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2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録について

2017年12月21日(木) 10:58

2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録について

2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録について
2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録を公開します。

2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録を公開します。

2017年度 第11回Jリーグ理事会後定時会見 会見録

 

2017年12月12日(火)
場所:JFAハウス
登壇:Jリーグ チェアマン 村井 満
副理事長 原 博実

 

《決議事項》
1.シーズン移行検討の件
2.2018シーズン日程および大会方式の件
3.ホームタウン追加の件(盛岡)
4.2018Jリーグパートナーの件
5.2018シーズンの登録期間(ウインドー)および追加登録期限の件

1.シーズン移行検討の件
後ほど村井チェアマンより説明いたします。
 
2.2018シーズン日程および大会方式の件
全部で7つの大会について、それぞれの大会方式を決定致しました。変更点を説明します。

1.明治安田生命J1リーグ
①J1・16位とJ2・3〜6位のうち、J1ライセンスが付与されているクラブが新設のJ1参入プレーオフに出場します。優勝した1クラブがJ1に残留/昇格する。これに伴いJ1昇格プレーオフは開催いたしません。

2.JリーグYBCヴァンカップ
ルヴァンカップはグループステージの方法を変更しました。
①グループステージはACL出場4チームを除くJ1・14チームとJ2・2チーム(前年度J1・16位、17位)の16チームを4グループに分け、各グループで2回戦総当たりホーム&アウェイ方式のリーグ戦を行います。
②グループステージにおける順位決定方法はACLにならった形に変更しました。
③ノックアウトステージ、プレーオフステージでのPK方式は現在世界でトライアルしているABBA方式の導入を決定しました(FIFAが決定した場合に採用)。
ABBA方式とは・・PKを蹴る順番がAチーム、Bチームの順の繰り返しでなく、Aチーム、Bチーム、Bチーム、Aチーム、Aチームと、2人目以降は同じチームの選手が2人ずつ蹴る)
④今年度から始めている21歳以下の選手1名先発で起用する制度と18シーズンも継続。17シーズンは決勝は除いていましたが、18シーズンは決勝を含む全試合に採用します。ただしこのルールは、日本代表試合または日本代表活動(A代表やU-23やU-20)に招集され、試合日に不在の場合や対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合は除外されます。

3.FUJI XEROX SUPER CUP
①交代人数を3名から5名へ増やします。ただし交代回数はハーフタイムを除き3回までとします。
②PK方式ではABBA方式を採用します(FIFAが決定した場合に採用)。

4.J1昇格プレーオフ
①前述のとおりJ1参入プレーオフとなるため開催はありません。

5.J1参入プレーオフ
J1・16位とJ2・3〜6位のうち、J1ライセンスが交付されているクラブがJ1参入プレーオフに出場。優勝した1クラブが翌年のJ1に残留または昇格します。

6.明治安田生命J2リーグ
前述のとおり、3~6位がJ1参入プレーオフに出場します。

7.明治安田生命J3リーグ
変更はありません

2018Jリーグクラブ編成
J1(18クラブ)
北海道コンサドーレ札幌、ベガルタ仙台鹿島アントラーズ浦和レッズ柏レイソルFC東京、 
川崎フロンターレ横浜F・マリノス湘南ベルマーレ清水エスパルスジュビロ磐田
名古屋グランパスガンバ大阪セレッソ大阪ヴィッセル神戸サンフレッチェ広島サガン鳥栖V・ファーレン長崎

J2(22クラブ)
モンテディオ山形水戸ホーリーホック栃木SC大宮アルディージャジェフユナイテッド千葉
東京ヴェルディFC町田ゼルビア横浜FCヴァンフォーレ甲府松本山雅FC
アルビレックス新潟ツエーゲン金沢FC岐阜京都サンガF.C.ファジアーノ岡山
レノファ山口FCカマタマーレ讃岐徳島ヴォルティス愛媛FCアビスパ福岡ロアッソ熊本
大分トリニータ

J3(14クラブ+U-23チーム)
グルージャ盛岡、ブラウブリッツ秋田福島ユナイテッドFCザスパクサツ群馬Y.S.C.C.横浜
SC相模原AC長野パルセイロカターレ富山藤枝MYFCアスルクラロ沼津ガイナーレ鳥取ギラヴァンツ北九州鹿児島ユナイテッドFCFC琉球
FC東京U-23、ガンバ大阪U-23、セレッソ大阪U-23

