意がなされました。ワクチンの大規模接種に全力をあげて協力していこうという内容です。
Jリーグにできることには限りがありますが、Jリーグが持つスタジアムの活用、もしくはJリーグの発信力を使って、なるべく多く迅速な接種に協力してまいりたいと思います。
今回我々が具体的に協力する内容は3点ございます。
①各クラブが使用するスタジアムにおいてワクチン接種が行われる場合のオペレーションのサポート
・試合運営で培った誘導や待機列整理等のノウハウを提供し、ワクチン接種のオペレーションを一貫してサポートする
※運営のサポートにおいては、昨年より70,000回を超えるJリーグ公式PCR検査を委託した株式会社シーユーシーの協力を仰ぎ、より迅速確実な運営体制に貢献する
1点目、各クラブが使用するスタジアムにおいてワクチン接種が行われる場合のオペレーションのサポートをいたします、という内容です。
まず、スタジアムそのものは大半が行政所有のものでございますので、ワクチン接種に関わる使用の許諾を我々の立場で行うことができませんので、仮に、ワクチン接種をスタジアムで行うことになった場合、その運営に関して、我々ができる範囲でご協力申し上げたいという趣旨でございます。
スタジアムには、Jリーグ規約に基づき、医務室がございますし、別の入り口を確保するドーピングコントロール室もございます。また全クラブにはチームドクターが配備されておりますが、そういった資産をうまく活用いただく場合に、その運営に関しご協力できる範囲でお手伝いいたしますという内容です。
大規模接種となりますと、駐車場の誘導や、多くのお客様の導線確保が必要になりますが、日ごろ試合運営で行っている我々の運営ノウハウを必要と求められれば、提供していきたいという内容です。
この運営サポートに関しては、Jリーグは昨年よりのべ70,000回を超えるJリーグ公式PCR検査を実施してまいりまして、その業務委託先である株式会社シーユーシー様と今回も協力関係を結び、運営をサポートいただく予定でございます。
②Jリーグ・Jクラブのネットワークを活用し、ワクチン接種の担い手を募る呼びかけ
・チームドクター所属の病院や提携する医療機関を通じて接種の担い手を要請する
・休職中の看護師等への協力を働きかける
2点目、こちらのほうが、我々が積極的に運用できる内容かと思っておりますが、チームドクター等と連携し、チームドクターが所属する医療機関、関連機関を通じ、ワクチン接種の担い手となるドクターや研修医、様々な方々への声掛けをしていくつもりです。また、家庭の都合などで職を離れていらっしゃるなど、休職中の看護師の方などへの働きかけ、呼びかけ、場合によってはファン・サポーターの中に医療従事者の方々がいらっしゃる可能性もありますので、積極的な声掛けを行っていきたいと思っています。
③Jリーグ・Jクラブの発信力を用いて、ファン・サポーターをはじめとした一般の方々に対してワクチン接種への啓発活動を行う
・リーグ・クラブ・選手から接種を促すメッセージ動画を作成・告知
・その他新型コロナウイルス感染防止に関するさまざまな啓発活動への参加・協力
3点目、医療関係に限らず、多くの市民の方々にワクチン接種を呼びかける啓発活動をしていきたいと考えております。選手、チーム関係者、OB、OG等様々な発信力を使って、啓発活動を全クラブで行っていきたいと思っております。
様々な動画をクラブと協力しながら作り、スタジアムで上映することや、オウンドメディア、SNS等を活用しながら啓発活動を行っていきたいと考えております。
いずれにしましても、主体となるのは都道府県、市区町村、地域になりますし、医療行政の指導に基づきながら、要請に応じて動いていくことになりますので、あくまで補助的にはなりますが、感染拡大防止にご協力できればと思う次第です。
現在、具体的なプランとして、大規模接種会場として決定しているのが、豊田スタジアム(名古屋グランパス ホームスタジアム)、町田GIONスタジアム(FC町田ゼルビア ホームスタジアム)。
そして、ノエビアスタジアム神戸(ヴィッセル神戸 ホームスタジアム)もほぼ決定していると聞いております。
今日はそうした観点もふまえ、クラブからの意向表明もしていただくと聞いております。飯泉会長、私たちにできることは限られておりますが、Jリーグオールで協力してきたいと思う所存でございます。
【全国知事会・飯泉会長】
本日は、こうした場を設けていただき感謝申し上げます。
J1徳島ヴォルティスもお世話になっておりますので、日頃からのJリーグの運営に心から感謝申し上げます。
今、新型株の猛威ということで、連日7,000人の新規感染者、特に新型株は重篤化しやすい、また若い人や子供さんたちもかかる。また家庭内感染、職場内感染、学校内感染がクラスターになるということで、大変な状況となっております。特にここ五日間連続で重症者が過去最高を更新しつづけています。これらに対する有効な手段は今ただ一つ、ワクチン接種ということになります。
医療従事者、高齢者の優先接種がスタートを切ったところで、菅総理から、7月末までに高齢者の皆様への優先接種、そのワクチンを市町村に届けましょうと、このようになっているのですが、当初決められた予定から1か月半スケジュールがずれたものですから、一度決めた会場や打ち手の皆様をすべてキャンセルするということになりました。
