2020年4月21日
2020年度 第4回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録
2020年4月21日(火)17:00~
オンラインにて実施
登壇:村井チェアマン
陪席:木村専務理事
試合日程プロジェクトリーダー 黒田フットボール本部長
競技の公平性 プロジェクトリーダー 窪田理事
観戦環境対策 プロジェクトリーダー 藤村特命担当部長
財務対応 プロジェクトリーダー 鈴木 徳昭クラブ経営本部長
〔司会より決議事項、報告事項について説明〕
2020年度第4回Jリーグ理事会後の終了会見を行います。本日の発表事項は以下の3点です。本日は専務理事の木村、4名のプロジェクトリーダー(黒田、窪田、藤村、鈴木)が陪席させていただいております。
《決議事項》
1.参与選任について
3月29日付でJFA理事を退任された松崎 康弘氏を参与に選任することが承認されました。任期は本日より3年間でございます。
《報告事項》
1.2020シーズンのJ1クラブホームグロウン選手人数について
2020シーズンのカウント基準日におけるホームグロウン選手について、報告されました。第1登録ウインドー終了の3月27日におけるホームグロウン選手は160人です。ホームグロウン選手はメンバー表、Jリーグ公式サイトの選手名鑑で「HG」と表記されております。2019シーズンまでは、追加登録された選手がホームグロウン選手に該当する場合、シーズン途中で「HG」と表記されることはありませんでしたが、2020シーズンからは表示されます。ただし、当該シーズンのカウント基準日時点のホームグロウン選手の人数にはカウントされません。
2.2019年度Jリーグホームタウン活動調査について
2019年に55クラブが実施いたしましたホームタウン活動について報告されました。年間活動数は2万5,287回で、前年比119%となっております。そのうち、シャレン活動は1,382回です。
〔村井チェアマンよりコメント〕
皆さんこんにちは。村井でございます。前回臨時理事会が4月15日に開催されました。臨時理事会を設けたのは、先般も申し上げたとおり、今週末の4月25日にJ3の再開を当初、想定しておりました。その再開の可否の判断は10日前を目処にと思っておりましたので、15日に理事会を入れておりました。その意味では臨時理事会から1週間も経たない今日の定例理事会は、この間に大きな決議事項があるわけではありませんでした。また新型コロナウイルスに関する4つのプロジェクトからの報告もいただきましたが、前回に比べて大きな進捗が今はあるわけではありませんので、今日は個々のプロジェクト担当からの報告も割愛させていただきます。4月7日に政府が7都府県に緊急事態宣言を発令してから明日で2週間になります。明日、政府の専門家の見解が示されることになると思いますが、翌23日にNPB・Jリーグ連絡会議があり、その場で改めて専門家のご意見をいただきますので、アップデートされたものがあれば、我々の経営に活かしていきたいと考えております。後ほど木村から報告をさせていただきますが、個々のクラブが今後の経営を見通して、具体的にどんなことに困っているのか、リーグにどんな要望があるのか。クラブ選出理事の皆さまもいらっしゃることもあり、今日はクラブ側の経営視点での意見交換に多く時間を取りました。
また、一つ報告がありますが、昨日、首相官邸に菅官房長官をお訪ねして、私どもJリーグと意見交換をさせていただく時間を頂戴しました。おこがましい話かもしれませんが、国難とも言われるような新型コロナウイルス対策に奮闘されている国に対して、何かJリーグが協力できることがないかという点で、ご助言をいただくような時間とさせていただきました。まだ、具体的に我々に何ができるのか、明確にあるわけではありませんが、いろいろな角度から「スポーツがどうあるべきか」というところのご指導をいただいたところでございます。
〔木村専務理事よりコメント〕
今日は、今後クラブにおいて経営上どのようなリスクが想定されそうか、財務プロジェクトを中心にクラブにヒアリングをしている範囲で説明いたしました。クラブ理事からは、自クラブの現状を伝えてもらいました。またご提示した想定リスクに対してクラブ理事から意見をいただきました。
クラブの4大収入は①スポンサー②チケット③グッズ④スクールになりますが、試合がないと、全部苦しいということになります。④スクールは試合には関係ないものの、どのクラブも止めています。試合再開のタイミングは非常に重要という状況は変わっていませんし、コスト削減に取り組み始めている状況も切迫感を持ってお伝えいただきました。実際には一番大きな収入はスポンサーになります。試合が行われていないなかでスポンサーに対していかに貢献するかという点について、一旦、各クラブの意見を聞き、我々が気づいていないようなリスクがあれば知っておきたいと思ったのですが、先ほど申し上げた4大収入が減っていて、見通しが立たないことへの危機感が強調された時間になりました。
〔質疑応答〕
Q:①スポンサーに向けた施策について
クラブ経営について切迫感を持って伝えていただいたという話ですが、スポンサーを繋ぎとめるために今できることはどんなことがありますでしょうか。