2018シーズンの試合開催日程が決定しました。
■リーグ戦
明治安田生命J1リーグ…2月24日(土)〜12月1日(土)
明治安田生命J2リーグ…2月25日(日)〜11月17日(土)
明治安田生命J3リーグ…3月10日(土)〜12月2日(日)

■JリーグYBCルヴァンカップ
グループステージ 3月7日(水)~開催。決勝戦は調整中

■FUJI XEROX SUPER CUP
2月10日(土)

■J1参入プレーオフ
11月25日(日)、12月2日(日)、12月8日(土)

※AFCチャンピオンズリーグ2018に出場するチームの試合(ホーム、アウェイに関わらず)は、開催日が前後に変更となる可能性があります。
※2018JリーグYBCルヴァンカップに出場するチームの試合(ホーム、アウェイに関わらず)は、開催日が前後に変更となる可能性があります。
※J1・16位クラブがFIFAクラブワールドカップへ出場する場合は、J1参入プレーオフの決勝戦は12/19(水)へ変更になる可能性があります。また、J1・16位クラブがFIFAクラブワールドカップへ出場、かつ決定戦に出場するクラブが天皇杯準決勝にも出場する場合は12月5日(水)へ変更になる可能性があります。
※スケジュールは変更になる場合がありますので、予めご了承ください。

3.ホームタウン追加の件(盛岡)
グルージャ盛岡についてホームタウン追加の申請があったので、本日の理事会で承認しました。
これまで盛岡市と北上市だったところ2市14町4村が追加され32の自治体がホームタウンとなりました。
[追加された市町村]
宮古市、大船渡市、花巻市、久慈市、遠野市、一関市、釜石市、二戸市、八幡平市、奥州市、滝沢市、雫石市、葛巻町、岩手町、紫波町、矢巾町、西和賀町、金ヶ崎町、平泉町、住田町、大槌町、山田町、岩泉町、田野畑村、普代村、軽米町、野田村、九戸村、洋野町、一戸町

4.2018Jリーグパートナーの件
今シーズンのパートナーの皆様で契約更新が決定した企業様について本日の理事会で承認をいただいております。

5.2018シーズンの登録期間(ウインドー)および追加登録期限の件

■2018シーズンの追加登録期限
明治安田生命J1〜J3リーグ…2018年9月14日(金)
JリーグYBCルヴァンカップ …2018年10月5日(金)

■登録期間(ウインドー)
第1登録期間(ウインドー)
2018年 1月5日(金)〜3月30日(金)
第2登録期間(ウインドー)
2018年7月20日(金)〜8月17日(金)

《報告事項》
1.2018シーズン日程発表スケジュールの件
2.2018シーズン公式試合球の件
3.後援名義申請の件
株式会社ブリヂストン、株式会社サガン・ドリームス共催「第10回スポーツ特別講演会」


1.2018シーズン日程発表スケジュールの件
1月12日(金)に開幕カードを全体に先行発表。その他の対戦カードは1月24日(月)の発表を予定しております。

2.2018シーズン公式試合球の件
来シーズンのJリーグ公式試合球が決定しました。来年のFIFAワールドカップロシア大会で使用するボールと同じモデルで、オフィシャルエキップメントパートナーのモルテン様よりご提供いただきます、アディダスの「テルスター18」です。ルヴァンカップでは、テルスター18の特別デザインの試合球を使用いたします。

3.後援名義申請の件
株式会社ブリヂストン株式会社サガン・ドリームス共催「第10回スポーツ特別講演会」へ後援しました。

《その他》
1.2018Jリーグキックオフカンファレンスの件
来シーズンのキックオフカンファレンスについて報告があった。

〔村井チェアマンより〕
皆さんこんばんは。今年度最後となります理事会を終えました。おかげさまですべてのJリーグの公式試合を終えることができました。またアウォーズでも数多くの皆様に足を運んでいただき誠にありがとうございました。今シーズンは初タイトルもありましたし、最後の最終節で、優勝争い、残留争い、昇格争いが決しました。最後の最後までスリリングな、そして多くの皆様に楽しんでいただけたシーズンであったと思っています。まず私からはシーズン移行の議論の結果をご報告させていただきます。

