Jリーグは6月27日、ジーコ、ギド ブッフバルト、ドゥンガ、洪 明甫の4氏が、Jリーググローバルアンバサダーに就任することを発表した。
グローバルアンバサダーは、「Jリーグの広報活動の支援業務」「Jリーグを世界に紹介するスポークスマン」「元所属クラブとの活動」「社会貢献活動」を主な活動とし、Jリーグの魅力を国内外に発信することや、海外戦略のサポートなどの業務を担っていく。
就任にあたり、ジーコ、ブッフバルトの両氏が会見を行い、新たな立場としての意気込みを語った。
まず、今回の就任の経緯について、Jリーグ村井 満チェアマンは次のように説明する。
「2017年の年末に、マラカナンスタジアムで行われたチャリティマッチに招待されました。その時にジーコさんが持つネットワークそのものがブラジルサッカー界の財産であることを目の当たりにしました」
これを機に、村井チェアマンは「Jリーグでプレーした外国籍選手のネットワークを作り、Jリーグを海外に発信していくことが可能ではないかと」と思い至ったという。そして、このアイデアをジーコ氏に提案し、今回の取り組みへとつながっていった。
現在Jリーグは世界150以上の国と地域で放送・配信されており、世界的な認知度は高まりつつある。そのなかで、それぞれの国で影響力を持つ4氏がグローバルアンバサダーの役割を担ってくれることは、Jリーグのさらなる周知・発展へ向けたこれ以上ない援軍となるだろう。
「これからグローバル化を進めるJリーグの橋渡し役としてご活躍していただきたい。Jリーグというリーグを世界に発信していくことでレベルアップが図れればと思っています。今回はその第一歩として発足し、徐々に規模を広げながら拡大していきたい」
村井チェアマンは、このように今後の展望を語っている。
一方、グローバルアンバサダー就任にあたりジーコ氏は「Jリーグは私にとって大事なリーグであり、一生懸命取り組んでいきたいと思います」とあいさつ。村井チェアマンには「私にできることがあれば遠慮なくなんでも言ってください」とメッセージを送った。
ブッフバルト氏は「今回この話を聞いた時に、すぐにお手伝いしたいと思いました」と語り、「今はドイツでもJリーグが見られます。Jリーグの魅力を世界に伝えない手はないと思うので、いろいろお手伝いしたいと思います」と意気込みを語った。
会見のあとには、原 博実副理事長を交えて、トークセッションが行われた。この場でも2人は、日本サッカー界に向けて金言を残している。
なかでも熱を帯びたのは、若手選手の海外移籍についてだった。ブッフバルト氏が「最近は日本の若い選手がヨーロッパに来るとき、いきなりビッグクラブに行っているが、それはいかがなものかと思う。彼らは経験を積む必要がある。何のために来るのかを考えないといけない」と指摘。するとジーコ氏も「それはブラジルでも同じ問題が起きている」と同調。「若い選手は自分の国で経験を積んでから、新たな市場へ移籍したほうが彼らのためになる」とアドバイスを送った。
また、Jクラブの外国籍選手の補強についても、私見を述べている。ブッフバルト氏は「誰でも彼でも連れてくればいいのではなく、しっかりとした目標がある選手、若手に経験を伝えることができる選手に来てほしい」とし、だからこそ「日本には素晴らしいサポーターの前でプレーできる環境がある。その素晴らしさを世界に発信していく必要がある」と、アンバサダーの立場として尽力することを誓った。
一方でジーコ氏も、自身の経験をもとに、アドバイスを送っている。
「日本の市場はブラジル人にとって魅力的だが、金銭的だけでなくどういった形で貢献できるかを考えることも重要だと思う。私は鹿島アントラーズに数多くのブラジル人選手を連れてきたが、その選手が鹿島のためにどういった形で貢献できるかを考えて連れてきた」
2人の考えを聞いた原副理事長は、「日本の良さをそれぞれの国で発信してもらえれば。影響力のある方々なので、心強いなと思います」と、感謝の意を示した。
会見に参加できなかったドゥンガ、洪 明甫両氏も含め、今回アンバサダーに就任した4氏は、Jリーグの歴史を彩ってきた紛れもないレジェンドたちである。引退してからも「Jリーグのために」の想いを持ち続ける偉大なるOBたちが、再びJリーグの発展に向けて重要な役割を担う。