2月下旬に開幕した今季の明治安田生命J1リーグはすでに5節を消化し、徐々に今季の勢力図が浮かび上がりつつある。
開幕から無敗で首位を走るのは広島だ。昨季、残留争いを強いられたチームは、今季就任した城福 浩監督のもとで、生まれ変わった姿を示している。組織的な守備を構築し、開幕5試合でわずか1失点。この堅守を武器としながら、新加入のティーラシンや磐田から復帰した川辺 駿ら攻撃陣も質の高いプレーを見せ、少ないチャンスをものにするサッカーで結果を出している。直近の試合では川崎Fとの無敗対決を制して首位に浮上。勢いをさらに加速させており、しばらくはリーグの戦いを牽引していきそうな気配だ。
仙台と清水も好スタートを切った。仙台は無敗で2位に位置し、清水はリーグ最多の8得点と攻撃力を示して4位につける。広島も含め、昨季は中位以下に留まった3チームが上位に顔を出す状況が、今季も混戦のリーグ展開を予感させている。
そんななか王者川崎Fは確実に結果を出しており、昨季4位の柏も上位をキープしている。一方で昨季2位の鹿島は順位こそ7位ながら、5試合でわずか2得点と攻撃面に不安を露呈。昨季3位のC大阪も開幕から結果を出せず、5節にようやく初勝利を手にしたものの、スタートダッシュにつまづいた印象だ。
さらに深刻なのは浦和とG大阪だ。浦和は2分3敗で17位に低迷。結果を出せないまま5節終了後に堀 孝史監督との契約解除を発表した。昨季のアジア王者のまさかの低迷は、今季序盤戦の大きなトピックの一つとなっている。
レヴィー クルピ監督を迎えたG大阪も、ここまで勝点1しか手にできておらず、最下位に沈んでいる。若手の台頭を感じさせる一方で、5試合で11失点を喫する守備を整備できずに、結果を出せない試合が続いている。攻撃スタイルを目指す指揮官が、いかにこの課題に着手できるかが、今後の巻き返しのポイントとなるだろう。
長谷川 健太監督が就任したFC東京は、出足こそ苦戦を強いられたが、直近の2試合で2連勝と好転の兆しを見せている。今季よりアンジェ ポステコグルー監督が指揮を執る横浜FMも、ハイプレス・ハイラインの新スタイルが徐々に成果を生み出し、2連勝と結果を出せるようになってきた。試合を重ねる中で戦術がより浸透していけば、さらに勢いに乗っていくかもしれない。ペトロヴィッチ監督が就任した札幌も今季より取り組むポゼッションスタイルが着実に浸透しつつあり、今後への期待を抱かせる戦いを続けている。
昇格3チームの中では、名古屋がまずまずのスタートを切った。ガブリエル シャビエルをはじめ外国籍選手の活躍が光り、2年目を迎える風間 八宏監督のスタイルも精度を高めている。鳴り物入りで加入したジョーが本領を発揮すれば、さらなる躍進も可能だろう。湘南は開幕戦こそ勝利したものの、その後は4試合勝利なし。アグレッシブなスタイルは健在ながら、接戦をものにする勝負強さを示せないでいる。
J1初参戦の長崎も健闘は見せているが2分3敗とまだ勝利がない。リードを守り切れない戦いが目立っているだけに、相手が圧力をかけてくる終盤の耐久性を高めることが、初勝利へのポイントとなるだろう。