シーズン移行検討の件

決議結果
本日の理事会でシーズン移行をしないことを決定しました。シーズン移行の議論は日本サッカー協会(JFA)の代表強化の観点やリーグの発展の観点、その両方が実現できる方法を目指そうということで議論してまいりました。3月、7月、11月に、JFA田嶋幸三会長に実行委員会にお越しいただいて直接プレゼンテーションしていただきました。その間、皆様にも中間報告をさせていただきました。1年かけて議論した内容でしたので、本日意思決定したことの重さを十分認識しております。
シーズン移行をしないことを決めましたが、今後、シーズン移行があってもなくても、降雪エリアのサッカー環境の整備については、JFAとJリーグで推進していくことを継続していくつもりです。シーズン移行をしないと決定したことは降雪エリア環境整備を止めるということではありません。
また、Jリーグと天皇杯の終了時期をできるだけ揃えることを、今後JFAと議論を進めてまいります。選手会からの意見も多く出ており、クラブからの要望事項でもあります。シーズンを移行することには直接関係のない話ですが、選手が一斉に休める意味合いについて、今後議論を深めていきたいと考えています。シーズン移行も大きな論点ですが、強化、育成、普及と、サッカー界全体にかかわるテーマは山積しています。これらについて我々がどのように認識し検討しているか、説明の最後に俯瞰してご報告申し上げます。まずは付帯資料に沿って、シーズンを移行しない理由についてご説明いたします。

移行しない理由
はじめに(JFAから移行期の提案の出ている)2022年、2023年、2024年のカレンダーの特徴と、現行のスケジュールとシーズン移行した場合のJリーグ公式試合のスケジュールの比較をご説明したうえで、検討結果をご報告いたします。

2022年/22~23年カレンダーの特徴
国際試合は11月にカタールで開催されるFIFAワールドカップが開催(ワールドカップは通常6月~7月に開催されるが、カタール大会は変則的に11月開催となる)。また6月にインターナショナルマッチを4試合開催する

現行の場合
リーグ日程が2月末開幕~10月閉幕。6月はインターナショナルマッチデーで中断。10月3週目のリーグ終了後、11月14日~12月18日がワールドカップ、ワールドカップ後、8週間のシーズンオフを経て、2月末~2023シーズンが開幕。

移行した場合
リーグ日程が8月開幕~5月閉幕。6月のインターナショナルマッチデーはオフシーズンに開催。
10月末でリーグ戦を中断し、2週間の準備を経て、11月~12月でワールドカップを行い、1月・2月がウィンターブレイク、2月2週目から再開し、5月末に閉幕する。

2023年/23年~24年カレンダーの特徴
国際試合は6月・7月にアジアカップが開催される。

現行の場合
リーグ日程が2月末開幕~10月閉幕。6月~7月まではアジアカップで中断。7月2週目に再開し12月1週目に閉幕。

移行した場合
6月~7月2週目までアジアカップ、リーグが8月開幕12月2週目に中断。2月2週目から再開し、5月3週目に閉幕。

(引き続き、付帯資料に沿って以下のとおり説明があった)

検討点:シーズン開催期間がどれほど確保できるか
Jリーグ公式試合の開催期間、つまりサッカーができる期間がどのくらい確保できるかを検証しました。現行の場合はリーグ戦が22年のワールドカップイヤーを除き9カ月確保可能なのに対し、移行した場合は8カ月となります。この8か月には、12月に2試合、2月に1試合開催が含まれます。シーズンのなかで公式試合を8カ月しかできないのは、サッカーの強化、ファン・サポーターへのエンゲージメントを高め関係性を築いていくにあたって懸念が生じます。私は2ステージ制およびチャンピオンシップという大会方式を変更するときにもこの場でご説明しましたが、2ステージ制から1ステージ制に戻した判断は、2ステージ制を決めてからACLの決勝が2週末にわたって開催される変更がなされた結果、チャンピオンシップに残る数クラブしか12月までサッカーができず、それ以外の大半のクラブは11月、最終節がアウェイのクラブは10月でホームのファン・サポーターとの接点がなくなりました。そうした経緯を踏まえ、Jリーグは少しでもファン・サポーターの皆様とサッカーを通じての接点を大事にしたいという思いがあります。

検討点:シーズンとシーズンの間の期間について
現行では、シーズンオフを8週間確保しています。規約上でも選手に2週間の休養を与えなくてはいけないと定められています。一方、強化担当やチームの現場は、チーム編成、トレーニング、戦術の浸透に6週間必要という考えがあり、休養2週間と準備6週間を合わせてシーズンの間は8週間空けるのが適切ということがJリーグの考えです。

