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2020年度 第1回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2020年2月5日(水) 19:20

2020年度 第1回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2020年度 第1回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録
2020年度 第1回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2020年度 第1回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2020年1月30日

〔司会より決議事項、報告事項について説明〕
本日行われました理事会の終了報告会見を行います。まずは、資料1~6の説明をいたします。
質疑応答のあと、7.理事選任の件についてご説明いたしますので、ご了承ください。

《決議事項》
1.実行委員選任の件(清水)
清水エスパルスの実行委員を左伴 繁雄氏から山室 晋也氏へ変更することを承認いたしました。
すでに、社長職に就かれております。

2.J1参入プレーオフ(決定戦)大会方式の件
決定戦は、2019年度と変更なく実施いたします。開催日程ですが、今年度は12月12日(土)、J1クラブのホームにて開催となります。

3.2020Jリーグパートナー契約の件
新たに株式会社トップとJリーグオフィシャルVAR・フェアプレーパートナー契約を締結することを決定いたしました。初めての試みで、トップさまは名古屋の会社です。事業内容などはリリースをご参照ください。

4.2020表彰各賞の件
優秀選手ベストイレブン選出のための選手・監督による投票方法を若干、変更することを決定いたしました。GK1、DF3、MF3、FW1、残りの3の枠で投票していただく形となります。

【変更点】
●選考方法
投票者による「ベストイレブン」の投票結果を基にポジションの得票数の上位選手からチェアマンが選出(約30名)※GK1、DF3、MF3、FW1、残りの3の枠で投票

【ベストイレブン 表彰概要】
〇選考対象
明治安田生命J1リーグ出場数が17試合以上の選手

〇選考方法
「優秀選手賞」の中から、得票数上位よりGK1名、DF3名、MF3名、FW1名を選出し、その他3名については選考委員会で決定(計11名の中にGKは1名のみ、外国籍選手は5名以内。ただし、別途Jリーグが定める「提携国」の国籍を有する選手は外国籍扱いしない。)

〔選考委員会〕
Jリーグ チェアマン、副理事長、常勤理事ならびにJ1 18クラブ実行委員により構成される

〔選者(投票者)〕
J1 18クラブの監督および選手
(明治安田生命J1リーグ 第34節終了時点での投票。明治安田生命J1リーグ17試合以上出場が資格条件。ただし、出場時間は問わない)

5.2020マッチコミッショナー選任の件
2020シーズンのJリーグマッチコミッショナーが承認されました。資料をご参照ください。

6.奈良クラブのJリーグ百年構想クラブ資格の件
JFL・奈良クラブのJリーグ百年構想クラブ資格の認定について、Jリーグ百年構想クラブ規程およびJリーグ規約に反する行為による、Jリーグ百年構想クラブ資格の解除条件付き失格と決定いたしました。

<解除条件>
以下のすべての事項が実効的に機能し実践されているとJリーグ理事会において判断されること
※奈良クラブが2021シーズンJ3クラブライセンス申請を行うためには、2020年6月に開催する理事会において失格が解除される必要がある。来年の締切に合わせております。

1.ガバナンス強化
2.入場者数カウント方法の改善
3.ステークホルダーからの信頼回復

【違反事象】
JFL2015シーズンから2019シーズンまでの5年間に、Jリーグ入会条件のひとつである入場者数の偽証をクラブ代表の指示により意図的に行っていたことが、外部からの通報により発覚した。

7.理事(チェアマン候補者)選任の件
後ほどご説明いたします。

[報告事項]
1.2020Jリーグ担当審判員カテゴリーの件

今シーズンの担当が決定いたしました。VAR/AVARは6名で、資料に記載しております。

[その他]
・2019観戦者調査サマリーレポート

2019観戦者調査サマリーレポートができましたので、お手元に配布いたしました。今回は、大きな変化はなく、順調に推移しております。特段の説明会などを実施せず、この場で説明させていただきます。

