延長戦が廃止された2003年シーズン。ここ数年、Jリーグを牽引してきた鹿島と磐田に代わって頂点に立ったのは、横浜FMだった。
岡田 武史新監督を迎えた横浜FMは、久保 竜彦、マルキーニョスら実力者を補強し、戦力アップに成功。開幕戦で前年王者の磐田を撃破して勢いに乗ると、5節にイビチャ・オシム監督率いる市原に初黒星を喫したが、7節の鹿島戦では久保のハットトリックで3-1と快勝を収めた。
9節、10節と連敗を喫し、5位に転落したが、そこから強烈な反発力を示した。首位を走る市原と2位の鹿島が失速したのを尻目に、連勝街道を突き進む。最後は磐田との一騎打ちとなったが、勝点1差で上回り、1stステージ優勝を成し遂げた。
2ndステージに入っても、横浜FMの勝負強さが光った。開幕3戦未勝利と出遅れたものの、4節から8戦負けなしを記録。中澤 佑二を中心とした堅守が際立ち、久保もコンスタントにゴールを記録。粘り強く勝点を積み上げ、優勝争いに踏みとどまった。
ところが12節、13節と連敗を喫し、7位に転落。優勝は厳しくなったかと思われたが、大混戦となった2ndステージは最後まで予想のつかない展開となった。
最終節を前に優勝の可能性を残したのは、磐田(勝点26)、鹿島(勝点24)、横浜FM(勝点23)、市原(勝点23)の4チーム。横浜FMは磐田との直接対決を迎えた。逆転優勝のためには勝利こそが求められた一戦。ところが開始2分に先制されると、15分にはGKの榎本 哲也が退場となってしまう。数的不利を強いられた横浜FMは、絶体絶命の状況に追い込まれていた。
ところが、ここから驚異的な巻き返しを見せる。59分にマルキーニョスのゴールで追いつくと、迎えた後半アディショナルタイム、ロングフィードのこぼれ球に反応した久保が、打点の高いヘッドで押し込んで決勝ゴールをマーク。2-1と逆転勝利を収めた。
もっともこの時点で、他会場では鹿島が2-1と浦和にリードしていた。このままいけば鹿島が優勝となるところだったが、こちらもアディショナルタイムに浦和のエメルソンが同点ゴールをマーク。2-2の引き分けに終わったことで、横浜FMのステージ制覇が決定した。
最終成績は、横浜FMが優勝、2位は東京Vに勝利した市原、3位が磐田となった。上位3チームが7勝5分3敗の同勝点で並ぶ大混戦だった。
劇的な幕切れで2ndステージも制した横浜FMが、前年の磐田に次いで完全優勝を達成。岡田監督就任1年目にして、1995年以来二度目のリーグ制覇を成し遂げている。
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