検討点:移行期に開催する大会について
移行した場合は7月末~8月開幕となり、移行期には3月~5月の3カ月程度、暫定的な「特別大会」を開いて次の開幕までの間を埋めていくことになります。1.5年の大会とするか、半年の大会とするかは、最終的にはJリーグに委ねられます。カレンダーにプロットしてみると、移行前のシーズンが12月に終了し、暫定的な特別大会の開幕を3月とし、例えばJ1の18チームが参加するホーム&アウェイの全34節の大会を行うことを考えると、3~5月の3カ月ではプロットできません。そのため、半分の17試合の大会を開催する。これがミニマムパッケージとなります。この特別大会が終了し、6月のインターナショナルマッチウィークの試合を4試合挟み、7月中旬から新しいシーズンで開幕するスケジュールだと、日本代表に招集された選手は開幕から休みがとれない状態で、かつクラブも代表選手不在でチーム編成をしなくてはならないクラブ側の負担もあります。また、特別大会終了後、1カ月程度で開幕となるため、先に述べたシーズン間を8週間確保できないことになります。このため、代表選手の休養、チームの準備に問題が生じます。

検討点:ルヴァンカップの日程
JFAから提案されたシーズン移行スケジュールではルヴァンカップは1・2月にノックアウトステージなどを行ってはどうか、というものでした。その時期は降雪期間に重なるため、実質的にはリーグカップ戦が入る日程が空いておらず、スケジュールとして成立していない状況です。Jリーグはリーグ戦とリーグカップ戦が両輪として中核をなし、ファン・サポーターの皆様と一緒にホームゲームを大事にしながらルヴァンカップを戦ってきた歴史がありますが、冬のシーズンで降雪エリアのクラブがホームゲームを開催できないと、中立地でホームゲームを行うことを模索せざるを得ないことが考えられ、ファン・サポーターとともに戦うという基本コンセプトから外れます。そのため、この日程は到底受け入れられないという結論を出しました。

検討点:いつ移行するのか。2022年の場合
2022年のワールドカップは11・12月に開催されます。移行案は8カ月を確保するためには10月の終わりにJリーグを中断し、直後の11月にワールドカップがあるため、招集された代表選手が十分に準備ができるか、いきなり本番で戦えるのか、という問題も議論上で出てきました。
また2023年は6~7月にアジアカップが開催されますが、移行案ですと、アジアカップ終了後、先に述べた休養と準備のための8週間が確保できずに新シーズンの開幕に臨むことになります。選手への負担はもちろん、新チームの編成上にも影響します。
さらに、J2・J3はJ1よりも試合数が多い(J3も今後多くなる可能性がある)ために、リーグ戦期間をJ1以上に確保する必要があります。そのため、移行案では(J1は7月末~8月開幕に対し)7月上旬の開幕を考えざるを得ません。5月末~6月にシーズンを終了すると、J2はたった1カ月で翌シーズンの準備をしなくてはなりません。選手の休養や新チームの立ち上げは、J1や代表チームに限った問題ではないということも申し添えます。

検討点:降雪エリアについて
現行は、12月1週目と2月最終週にリーグ戦を開催しています。移行案は12月に2試合、2月に1試合が増えます。降雪エリアのクラブの実行委員のご意見では、12月頭に試合を行うのでさえぎりぎりにも関わらず、さらに増えるとファン・サポーターの観戦環境が限界という声が挙がりました。今シーズンも既に降雪のなかでの試合もございました。

JFAからの移行案とともに出た提案では、降雪時期には、降雪エリアのホーム試合は開催せずアウェイにしては、という代案が示されました。しかし、それですと降雪時期にアウェイが連戦となります。裏を返すと、降雪エリアではないクラブは、12月や2月の寒い時期にホーム試合が連戦となります。ホームとアウェイが月に2回程度で交互にやってくるリズムを保ってきました。この頻度であれば、観戦者もアウェイに行きやすいですが、ひと月のうち3試合もアウェイとなりますと、私も実際に観戦経験がありますが、金銭的な負担になるというファン・サポーターの声も大きいですし、実際に実行委員を経由して、それらの声もこちらに届けられています。

検討点:オリンピックイヤーやワールドカップイヤーの開催
シーズン移行を(2020年に)した場合、2020年のオリンピックイヤーは、オリンピックが開催される只中でJリーグの開幕を迎えることになります。オリンピック出場選手を抱えるクラブは開幕準備の難易度がさらに高くなります。ワールドカップイヤーも同様で、2022年は変則的に11月開催ですが、通常のワールドカップは6~7月に開催されるため、同じ問題を抱えることになります。