簡単なトピックは、子どもを含む平均年齢が36.7歳。昨年比で0.3歳若くなりました。子どもを含まないと42.8歳で昨年比0.9歳となり、若年層の来場が増えています。また、地域貢献は過去最高で、より地域に信頼される、頼られるクラブとしてJクラブが存在感を高めていると調査上でも現れてきています。ご質問などは、のちほど広報担当にお問い合わせください。

〔村井チェアマンのコメント〕
こんばんは。2020年の第1回目の理事会を開催しました。昨年のトピックスとしては、入場者数が過去最高となった等々がありますが、年が明け、さまざまな課題に早くも直面しております。新型ウイルスが、大会運営にどのような影響を及ぼすのか。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)への影響も出ているとAFCサイドから連絡が入っております。このあと、一気にJリーグのスケジュールがスタートしていきます。パートナー向けのビジネスカンファレンスが2月7日。翌8日には富士ゼロックススーパーカップでヴィッセル神戸横浜F・マリノスが対戦します。チケットの売れ行きも好調で、多くの観戦者に来ていただけると思います。安全を期した受け入れができるように、準備をしているところでございます。また16日はYBCルヴァンカップが開幕し、21日にはJリーグが開幕していきます。まずは情報収集を一本化し、チェアマン直轄の調査担当に情報の収集をし、クラブ・広報に情報を共有していく体制を整えていくこと、特に観戦者の皆さまにウイルス対策の啓発を整えていこうということも勧めております。

また、先日、4クラブがアジアのチャンピオンを目指してがんばろうとACLがスタートしました。鹿島アントラーズがプレーオフで敗退するというクラブとしても想定していないであろうことにショックを受けております。天皇杯決勝を元日に戦い1月28日にプレーオフを戦いました。チーム編成も十分ではない状況で、クラブは大変がんばってくれました。そういう意味でも、大会日程の問題もしっかりと議論していかないといけないという話も申し上げました。

幕開け早々ですが、こうした議論で理事会もスタートしております。後ほど(ご説明がありますが)、次のチェアマンについても議論いただきました。今回は、方式を変えた内容となっており、ご説明は役員選考委員会の委員長にお願いいたします。またJリーグの会員ではございませんが、奈良クラブの件など、こうしたことがないように、リーグとしてもコンプライアンス事案を議論していこうと話しております。J1参入プレーオフの件も話がありましたが、J1からすれば落ちないほうがいい、J2からすれば上がりやすいほうがいいというような部分的な話ですと議論が起こりやすいのですが、例えばJ3とJ2の間はどうか、上がりやすいほうがいいけれど、J3に落ちにくいほうがいいなど、いいとこ取りはできない議論でございますので、J1~J3、JFLまで含めたフットボールピラミッドをしっかりと議論した上で、あるべき姿や全体図について、もう1年継続して議論していこうと話しております。

〔質疑応答〕
Q:日程の件ですがJFAは田嶋会長が再任される予定です。前回の議論を尊重して任期のうちにシーズン移行はしないと話していますが、今回の鹿島のようなことも考慮し、移行に関して視野に入れて考えていくお考えはあるのでしょうか。

A:村井チェアマン
一昨年、将来構想委員会としJFAとJリーグで、フットボールの枠組みを議論する場がありました。数多くのメンバーで、1年間、議論をしてきたと認識しています。決議としては、シーズン移行を行わないという決定を得たと思っております。その背景は降雪地だけではなく、日本の行政年度が4月から3月までですが、その途中で昇降格が起こったり、シーズンが変わったりするようなことに加え、日程調整の上でも、行政年度が2年にまたがってスタジアムが抑えられるかというようなこともあります。パートナー企業も4~3月決算が多い中、カテゴリー変更でパートナー継続の議論ができるのか、気候変動だけではなく幅広く議論してきたと認識しています。いわゆるプレーオフが1月下旬にあるということは、逆にシーズンがどうあれ、1月の天皇杯も非常に難しいということになります。一旦、将来構想委員会でシーズン移行は行わないとご理解いただけたことを、前提に組んでいます。