②他競技団体との連携について
税制上の話について、以前に木村専務理事が他競技団体と連携されるという話を構想としてお話しされていましたが、具体的な進展はあるのでしょうか。
③YouTubeで公開している手洗い動画(Wash Your Hands)について
YouTubeで手洗い動画(Wash Your Hands)だと思うんですが、理事の皆さんで実施された狙いやお気持ち、コメントをいただければと思います。
A:木村専務理事
①スポンサーに向けた施策について
スポンサーは権利でいうと、このクラブを応援していますという呼称、ステイトメントとか、コンポジットロゴがあったりします。またプロパティ利用というのもあって、例えば試合会場でキャンペーンするとか、いわゆる販売促進に関わるものもあります。さらにアクティベーション、明治安田生命保険相互会社様の「健活プロジェクト」なども一緒にやっていたりしますけれども、選手やOB選手にできることをアクティベートしていく。それから、試合会場における看板掲出などの露出があります。そして、試合におけるチケットをお渡しすること、会場等でのホスピタリティ。この5つがいわゆるスポンサーの5大権利となっています。
試合がない以上、それ以外のこと、先程申し上げた呼称やアクティベーション、プロパティ利用をいかに進めていけるか、これは各クラブマターかなと思っています。
具体的には今、各クラブは動画にチャレンジしていますけれども、できるだけ企業名、スポンサー名が出る動画を作っていけたらというのが比較的多く意見としてあります。そのあたりを今後増やしていくことを考えています。ただ、アクティベーションも「3つの密」であり、できることに限界があるので、まだアイデア段階で止まっていて、これから実行委員との協議や、いいネタを横展開していくことが大事かなと思っています。
②他競技団体との連携について
税制というのは、スポンサー、チケット、エンターテインメント業界すべてに共通する悩みになってくるので、我々が悩んでいることは他団体も悩んでいるはずです。
今はまずJリーグ内で洗い出しを行っているんですが、これは当然、公益財団法人日本サッカー協会も含め、サッカー界、他のスポーツ団体、あるいは音楽を含めたエンタメ業界とかと横連携を取った上で進めていくべきだと思っています。
先週金曜日だったと思うんですが、国税庁のFAQで、法人がチケットを購入し、それを払い戻さなかった場合、確定申告すればそのチケット代金は100%損金算入されるということが明確になってきましたから、ある程度業界全体にそういった理解が広がってくれば助かることになってきます。サッカーだけで活動よりは関係する団体と一緒になって活動していくことが今回のみそかなと感じていますので、今後動いていきたいと思います。
A:村井チェアマン
③YouTubeで公開している手洗い動画(Wash Your Hands)について
様々なメディア、インターネット、SNS等を使って、新型コロナウイルス対策を呼びかけている中で、原副理事長から我々もやろうよと声がけをいただいたので、そうだねということで始めました。
最近長いこと家にいて、私の場合、家族とか孫が一緒なんですが、どんなものを見て、どんな生活を送っているか、普段の生活だとまったく想像できなかったことを見聞きしている中で、孫たちがよく動画を見ているなと思ったので、少しでも協力できるならと制作した次第でございます。
Q:①官邸訪問について
昨日、官邸に行かれた経緯、話の内容、今後の展開を、もう少し具体的に詳しくお伺いできればと思います。
②選手会からの要望に関する報道ついて
再開当初は無観客を想定してらっしゃる中で、再開に至るまで6週間の準備が必要だと選手会から要望があったという報道がありました。このあたりについて教えていただければと思います。
A:村井チェアマン
①官邸訪問について
前回、4月15日の臨時理事会後のメディアブリーフィングをした際に、医療機関に対しJリーグとして何かやれていますかという問題提議をいただいたと認識していて、その後ずっと自分の中で何ができるか考えている時間がありました。
Jリーグは、totoというスポーツ振興くじの対象試合になっていることで、totoの年間およそ1,000億円の売上に貢献し、そのうちの4分の1にあたるスポーツ助成金が各スポーツ団体に大きく還元されています。少なからず日本のスポーツ界に貢献できている自負があったものの、国難と言われている状況で何ができているだろう、と自問自答していました。
昨日、ひとつの仮定というか、何も根拠のない話ですが、長官に、Jリーグは56のクラブが全国、39都道府県にクラブがあり、全クラブがクラブハウスを持っていますと申し上げました。
クラブハウスには、シャワールームがあり、ちょっとした電話応対ができるオフィススペースを持っているクラブもあります。多くに広い駐車場があり、人工芝のグラウンドも持っていたりするので、地域がPCR検査、例えば医療スタッフがクラブハウスを利用し、屋外で仮設テントやプレハブを作り、検査をすることができるのではないかと考えました。そんなことができるかもしれませんが、余計なお世話かもしれないし、我々は医療専門家でもなく、ずれていたりするとクラブに号令をかけるわけにはいかないものの、(クラブハウスをそのように利用するのは)いかがでしょうかということを申し上げた次第でございます。