上記を踏まえ、以下のとおりシーズンを移行しない理由をまとめます。

シーズン移行をしない理由
1.移行しない現行のスケジュールの方が、リーグ戦の実施可能期間が1カ月以上長い。
①現行の方が、シーズン間のインターバルや試合間隔にゆとりを持てる。
②暑熱時期の試合開催について確かに懸念があるが、避けきれないものだと考える。たとえ移行して7月の試合を削減したとしても、近年は8~10月にも暑熱日が多くなっている。暑熱は移行の有無に関わらずに避けきれないものである。7月だけでは暑熱対策は十分とはいえない中、通年を通じて試合ができる日が多い方が、融通がきくと思う。今年は10月に3節連続台風もあった。暑熱対策を講じる本来の理由は、選手のコンディションやプレークオリティの話であるが、その点でいくと、より根幹は十分な休養(2週間以上)がとれるかどうかという点にあると考える。

2.移行すると、シーズン終盤の4、5月に、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ終盤やR16が入る。出場4クラブだけが、リーグ戦の最終局面を厳しい日程で戦うことになる。
①開催期間が短くなるため、現行のようにACLの試合を考慮してリーグ戦を金曜日に移動するといった調整もできない。

補足:JFAからは、Jリーグの現行シーズンの終盤に代表戦が入り、ACLの決勝が入り、リーグ終盤もあり、緊張感の高い試合がシーズン終盤に集中するという意見が出ましたが、移行した場合、5月のシーズン終了時期に日本代表戦は少ないものの、ACLのグループステージ最終節やR16が入ってきます。現行では、準決勝、決勝に進出した1チームないし2チームは過密となりますが、移行した場合は、ACLを戦う4チーム全ての日程に影響が出ます。また、現行では、ACL出場クラブはリーグ戦とACLの両方を戦えるよう、リーグ戦の日程をずらす調整をしていますが、シーズンを移行して5月末にシーズン終盤を迎えると、この開催期間と日程では逃がすこと(移動)は非常に難易度が高いです。確かに現行は10~11月に試合数が多く、シーズンを移行すれば少なくなるように見えますが、実は変わらないどころか、開催期間が9カ月から8カ月と1月短くなっているため試合日程はほとんど変わりません。

3.移行しても、期中(1月)に移籍する選手は、減らない可能性が高い。また夏のウインドーならば移籍金が少なく済むと、言い切れない。
①冬と夏のウインドーで、移籍件数は51%と49%。移籍金は22%と78%(FIFAトランスファー・マッチング・システムより)
②Jリーグでプレーする外国籍選手の多くが韓国籍とブラジル籍。この2か国とシーズンがずれることのマイナス面が懸念される。

補足:上記の①はヨーロッパの移籍市場のことを説明しています。ヨーロッパでは冬のウインドーでの移籍が51%、夏が49%と、ほぼ比率は同じです。今、Jリーグのシーズン途中に選手が海外移籍で「抜かれる」と言われるケースが多いですが、シーズンを移行してもしなくても欧州の移籍市場はほぼ半数が動いているので、シーズンを変えても変えなくても「抜かれる」という現象が起こるということをFIFAトランスファー・マッチング・システムから確認することが出来ます。この比率については、FIFAも発表しています。

また、夏と冬のウインドーでの移籍を比較すると移籍金の78%が夏のウインドーとのデータが出ていることから、シーズンオフを夏にシフトすることが本当にメリットかどうか、という懸念があります。Jリーグに所属する外国籍選手の多くが韓国籍、ブラジル国籍で、ブラジル国籍の選手が一番多い です。ブラジル人選手、韓国人選手を合わせて140名くらいいます。両国は日本と同じシーズンで開催しています。Jリーグのチーム編成上も、これが変わることが大きく影響することが考えられますし、シーズンを移行したことで「抜かれる」ということがなくなるということではないということをご説明させていただきます。

4.シーズン末に決勝が集中することは、世界標準で、違和感はない。

補足:シーズン末に今、11月はルヴァン決勝、リーグ戦の優勝争い、天皇杯の終盤、ACL決勝が集中していることが、選手を疲弊させるという意見もありますが、一方で世界のサッカーシーンを見れば、一つのシーズンでぐっと集中して終わって、一斉に休みが入るというスケジュールになっています。
現在は天皇杯準決勝に残っている4チームだけが、Jリーグアウォーズが終わってもトレーニングをしている状況で1月1日までその状態が続きます。1月の末にACLのプレーオフが待っていて、天皇杯の日程がそこにあるがために特定のクラブが苦労するという声も上がっています。
スケジュールと合わせて、天皇杯のことも併せて提言しています。一斉に終わるのが世界のスタンダードであり、国内の現状は、そこが問題ではないかと考えています。