将来構想委員会の中でも、決定ではありませんが、そうした枠組みの中、天皇杯の日程とシーズン終了の日程をなるべく合わせていこうということも合意していたと認識しています。我々も冬にサッカーができるのは望ましいので、降雪地のスタジアム環境やさまざまな整備をしていくことに努力していくことは変わりませんが、天皇杯の日程は選手会からも文書でも申し入れいただき、前倒ししてほしいというような要望はいただいています。その声は、数多くのJクラブからも聞こえてくるので、我々は今回の鹿島があったからではなく、その前から議論していましたし、オープンに議論していきたいと思っています。

Q:今シーズンから導入するVARの準備はどのように進んでいるのでしょうか?

A:村井チェアマン
昨年の後半、YLCのプライムステージ以降、準備をしてきました。トレーニングはJFAと協力して万全を期していると思っております。いくつかの海外諸国で、私も実際に見てきましたが、どのように運用していくか、コンセプトが大事だなと思います。サッカーの魅力は、選手が主体的に戦うことで、その気持ちを大切にしながら、臨場感あふれるプレーや、迅速に細切れにせずに、中断を長くしないという選手の思いや意思をリスペクトする。サッカーが本来持っている精神をベースにしながら、やっていこうということに変わりはありません。ただ、ゲームを決定するような重要な事象に関するVARの導入は、ポジティブに考えていますので、サッカーの面白さを消さないような導入にしていこうと、レフェリーサイドと共有しています。

Q:奈良クラブの件ですが、解除条件の3.ステークホルダーの信頼回復の判断基準を教えてください。

A:村井チェアマン
都道府県のサッカー協会が推薦状を出していただけること。地域のFAは、ファン・サポーターや行政、さまざまなところとつながっており、改善が進んでいるか近いところで見ていただけているという認識です。そういうところから入会に関する推薦をいただけるかは、一つの判断ポイントにしたいと思います。

【担当者より補足】
地元のFA以外にも、行政から文書をいただく予定でおります。今後、クラブとコンタクトすることになりますが、地元のFA、ホームタウンの自治体はお願いするつもりです。加えて、クラブから、ステークホルダーからの支援はいろいろな意味で回復している、という追加資料が有れば、それを拒むものではありませんが、私共としては、この2点を求めていくということです。

Q:①審判リストにあるVAR・AVAR担当6名でリーグを回していくのでしょうか?
②新型ウイルスについてACLなどで影響が出ると思いますが、AFCからJリーグに連絡は来ていますか?

A:担当者
①VAR・AVAR6名は、ピッチ上で主審などをせずVAR・AVARを専属で行います。そのほか、主審58名、副審99名のリストに「V」や「A」と書いてある人は、実際にVAR・AVAR、主審、副審を行います。そのメンバーと専属の6名でVAR・AVARを担当していきます。

A:村井チェアマン
②ACLとの情報交換窓口はJFAに一元化しています。AFCとJFAが協議した内容をJリーグが聞いて、それぞれのクラブに伝えている状況です。そのため、直接我々がAFCや中国クラブとやりとりはしていません。日程やホーム&アウェーを入れ替えるというのは、協議が続いていると聞いています。

※以上で理事会後記者報告会の質疑応答を終了、転換の後、理事(チェアマン候補者)選任の件の説明に移行

〔司会より説明〕
本件の登壇者は、役員候補者選考委員会の野宮 拓委員長、アドバイザーの中島 正樹氏です。まずは野宮委員長より、選考過程と次期チェアマンについて、ご説明いたします。

〔野宮委員長より説明〕
こんにちは。Jリーグ役員候補者選考委員長の野宮でございます。役員候補者選考委員会として、本日次期チェアマン候補者を理事会にて答申させていただきましたので、ご説明させていただきます。

まず、選考プロセスをご説明いたします。

前提として役員候補者選考委員会の構成についてご説明いたします。委員会は8名の委員からなります。委員長は、規定上法務委員長が務めることになっておりますので、私が務めさせていただきました。