長官は今の対応にご苦労されているのか、こんな些細な話でも大変喜んでいただきました。全国で一斉にということはないと思うけれど、一つでも二つでもそういう具体的なケースができれば大変ありがたいという風な言葉をいただきました。
本日の理事会でも、我々はいろんなことを要望するだけでなく、何ができるかを協議したいということを提示したところ、理事会メンバーの皆さんからもできることならそういう貢献をしていこうという想いをいただくことができました。
もちろん地域よって医療の状況やニーズも異なりますし、我々がどうこうすることでもありません。多くのクラブハウスは、行政所有や管理をされているケースも多々あるので、我々の一存ではできませんが、もしそういうお声がかかり、クラブとも個別の合意があればご協力できる余地もあるのかなと思った次第です。
②選手会からの要望に関する報道ついて
再開に向けては具体的なものがあるわけではありません。6週間という報道もありましたが、選手会側もそれは訂正されていたようですし、具体的な再開までの準備期間をどの位確保するかは、この後、競技日程プロジェクトが各クラブ担当や選手会と協議をし、詰めていくことだと思っています。現時点で何か確定しているものはございません。
Q:①プロトコルに関して
先日、セレッソ大阪の永石選手が新型コロナウイルス感染後の経緯について、自宅に体温計が無かったので夜測ることができなかったと書かれていました。以前プロトコルを拝見した際は、起床後、夜寝る前など定時に測ることが記載されていたかと思います。(検温が)当時は徹底されていなかったのかと思うのですが、クラブに対する指導はどのようになされているのでしょうか。
②VARの実施について
前回の会見で予算のお話しが出たと思いますが、今後ビデオアシスタントレフェリー(VAR)を継続するとお話しされていたかと思います。VARはお金がかかりますし「3つの密」のリスクもある中で、方針変更の予定はないのでしょうか。
①プロトコルに関して
A:藤村特命部長
詳細を確認したいと思いますが、クラブハウス到着時に検温するという運用もあった可能性もあります。
A:村井チェアマン
当時はクラブハウスで検温ということもあったかと思いますが、現状のプロトコルでは、練習が再開されていない中でも自宅で毎朝検温することを定めています。
②VARの実施について
現状はまだVAR継続の前提から変更はありません。衛生管理上の問題等も考慮した状態で運営の詳細を詰めていくことになります。
Q:①クラブハウス活用について
菅官房長官にPCR検査の場にクラブハウスを活用することを提案されたとのことですが、これまで数回行われた実行委員会で、実行委員の皆様に了承を得てそのようなご提案をされたのでしょうか。
②無観客試合の実施について
無観客試合実施に関するご回答をお願いします。
A:村井チェアマン
①クラブハウス活用について
Jリーグには56のクラブがあります、クラブハウスがありますというお話はしましたが、56クラブすべてが運営を協力するということを決めていることでは全くありません。そのようなアセットを持っているJクラブが、もし国や行政からそのような要請がある場合には今後検討していこうと思いますが、そのようなニーズはあるものでしょうか、と伺いに行っただけです。
確認したところ、ニーズは確かにあるという言葉をいただいたので、本日理事会に諮り、協力していく方向で(理事会にご理解いただき)、今後はクラブと個別に話をして進めていくことになりますし、地域によってニーズの有無もありますし、クラブハウスがあるエリアがふさわしい立地であるのか、また構造的問題もありますし、クラブハウスの所有は必ずしもJクラブではない中で個々の調整になります。今後個別に各論で話を進める可能性があるということです。
②無観客試合の実施について
無観客試合は最後の最後まで(実施しない)という言い方をしています。考え方のベースはそうですが、今後場合によっては無観客でもだめかもしれないですし、無観客が望ましいエリアもあるかもしれませんし、複合的に再開スタイルは検討していかなくてはならないと思っています。その中で無観客もひとつの選択肢に入って来る可能性はあります。
開催方式は様々なオプションを検討しているという状況です。
Q:①首相官邸訪問について
昨日の官邸訪問に対して政治部の記者がかなり騒然として、何か大きなことがあったのではないかと憶測がありましたが、菅官房長官以外の出席者はいらっしゃったのでしょうか。
②実効再生産数
実効再生産数は連日把握しているのか、もし把握されているのであれば、その数字に対するコメントをお願いします。
A:村井チェアマン
①官邸訪問について
官房長官がいらっしゃる中に秘書官が複数名いらっしゃったと認識しています。全員と名刺交換をしているわけではないので詳細は分かりませんが、スタッフがいらっしゃいました。
②実効再生産数について
藤村特命部長より回答
実効再生産数、基本再生産数は復帰に向けた鍵になる数字ですが、そこを毎日捕まえに行くことまではできていません。定期的に専門家の先生方からレクチャーを受ける機会がありますので、その際に数字も含めて把握する構えでおります。