5.「雪国では(シーズンを移行することで)スタジアム等が整備されるだろう」という期待を前提とした意向を、経営リスクとしてとらえるクラブ経営者が多い

補足:行政が動くだろうという憶測のもとでシーズンを移行するのは、地域にとっての優先プライオリティはサッカーだけではない中で、(降雪エリアで観戦環境を整えるということは)公共交通機関、まちづくりなどサッカー以外の投資項目も多々ある中、シーズンを移行することで一気に整備が進むと楽観するのは、経営リスクが高いととらえるクラブ経営者が大半います。

6.移行期の0.5年または1.5年(の特別大会)での収益確保は、Jクラブ全54クラブそれぞれの課題で、難易度が高い。

補足:17節で優勝を決める大会をJ1、J2、J3すべてで大会が設計できるか、そこにコンペティションとしての重さを感じられてファン・サポーターに納得いただけるだけの大会を設計できるかをずいぶん議論しました。
1.5年でも、1年でも相当難易度が高く、スポンサーにも相当の負担を強いることになると考えました。

7.現シーズンは、学校年度と完全ではないがほぼそろっている。移行して半年ずれてしまうマイナスは大きい。

補足:現行シーズンは2・3月開幕と、ほぼ学校年度と一致していますが、シーズンを移行して7月に開幕した場合、指導者の交流などで支障をきたす可能性があるという声もありました。

8.企業との期のずれも、企業側でヒアリングしたところ、修正は難しいとの見方が多い。

補足:企業の決算期は4月・3月が多い中で、現行のシーズンでは企業の期中に昇降格の決定、スポンサーへの報告など、年度の中での風物詩となっていますが、スポンサー等の企業にとって、期中という7月に昇降格の変更などがあることは、難易度が高いということがあります。

9.移行カレンダーの1、2月に計4試合予定されているルヴァンカップは、検証したところ他の期日にプロットできない。Jリーグはルヴァンカップを、全国のホームタウンで通年開催したいと考えている。従って、移行カレンダーではルヴァンカップが成立しておらず、Jリーグの考え方ではカレンダー自体が成立していない。

補足:移行したシーズンのカレンダーでは、ルヴァンカップのプレーオフステージ、ノックアウトステージ4試合を1月・2月に開催するという日程になっています。これ以外の場所にこの4試合を入れることが出来ない状態です。
先ほど説明したように、リーグ戦と、リーグカップ戦はJリーグが持つ唯一の2大タイトルです。ファン・サポーターとともにホームの試合を大切にして戦っていくという考え方の中で、
日程としてスケジュールが成立していないという認識を持たざるを得ないと行くことです。


以上、さまざまな角度から検証してきたことを、まとめてお話しさせていただきました。日本はまだまだサッカーの途上国と認識していて、Jリーグがまだ完成された形ではない中で、ファン・サポーターの皆様と一日でも長く、しっかりとした試合を継続していくこと、それが強化、育成、普及の原点です。過去、変則的な大会方式を変更した大きな要素であった趣旨は、重ねて申し上げるまでもなく同じ内容です。こうした理由で、今回意思決定をさせていただきました。

最後に、参考として、今後のアジェンダ(目指すべき方向の全体像)を少し提示いたします(付帯資料P10)。Jリーグとして目配せしなくてはいけないのは、代表の強化やトップチームがクラブワールドカップで優勝することを目指すといったトップの強化も非常に重要ですが、もうひとつ、それを下支えする前提としてJ2やJ3も健全に発展すること、また審判の質の向上や施設の質の向上、指導者の質の向上を進めることが非常に重要です。育成組織を評価する「フットパス」を導入しましたがリーグ全体で様々な育成の課題が山積しています。普及についても議論するべきことが数多くあります。
シーズン移行、大会方式、カレンダーも重要なアジェンダですが、JFAと一緒に今挙げたようなことを含めた全体像について議論していくことを提示いたします。