そのほか、藤沢社外理事、大塚監事、J1実行委員から札幌の野々村さんと湘南の水谷さん。J2実行委員から水戸の沼田さん。J3実行委員から秋田の岩瀬さんが委員となっています。これらの社外理事、監事、実行委員枠は、それぞれのグループで協議または多数決にて選抜していただいており、この委員の人選にJリーグ執行部は関わっておりません。以上で7名ですが、委員会で追加の有識者を選べることになっており、委員会で協議した結果、元川崎フロンターレの実行委員である武田さんに就任いただきました。

役員候補者選考委員会のメンバーにはJリーグの業務執行理事は含まれておりません。この点は、前回の選考委員会でも同様ですが、今回の特徴は、選考委員会での選定プロセスからJリーグの執行部を完全にシャットアウトしました。委員会の事務局も、議事録作成などの作業は私の所属する事務所の弁護士が努め、Jリーグの職員は一切関わらないようにいたしました。こうすることによって、事務局を通じて、議論がJリーグの執行部に伝わることを防ぎました。

以上のメンバーで選考プロセスをスタートさせますが、今回の選考にあたって選考プロセス・手法の助言・支援を依頼すべく、組織コンサルティングファームであるコーン フェリーさまを外部アドバイザーとして起用いたしました。同社や中島さんのプロフィールは、配布した資料をご覧ください。

コンサルティング会社を起用したのは、今般は次期Jリーグの業務執行理事に求められる人材要件が何かをきちんと定義した上で、それに合致する候補者を探していく客観的アプローチを採用することによって役員選考の説明責任を果たすことができると考えたためです。

感想めいた話になりますが、客観的な指標がない中で選考しようとすると、どうしても自分の知っている人ありきで、その人を想像しながら印象論や感情論での議論になりがちです。Jリーグはここまで大きくなってきており、今、Jリーグが置かれた環境において、どういった人材が必要なのか、要件定義をした上で、その要件に合致した人を探すのが、あるべきアプローチではないかと考え、採用いたしました。

具体的な選考プロセスです。人材要件を定義するため、Jリーグの置かれている状況をしっかりと把握する必要があります。そのため、Jリーグの現職の業務執行理事4名に、かなり詳細に「Jリーグのあるべき姿」、「Jリーグの課題」などを中心にインタビューを実施しました。同時にステークホルダー20名に同様のインタビューを実施いたしました。ステークホルダーには、Jリーグの職員、関連会社の職員(新旧含む)の方々、Jクラブ、JFA関係者、選手、パートナーの方々も含まれています。ダイバーシティにも配慮しつつ、幅広いステークホルダーに、それぞれの観点からJリーグがどのように見えているのか、Jリーグの課題がどう映っているのかについて、ご意見をいただきました。これによりJリーグのあるべき姿と経営課題を抽出して、それをベースに、次期業務執行理事の役割・責任を議論し、それを踏まえつつアドバイザーであるコーン フェリーさまにおいて、グローバルに蓄積されたナレッジやノウハウを参照して業務執行理事に求められる人材要件を確定いたしました。

その上で、確定した人材要件に照らして候補者を選考委員会の委員に推薦してもらいました。ステークホルダーにインタビューをする過程で、候補となるような方々も上げていただいております。それから、幅広い人材ネットワークを有するコーン フェリーさまにも推薦いただきまして、その中から規定上の年齢制限に引っかかる方を除外した50名程度のロングリストを作成しました。

それから、ロングリストに掲載された方々を外的に判明する職務経験を中心に人材要件で評価して絞り込み、対象者にインタビューを実施しました。外的にわからなかった経験の評価をした上で、業務執行理事としての選考プロセスに乗る意思があるかを確認しました。そうして絞り込んで、10名程度のショートリストを作成しています。

ショートリストに掲載された方々を対象に、コーン フェリーさまにアセスメントを実施していただいて、そのアセスメント結果を前提に、委員会で候補者について議論し次期チェアマン候補者を選定するプロセスをたどりました。