しかし、高齢者の方々のワクチン接種が始まり、全国で申し込みが殺到しており回線がパンクするという状況です。やはりなんとしても7月末までに高齢者の皆様に2回接種していただくことができればと思っています。これで終わりではなく、この後、基礎疾患のある皆様の優先接種が始まり、一般接種へ、全国民の皆様を対象とする予防接種。
我が国としては一度も手掛けたことのない、未曾有の一大プロジェクトをやり遂げなければならない、そうしなければ新型コロナウイルス感染症との戦いに、最終的に我々日本が勝つことができない。そうした大きな岐路に差し掛かっているところなんです。よって、今回の大規模接種のご協力の申し出を非常に大変ありがたく思っています。
村井チェアマンにお話しいただいた3点について、知事会からのご提案なども申し上げたいと思います。
まず初めに、色々な運営ノウハウ、誘導ノウハウをJリーグの皆さま方はお持ちです。これは十二分に我々もわかっております。
今は5,000人などの制限も設けられておりますが、1万人以上の皆様を誘導し入場させ、整然と退場していただく誘導はなかなかできるものではないです。現在、3密を回避し、飛沫感染、接触感染をなんとしても回避しなければなりません。見事な誘導がないとかえって感染を招くことになるので、この点に関して大いに期待をしております。
2点目
大規模接種には二つの要件が必要です。
一つは会場です。そしてJリーグの場合、都道府県、市区町村が持っている施設、徳島ヴォルティスの場合も県が所有しているポカリスエットスタジアムがメイン会場となりますので、そうした点について日ごろから連携ができており、スムーズに移行できるのはないかと考えております。
もう一つの要素は打ち手です。ドクター、研修医、また看護師などです。
ありがたいご提案なのですが、市区町村が緻密な計画をたてて会場と打ち手を用意しています。チームドクターや看護師もどこかの病院に所属しているので、市区町村がお願いしている皆様が、Jリーグからの依頼を優先してしまうと元も子もないので、潜在看護師の皆さまへのお声がけ、現在看護師をされていない方がJリーグから協力を依頼され、チームドクターがそれをサポートいただければ、新たな打ち手を集めることができます。ぜひ、この点についてはご協力をお願いしたい。ただ、市区町村の計画に支障ないようにいただけるとありがたいと思います。
3点目
なんといってもJリーグの選手たちは若者やファンの大きな憧れの的。猛烈な勢いで広がってしまった特性がある変異株、それが国民の皆さんがわからない間に広がってしまった。こうした点を政府広報、例えばACなどにもっと出してもらいたいと会議があるたびに言っていますが、なかなか具現化できていません。
例えば試合でスター選手が一言、例えば大型映像装置上で「変異株は従来よりも非常に感染しやすいので、こんな点に気を付けていただきたい」「家庭内感染が猛威を振るっており、家の中でも体調が悪い方がいたらマスクを着用していただきたい」「路上飲みは控えていただきたい」など。こうしたことを我々行政が伝えても、また言っている、聞き飽きた、となかなか聞き入れていただけない現状があります。こうしたことも、選手から言っていただければ若い方を中心に聞いていただけるのではないか。ワクチン接種の呼びかけはもとより、変異株やどんな点に気を付けなければならないか、そしてこういうことは我々行政から言っているのではなく、「サポーターであるあなたのために言っていますよ」と、こうした点を強く言っていただけると、多くの皆さんに賛同いただいて、おそらく早い段階で感染を封じ込め、ワクチン接種を進めることができると考えています。どのような内容を伝えるか、こうした広報の面はJリーグの皆さんはプロですので、我々は素材を提供させていただき、ぜひ試合やスポーツ番組などで選手から仰っていただけるとありがたいなと。ぜひよろしくお願いいたします。
そこで1点ご提案ですが、いま高齢者の皆様の接種を7月末までに終えようと、そしてその先に基礎疾患のある方への優先接種、そして全国民の接種となってまいります。おそらくスタジアムを活用しての集団接種、もちろん高齢者の接種でお願いすることもあると思いますが、一番の期待は、これからの全国民を対象とした一般接種。
例えば、Jリーグの試合や試合前のイベントの際に、医務室などの広い場所を用意いただく。会場に来られている方は接種をされていない方がほとんどだと思いますので、ぜひチケットともに接種券をお持ちいただき、そこで接種を行っていけば、5,000人、1万人、2万人の来場者がいらっしゃればたちどころに皆さん方の接種を終えることができる。試合を見ている間に少しお休みいただくということも可能と思いますので、ぜひ今後の一般接種でこそ、Jリーグには早期一般接種終了に結びつくようご協力をいただきたいと思います。そしてJリーグの皆さま方がこのようなことを協力いただければ、他のプロスポーツでも同様のことができてくると思いますので、ぜひ、ご協力をよろしくお願いいたします。本当に、ありがたいご提案を心から感謝申し上げます。
【村井チェアマン】
会長にご指導いただきましたこと十分に考慮して、しっかり準備して臨みたいと思います。まずは本当に懸命な努力をされている医療関係、医療行政の皆様の迷惑にならないように、ご指導、ご指示にしっかり耳を傾けながら対応していきたいと思っております。
まずは数クラブでのトライアルに近い形から入りますが、先ほど仰っていただいたような一般接種に貢献できるようにしていきたいと思います。ありがとうございました。