前年に初優勝を成し遂げた広島だったが、2013年シーズンは開幕から大いに苦しんだ。開幕戦で浦和に敗れると、5節にも横浜FMに敗戦。5試合を終えて2勝1分2敗とスタートダッシュに失敗。並行して行われたACLでも結果を出せず、ネガティブなイメージは拭えなかった。
対戦相手の警戒が強まったこともあっただろうし、ACLとのハードジュールに疲弊したところもあっただろう。王者としての重圧が、彼らを襲っているようだった。
それでも徐々に調子を取り戻すと、11節から8戦負けなしを記録。気づけば首位に浮上し、シーズンを折り返すことに成功する。
この年の広島で際立ったのは粘り強さだ。たとえ調子が悪くとも相手に隙を与えず、逆に一瞬の隙を突いてゴールを陥れる。前年に見せた攻撃性は鳴りを潜めたが、堅い守備と勝負どころを見据えた攻撃で、したたかに勝点を積み上げていった。
ところが夏場に入るとその粘り強さも次第に希薄となり、23節からは3連敗を喫して3位に転落。その後に3連勝と息を吹き返すも、29節に横浜FMとの首位攻防戦を落とすと、32節のC大阪戦にも敗れ、いよいよ窮地に追い込まれてしまう。残り2試合の時点で首位の横浜FMとは勝点5差の3位。優勝の可能性はほとんど消えかけていた。
しかし、残り2試合で奇跡が起きる。33節に広島が湘南に勝利した一方、横浜FMは新潟に敗戦(2位の浦和も川崎Fに敗戦)。両者の勝点差は2となり、運命の最終節を迎えた。
最終節、広島はアウェイで鹿島と対戦。逆転優勝のためには勝点3を積み上げたうえで、川崎Fと対戦する横浜FMが引き分けか、敗れることが条件だった。
この大一番を広島は、石原 直樹の2ゴールで2-0とモノにする。一方、横浜FMは0-1で敗戦に終わった。この瞬間、広島がV川崎、鹿島、横浜FMに次ぐ、史上4チーム目となる連覇を成し遂げた。
一時は絶望的な状況に追い込まれながらも、最後まで諦めることなく頂点を目指し続けた。その執念が、劇的なクライマックスを呼び込んだのだ。
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