大まかな選考プロセスは以上となりますが、以上に説明しましたJリーグの経営課題、次期業務理事の役割・責任、求められる人材要件、アセスメントについて、もう少し深掘りして、説明いたします。

ステークホルダーのインタビューを経て、把握し、議論したJリーグの経営課題は、大きく①事業②フットボール③社会④組織・人に分けて整理しております。こうした経営課題があることをベースに次期業務執行理事の役割・責任を議論しました。役割・責任は、概ね事業の持続的成長の実現、フットボールの魅力の向上、社会連携による社会貢献、これらを支える組織マネジメント改革、国内外のステークホルダーの説明責任の完遂と支持の獲得に分けております。

これを踏まえて確定した人材要件は、コーン フェリーさまのグローバルナレッジを活用して、以下の4つの側面から包括的に定義しております。
①コンピテンシー…経営者として成功するための経営パターン
②経験…経営者に必要となる過去の経験
③性格特性・・・適性、人格的特長など
④動機…経営意欲、覚悟、挑戦心、モチベーションなどの源泉

このフレームワークを使って、人材要件をさらに細目化しました。詳細はスライドをご参照ください。
①コンピテンシー…顧客・現場志向、全組織戦略の提示、組織変革力をはじめとする全12項目
②経験…損益責任、戦略策定、ステークホルダーへの対応、グローバルでの事業、機能責任、クロスカルチャー経験など12項目
③性格特性…対極感、曖昧さの許容など10項目
④動機…ご覧の4項目

この項目の中で、赤でチェックが入っているものがありますが、この項目は特にチェアマンに求められるものと抽出しています。このような人材要件を定義してアセスメントを実施し、候補者が各要件の充足をしているか検討することによって、主観的な人物評価を超えた客観的な評価が可能になったと考えています。

最後にアセスメントの手法ですが、ショートリストに乗った対象者に事前に課題に回答していただき、それを前提にコーン フェリーさまに2~3時間のインタビューを行っていただきました。またコーン フェリーさまのノウハウを用いたオンライン調査を対象者に受けていただいています。さらに360度評価あるいはリファレンスという手法をとっていまして、Jリーグの現役員が対象者であるならば、Jリーグでは360度評価を実施しているため、参照しております。Jリーグの現役員ではなく、360度評価が得られない場合には、その対象者からリファレンス先を複数紹介していただき、その紹介していただいたリファレンス先にコーン フェリーさまがインタビューを実施しています。

以上のようなアセスメントの手法を用いて、候補者を多面的かつ包括的に分析し、アセスメント結果を出しました。この結果を参照しつつ、各委員で意見交換をして次期チェアマン候補者を決定いたしました。以上が選考プロセスになります。

それでは、選考結果についてご説明いたします。

役員候補者選考委員会としては、次期チェアマン候補者として村井 満氏を選定し、本日、理事会に答申いたしました。

選考理由ですが、先ほど申し上げたフレームワーク、①コンピテンシー、②経験、③動機、④性格特性を用いて客観的なアセスメントを実施しましたが、村井さんは高いレベルの行動力を有しており、リーグ全体または業界レベルでの成果を生み出し、社会に向けて効果的なコミュニケーションができます。

この6年の在任期間に渡って、今後チェアマンとして求められる経験もほとんど獲得しています。役割に対する強い意識があり、性格特性も動機も、チェアマンの適正が高いと判断したことによります。

人材要件の細目を開示しましたが、村井さんはチェアマンに求められる項目を含む、ほぼすべての項目において要件を充足する、あるいは優れていると判定されています。他の候補者との間でも大きな差がありました。以上のようなアセスメント結果を踏まえて委員会で議論し、強いリーダーシップ、高い発信力、ステークホルダーからの厚い信頼。こうした面を評価し、次期チェアマン候補者を村井さんとするということで、本日の理事会に答申いたしました。