〔原副理事長からコメント〕
村井チェアマンが最後に話したように個々の論点に関しては私も同じです。代表の強化に携わったこともありますので、代表の強化が重要なのはよく分かります。ただその前提として日本のサッカーの将来を考えた時のことがあります。
先日調べたデータによると、Jリーグクラブのアカデミーにいる中学・高校の選手は、(その年代による全体の)登録人数の0.8%それ以外は99%の選手は中体連、タウンクラブや高体連出身者です。またJリーグに大学出身者が多く入ってきていますが、Jリーグのアカデミーから直接プロにならずに、大学を経由する場合があります。
世界基準で考えると、ヨーロッパのようにすべてのクラブが街々にあって選手が育成するだけではなく、日本は考えれば考えるほど学校スポーツと一緒になって強化をいけないなと改めて思います。
その中で、日本の部活動、中学校や女子の指導者が問題になっていて、先生もなかなか指導者になれない。それを私たちJリーグと一緒にやっていくと考えると、学校のカレンダーと合っていたほうがいい。ヨーロッパのサッカーカレンダーもサッカーがありきではなく、世の中の流れや文化がシステムに合っています。9月に学校が始まり6月頃に終わってバカンスに入るというカレンダーです。
日本を考えてみた時に育成を考えても、地域性、北から南まであると考えても、合っているほうがいろいろな面がやりやすいと考えますのでJリーグとしても、今後、大会カレンダーそのものだけを変えればすべてがうまくいくわけではなく、もっと育成や普及、女子やフットサル、指導者についてなど、大きな視野で、JFAや地方協会とも一緒になってやっていきたいと思っています。

日本サッカーの強化と普及に関するJリーグのビジョンの施策案を2018年5月に発表したいと思っています。そこに向けての全体像を、来年、皆様に発表させていただければと思っています。

2018シーズン日程および大会方式の件(金曜日開催の件)

〔村井チェアマンによる補足説明〕
もう一つ報告がございます。来シーズンにおける金曜日開催についてのお話です。ヨーロッパの5大リーグではほぼ金曜日や月曜日などの週末以外のウィークデーにもレギュラーシーズンを組んでいます。ある意味でJリーグはすごく熱心なサポーターに支えられ25年をやってきた思いがあるのですが、ある人の中には例えば「週末はサッカーに使いたくない」「サッカー以外の自分にとって大事なこと……家族や友人、恋人と過ごすことに週末を使いたい」という価値観の方も相当数がいると考えます。「平日があるんだったらそれも一つにチャンス」と考える方もいる。一方で週末のためにすべてをかけて一緒に戦う方もいます。ファン層には様々な方がいて、ヨーロッパのケースを見ていると「週末は家族と」もしくは「週末は子どもたちとサッカーをやりたいので、見るんだったら意外と練習が入っている土日よりも平日」というセグメントの方々もあります。
金曜日にやることによって、土日の試合のプレ案内、事前告知の役割を果たしますし、7日間のうち、日曜日の結果報道も含めれば7日分の4日をサッカーに触れることができます。
サッカー発展のために大きな要素であると議論をしていました。現実問題として日本の労働環境やスタジアムの立地を考えると、簡単に行けるものではない中で、強制的に全部を義務付けるのは困難です。実際にカレンダーを丁寧に見てみますと、金曜日に入れられるのは10節程度です。
それはルヴァンカップやワールドカップの影響でリーグ戦が水曜日に開催されることもあり、入れられない時も多くあるからです。
そのため、金曜日に試合が開催できるのは10節程度になります。ただし、そこに特定のクラブの金曜日開催が集中し不公平にならないように、目安としては1クラブが1、2試合程度。ACLに参戦するクラブは金曜日開催をしてますので、それを含めて10節、11節の中ですと、全部のクラブはできません。多くても1クラブ1、2試合を目安に、現実でできる範囲で進めたらどうかという議論をしております。詳細は全く決まっておりませんが、Jリーグとしてはファン・サポーターの構造を変えていくことに、多少の犠牲を払ってでもチャレンジをしていこうというのは、クラブの経営者の皆さんと少しずつ歩み寄っているところであります。

〔事務局より補足〕
※ 詳細日程につきましては決まりましたらご報告します。

【質疑応答】
Q:シーズン移行したほうがプラスになるという議案は見つからなかったのかということと、ACLの影響による終盤の2〜3節の試合日程がずれてしまう問題を解決する手立てや方法について考えていることを教えてください。
A:村井チェアマン
全くメリットがなかったわけではなく、裏表の議論が多くあったと思います。7月の暑熱対策、7月の試合数が少し下がることによって試合のクオリティが上がるメリットもあると思います。でもその裏側には12月、2月にリーグ戦を増やすという問題が出てきたります。メリットの裏側にデメリットも存在するので、まったくなかったわけではありません。

