南アフリカワールドカップが開催された2010年。4連覇のかかる鹿島の戦いが注目されたが、シーズン後半に勝ち切れない試合が目立ち、優勝はかなわず。結局、4位でシーズンを終えている。
代わってこの年の主役となったのは、ストイコビッチ監督率いる名古屋だ。このレジェンドが指揮官に就任したのは2008年のこと。いきなりリーグ戦で3位に導くと、翌2009年にはACLベスト4、天皇杯準優勝と、着実に成果を生み出していた。
そして就任3年目となる2010年、開幕前に田中 マルクス闘莉王、金崎 夢生、ダニルソンら即戦力を次々に獲得。戦力アップに成功した名古屋は、開幕から快進撃を続けた。
開幕戦でG大阪を撃破すると、3節の磐田戦から3連勝を達成。その後も確実に結果を出し、3位をキープしてワールドカップ中断を迎えた。再開後はさらに勢いを増し、15節からの4連勝で首位に浮上。そのまま優勝に向けて、一気に突き進んだ。
長身ストライカーのケネディがゴールを量産し、ワールドカップに出場した玉田 圭司もハイパフォーマンスを維持。最終ラインでは闘莉王が魂のプレーを見せ、ゴール前には楢﨑 正剛が立ちはだかった。マギヌン、ダニルソンら外国籍選手もその実力を十分に見せつけ、ベテランの中村 直志も献身的なプレーでチームを支えた。
首位に立った名古屋の勢いは衰えることなく、20節からは6戦無敗も記録。鹿島、G大阪、C大阪と優勝を争うライバルチームに取りこぼしが目立つなかで、着実に勝点を積み上げていく。そして迎えた31節、玉田のゴールで湘南に勝利すると、2位の鹿島が引き分け、勝点差が10に拡大。3試合を残した時点で優勝を決める、圧倒的なリーグ制覇だった。
得点54はリーグ5位で、失点37はリーグ3位と、数字的には群を抜いていたわけではない。それでも際立ったのは、勝利への執念だろう。大敗が少なくなかった一方で、1点差勝利は16を数えた。結果にこだわるカリスマ指揮官の下で培われたこの勝負強さこそが、初優勝の最大の要因だっただろう。
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