その後の理事会でも同様の説明をいたしましたが、理事会でもこの答申が受け入れられ、村井 満さんを次期チェアマン候補者とすることが承認可決されました。以上です。

【村井チェアマンより挨拶】
改めて「もう2年チェアマンを」と、お話をいただきました。まずは、役員候補者選考委員の皆さん、ありがとうございました。本来、後継者を育て、育成し、指名していくことは、日本の慣例の中ではトップの役割だという考え方もありました。一方で、自分で自分の人事を決めたり、自分の思いで後継を示すことは、必ずしも組織にとっていいものだろうかという葛藤はありました。最終的に役員候補者選考委員会にすべてを委ね、人選をお願いしたいと申し上げて一切、そこから手を離した次第でございます。自分が選ばれることに関しては自分で言うのも、表現が難しいですが、自分を超える人間が現れることを願っていた自分がいたというのも、正直なところではあります。喜んでバトンを渡したいという思いがありました。一方で、選考のプロセスは何も知りませんし、どんな候補者がいらっしゃったのかは存じませんが、素晴らしい方もいろいろな事情で引き受けられなかった、断られたということもあったと思います。そこで私になったと思っていますが、そういう方々のためにもしっかりとがんばらないと気持ちを切り替えているところです。6年前にチェアマンを拝命したときは、右も左もわからない外の人間でしたが、皆さんに支えられて、ここまで来ることができました。自分の力で、やったことはほとんどなくて、職員、パートナー、クラブ、ファン・サポーターの皆さまのお陰だと思っています。私の場合、ルール上、次の2年が最終年度になりますので、すべての皆さんに恩返しする気持ちでがんばりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

〔質疑応答〕
Q:野宮委員長への質問
選考の方式をこれまでと変えたということですが、それは野宮先生がやってらっしゃるからなのか、リーグとして、組織としての意向があるのか、今後どうなるのか。野宮先生でなくなったらどうなるのか。選考の思想、哲学についてお聞かせいただきたいです。
村井チェアマンへの質問
この選考の過程において、他の候補と差があったというのが、Jリーグが直面している現実かと思います。後継者という話もありましたが、村井さんの後というのがリーグの大きな課題だと思います。最後と考えてらっしゃる任期の中で、後継者についてどう考えているのでしょうか。

A:野宮委員長
今回のプロセスが、私に紐づいている属人的なものかというとそうではないと思っています。もちろん、私は、今回の役員候補者選考委員会以前の選考委員会のメンバーでもありますので、そこでの選考プロセスを振り返ったときに、このような選考でいいのかという反省があり、そうしたことを課題として広く共有させていただいたということはあると思っています。
今回のような客観的なアプローチをとるということは、理事会でも報告して承認されていると認識していますので、私が代わったらどうこうとなるものではないという一方で、今回の選考プロセスはプロセスとして振り返り、反省がないかは理事会で議論していきたいと思っています。

A:村井チェアマン
スポーツ界として、力のあるトップが、私がどうこうということではなく、仕組みとして正しい人間が選ばれ続けるスポーツ団体は必ず繁栄するだろうという信念がありました。
委員会自体が公正、中立、独立している、選考プロセスの透明性が高い、客観に見て主観的に判断するのではないものにしてほしいというのは、先生にお願いした次第であります。
今の立場で、相対的なポジションが、自分がどういうところに差があるのかないのかを正確に把握していない状況ですので、何とも言えませんが、委員会の人からみて、この人だったらいいねと言われる人を育てる責任があると思いますので、これから十分にその責任を果たしていきたいと思っています。

Q:4期目に重点的に取り組みたいと思っていることはどういうことなのか。スポーツ庁のガバナンスコードについて、理事の編成や、2022年がスポーツ庁からの時期として定められている中で、そこに向けてどのようなステップを踏んでいくのかを教えてください。

A:村井チェアマン
重点的に取り組みたいこと
私が就任した時点では、リーグ自体が財政的に厳しい状況でした。実際に財政的な危機感からJ1リーグ戦の大会方式を2ステージ制にすると決まっているさなかでの就任でしたので、就任した当時に覚えているのは、競技とビジネスの話が混濁すると迷走するという想いでしたので、そのタイミングでは財政的な再建真っ先に取り組もうということでした。

