2019年9月上旬、フィリピンのケソンシティにて『サポユニfor smile』を実施しました。『サポユニfor smile』は、サポーターの皆さまから寄付頂いた各クラブのユニフォームを世界の子供たちに届ける企画で、今年で9年目を迎えます。これまで10か国を周り、5,163枚をお渡ししてきました。
フィリピンは人口が1億100万人ほどで、アジアで比較すると日本の次に位置しています。経済については近年高い回復力を見せているものの、未だに貧富の差が激しく、また自然災害が頻発し、多くのストリートチルドレンが困窮な生活を送っているなど、さまざまな社会課題を抱えています。
今回250枚のユニフォームを持って伺ったケソンシティは、マニラ首都圏の4分の1を占め、政府機関や大学も点在する広大な都市です。高層ビルや大きなホテルが見られる一方、小さな住宅が密集したエリアも多くあります。
活動一日目は、在フィリピン日本国大使館と国際交流基金マニラ日本文化センターへ、ご挨拶に伺いました。フィリピンで親しまれている国民的スポーツはバスケットボールで、次にバレーボールが人気だそうです。サッカーの普及はまだまだこれからで、国内にサッカー場もあまりないとのことですが、スポーツを通じて子どもたちにも日本のことを知ってもらえたら嬉しいと、活動を大変喜んでくださいました。
二日目は、いよいよ子供たちにユニフォームを届けます。まずは、Bahay Toro地区へ。2019年4月の大規模火災で数百軒が焼け落ち、大勢が家を失くしました。このあたりは家と家の間が大変狭く、火事が起こっても消防車が通れないこともあり、なかなか消火に至らず燃え広がってしまったそうです。
Bahay Toroを後にし、付近の小学校へ。道中、傾いてしまいそうな小さな住宅と対照的な高層マンションを同時に目にし、改めて貧富の差を感じました。
フィリピンの小学校は生徒数が大変多く、なんと3000人を抱える学校もあるそうです。教室が足りないので午前と午後でクラスを分けて授業を行っています。Bahay Toroのコミュニティには、この日は午後から学校という子供たちがたくさん。日本のJリーグから来たとご挨拶し、ユニフォームを一人ずつにお渡ししました。子供たちはすぐに着て大喜びしてくれます。一生懸命クラブ名を覚えてくれたり、日本のサッカーアニメの話をしたりと、子供たちは垣根なくコミュニケーションをとってくれました。
この小学校には、先ほどのコミュニティから通う子もいれば、裕福な家庭で育つ子もいるそうです。教室は大変カラフルで、開放的な造りをしています。机や椅子は、子どもたちの親御さんがボランティアでペイントして作ったそうです。日本の一般的な小学校とは大きく違うイメージです。
やはりバスケットボール人気が高く、学校にも立派なコートがあります。校長先生や学校関係の方は今回の訪問を大変喜んでくださっていて、午前の授業を終えた子どもたちが伝統的なダンスやマーチングバンドで盛大に歓迎してくれました。
コミュニティと同じく、ここでも子どもたちは元気いっぱいです。僕が着ているのは何ていうチーム?強い?これ(漢字のパートナー企業名)は何て読むの?と、ユニフォームをきっかけにサッカーやJリーグに興味をもってくれて、心から嬉しくなります。
活動三日目は、別の小学校へ。休日にもかかわらず多くの子どもたちが集まってくれました。ここでも子供たちは、自分が着ているユニフォームがどんなクラブなのか?どんな選手なのか?と興味津々です。この日が、少しでも日本の地名やクラブ、選手を覚えてくれるきっかけになればと思います。フィリピンの子どもたちはとってもおしゃれで、カラフルなユニフォームを思い思いに着こなしてくれます。アクセサリーとのバランスを見たり、派手な柄のピンクがお気に入りだったり、心から楽しんで着てくれている様子でした。
準備運動の後は、色とりどりのユニフォームを着て、先生と一緒に体を動かします。笑顔で汗を流す子どもたちを見て、改めてスポーツのもつ強い力を体感しました。
日本では多くのフィリピン出身の方が働いており、また日本からも、語学留学などでフィリピンに渡る方は大勢います。同じアジアの一員ですが、知らないことはまだまだ多く、このような活動を通じて少しでもお互いのことを知るきっかけがつくれたら、と考えています。
大切な思い出が詰まったユニフォームを寄付してくださったサポーターの皆さまには改めて感謝申し上げます。皆さまが託してくださった思いを子どもたち一人ひとりに伝えられるよう、ユニフォームを渡しながらクラブや選手のことを紹介してきました。子どもたちからの「ありがとう!」が、皆さまに届けばと思います。
サポーターの皆さまをはじめ、現地でコーディネートしてくださった皆さま、快く受け入れてくれた小学校、応援してくださった在フィリピン日本国大使館と国際交流基金マニラ日本文化センターの皆さま、この企画に関わっていただいた全ての方々に心よりお礼を申し上げます。こんなに素敵な子供たちの笑顔に出会わせていただき、ありがとうございました。