そして、Jリーグの理念である社会との連携について時間をかけて取り組みたいと思っていたので、そういうところまで着手できたと思っているのですが、やはり本丸のフットボールのところ、ここがやはりこの先一番重要なところだと思っています。

先ほど日程等の話が出ましたが、選手のことを考えた大会日程はどうあるべきなのか、今回は敗戦してしまいましたが、アジア諸国と比較して圧倒的な強靭さを持ったフットボールを実践していくためには、多様な協議が必要になってくるだろうと思っています。

何よりも、世界レベルの育成や、このあたりのフットボールにかかわることに本腰を入れていく、当たり前と言えば当たり前のことで、今までも放置していたわけではないですが、全力で向き合えるような感覚にいるのが正直なところです。

ガバナンスコード
ガバナンスコードについてですが、スポーツ庁のガバナンスコード基本はNF(National Federation)が対象となっています。
その傘下団体の中でも、Jリーグは十分にガバナンスコードを適用するべきと推定されていると思いますので、ガバナンスコードに対して準拠できるような体制をとる必要があることを認識しております。今日の決議という段階で、理事構成はこの後1か月くらいかけ、そうしたことも視野に入れながら準備していくものと考えています。

Q:中島氏への質問
村井チェアマンより、スポーツ庁のガバナンスコードにお話しがあり、スポーツ団体のガバナンスについて厳しくなっていると思いますが、Jリーグ以外にも今回のようなかかわり方は過去も含めてあるのでしょうか。
村井チェアマンへの質問
次期候補者の条件として、海外の話がありましたが、前回はアジアの取り込みという表記が出ていていて、今回はアジアの開拓という表記がありましたが、開拓とはどのようなことなのか。

A:中島氏
他のスポーツについてもガバナンスコードへの対応があるのかということですが、関心を持っているということは聞いていますが、Jリーグがこうした形での対応を行った初めての団体だと思われます。

A:村井チェアマン
戦略のために何をしなくてはならないか、どんな能力が必要かと定義したのは私ではありませんので、アジアの開拓というのが、どういう意図で議論されたかはわからないですが、アジア戦略などを進めている立場で推定すると、現在はタイ中心に選手交流が行われていますが、アジアからJリーグへの関心度が高いです。国内のJリーグ関心度は20%程度ですが、タイのJリーグの関心度は50%と、日本よりも非常に高い関心度がアジア諸国で表れ始めているので、タイだけでなく、ベトナム、マレーシア、インドネシアでその面を広げていくことは、事業会社と連携しながら進めていかなくてはいけないと考えています。

ビジネスサイドだけでなく、やはりアジアが世界のフットボールの第三極となるために、育成、クラブマネジメントなどの競技周辺にあるノウハウの交換交流をもっともっとしていって、アジアのレベルアップにどこまで貢献できるか、チェアマンに期待されているものと想像します。

Q:野宮先生はBリーグなども担当されていると思いますが、他の競技団体ではこうしたトップの選考方法は普通なのでしょうか。

A:野宮委員長
普通かどうかというと評価になってしまいますが、確かに私はBリーグにもかかわっていますが、Bリーグも役員候補者選考委員会は設けています。今回のような専門家、コンサルティングファームを起用してというのは、私が知る限りスポーツ団体では初めてのことだと思います。
(フェアに選考したいからか)
業務執行理事を選ぶにあたって、やはり、こうした方法をとらないと、仲間内での他薦となってしまいます。委員の個人的なネットワークに限られてしまい、私が知っているこのような人がいるよ、というのにとどまってしまう。そうした弊害もありますし、人から出発するのではなく、Jリーグが置かれている課題は何で、その課題を克服するためには、どういう人が求められるのか、そこから出発する。その過程でステークホルダーにもインタビューさせていただきましたが、候補者を聞くことで、委員だけのネットワークだけでなく外に広がりを持ちますし、コーン フェリーの豊富なネットワークも活用することができる。そうした点にメリットを見出して、今回のプロセスを採用しました。

Q:村井チェアマンが続投の意思を持っているのであれば、大差がついたようにわかりやすい選定だったと思います。
そこまで悩まずに推薦できたのではというイメージがありますが、今後、2年後に僅差となった場合、理事会に2人挙げるのか、1人に絞るのでしょうか。

A:野宮委員長
次の開催の際に同じプロセスをとったと仮定した場合、当然、役員候補者選考委員会として決定して答申する責任があると思いますので、基本的には1人を選んで答申すると思います。

Q:候補者のネットワークを広げるということは良いことだと思いますが、役員候補者選考委員会を設けることで、JFAが行っている選挙と違い、見方によっては密室的なイメージがあります。今回はあまりにも強力な候補が一人いらしたことで問題なかったと思いますが、実際行ってみてどうだったでしょうか。

A:野宮委員長
役員を選ぶにあたって、選挙は一つの方法だと思います。他方で、サッカー協会と違って、Jリーグはプロの興行ですので、ビジネスを回していかなくてはいけないと思っています。

事業を拡大、発展させていくという意味では、どういう人材がふさわしいかを模索するほうが選挙よりマッチしていると思うというのが個人的な意見です。

今回のプロセスに関して、そうは言っても密室ではないかというご指摘だと思います。アセスメント結果は個人のプライバシーにかかわるので開示できませんが、説明責任で果たしていくべきだと思います。個人の評価は無理ですが、選考プロセスに関しては、皆様からの質問がありましたら、できるだけオープンにして行きたいと思いますので、そちらの面で透明性を確保していきたいと思います。

Q:透明性の確保は非常に重要で、候補者のプライバシーも大事だと考えますが、候補者になり得る人は、ある程度覚悟を持っていただいて、そうした方が候補者にならないとクリーンにはならない危険性も今後出てくるのではないでしょうか。候補者指名の開示、評価の開示をするべきではないでしょうか。

A:野宮委員長
そこは全く考えていません。候補者として名前が載っていたこと自体が、その方の現職への影響があるため、結果的になった方がオープンになるのは当たり前のことですが、その過程で漏れてしまった方の名前を出すのは、この種の選考プロセスにおいてむしろ一般的ではなく、皆無だと思います。その観点から難しいと思っています。

Q:理事会などで公表することは不可なのか。

A:野宮委員長
そのために選考委員会は私だけでなく、社外理事、監事、実行委員会から派遣されていて議論されているわけです。不正なことがあれば、他の委員から出てくると思います。そうした形で透明性が担保されていると思います。私が一人で決めているのではなく、アセスメント結果をもとに委員会でフェアに議論している。おかしなことが生じた場合は、委員からおかしいという指摘が入ると思います。

Q:今後も、この方法で選考していくのでしょうか。

A:村井チェアマン
全体の総括ができるほど材料が無く、委員会でどんな議論がされたのか、どんな情報が開示されたのか全く私はわからないのです。私にあるのは、小学校以来の能力検査、知能検査や、就活の際にしたような職務適正検査、Webテストや、ものすごい激しいインタビュープロセスを体験した経験だけですが、色々な角度で本気で人を見に来ようとしているということが痛いほどよくわかりました。

自分の相対的な位置よりは、こうやってトップを選んでいくんだという勉強をさせていただいた。

総括としては、理事会として総括していく責任があると思います。


Q:密室で決まったというイメージはありますか。

A:村井チェアマン
密室というイメージは全くありません。

選考委員に選ばれたクラブも理事も、それぞれの実行委員会、理事会の間で選挙をしていただいて、私自身が委員を決めていませんし、みんなで委員を選んで、J1、J2、J3も監事も理事も当事者間で選んだ委員が動いていますし、Jリーグを上げて選考したメンバーが密室で忖度が働くような空間ではなかったと思います。

 

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