原副理事長
一番のメリットはインターナショナルマッチウィークがヨーロッパと合っていれば、ヨーロッパが中心に動いているのでシンプルに分かりやすい点はあると思います。
代表期間はある程度決まっており、増やすことはできません。特に1月に空いた時に代表強化に使いたいという話も出てきたのですが、世界基準で言うと難しい。アンダーカテゴリーは特に難しいと思います。ご存知のようにJFAとJリーグでしっかり話して、シーズン前にクラブで身体を作ることをアンダーカテゴリーやオリンピック代表も含めて、クラブで身体を作ると話しているが、これで言うとその時期が短くなってしまうなと思っています。

村井チェアマン
今シーズンは浦和vs川崎Fを終盤の平日に開催しました。ACL決勝日程との調整で行ったわけですがリーグ戦全体の優勝争いに関わるのかというのが質問の主旨かと思いますが、シーズンを変えてもグループステージの最終節やラウンド16が4,5月に集中することを考えれば現実問題として日程を逃がす場もないという状況です。現行のシーズンでコンペティションに対する対応策はなかなか見つかっていないのですが。

Jリーグ担当より
まず、我々も非常に悩ましいのは11月の2週末にACLが入っていることです。そもそも大きな問題に感じている中で、決勝に行くチームのやりくりという中では現状これが精一杯です。我々としても手立てを考えていますが、一旦、この日程を作った時には全クラブでACLを獲りに行こうということで、決勝の部分については日程をずらし、全クラブが協力してACLを獲りに行こうという意思決定をしました。

Q:シーズン移行についてはこの形で落ち着くと思うが、日本サッカーについては長年課題だと言われてきた問題です。今後、この問題が日本サッカーにおいて重要な問題だとあり続ける思いますが、この先々の日本サッカーにおいてシーズン移行がどのような意味合いを持って、どのように語られていくのか、予想にはなってしまうと思いますがチェアマンの個人的な見解を伺えるとうれしいです。

A:村井チェアマン
前提として、様々な角度からアイデアを出しながら1年をかけて議論をしてきました。一つの結論を得たというのが大前提ですが、世界のサッカーは、FIFAのコンペティションルールがどのように変わっていくのか、AFCがどのような大会方式で日程をセットしてくるのかという点もあります。
実際、ACLの決勝が11月の2週末に決まった時はJリーグには大激震が走り、大会方式そのものを見直さざるを得ない状況になりました。仮定の話なので明言はできませんが、日本サッカーに非常に大きな影響をおよぼすような外的影響の変化があったら、都度、意見交換をしていく必要があるんだなと思っています。とはいえ、現状で言えば当面は、この決定を重視したいと思っています。

Q:金曜日開催についてですが、来シーズンから導入するかも含めて検討するかどうかなのか、来シーズンはスキップして先のシーズンを見越してということか教えてください。

A:村井チェアマン
先ほどお話しした10節、11節くらいは入る場があるというのは2018シーズンの話です。ACLの影響で金曜日に逃がす日程もあらかじめ分かっている部分もありますので、残りの部分について、来シーズンからできる範囲でやっていこうという議論です。
ただ、試合を移すだけではなく、「週末にサッカーを見に来て下さい」「週末はなかなか試合を見に行けない方は来てください」というキャンペーンを行いたいと思っています。そこはJリーグとしてもクラブに一定のサポートをし、来場者が記念グッズがもらえたりするようなことを考えています。
今、働き方改革などを政府が提唱していますが、Jリーグが考えるウイークエンドの過ごし方や、週末の過ごし方を提言できればと思っています。リーグがしっかりとそこに光をあててプロモーションしていくことが大事で、日程を動かせば済むという単純な話しではないと思っています。そのあたりは理事会からも「やるなら徹底的に国民の話題になるくらいやってほしい」と叱咤激励をもらっています。

Q:決議の仕方を教えてください。反対意見がなかったのか。何対何で決議を取ったというような決議の方法です。

A:村井チェアマン
Jリーグの理事にはJFAからの理事も3名いらっしゃいます。今日は1名が欠席でしたが、JFA側として移行論を主張されていました。2名の方が反対され、1名の方が棄権されました。議論する日数が消化されていなかったからなのか定かでありませんが、態度を保留された方は2名で、その他は全員反対でした。通常は全会一致ということが多いのですが、本件はすごく時間をかけ議論を重ねてきたので、一人ひとり意思表示をお願いして決定いたしました。

Q:シーズン移行についてですが、JFAから問いかけがきて、議論が長い時間かかったと思いますが、議論の進め方についてはチェアマンの中で反省はあるのでしょうか。一つの手段であって、一つの目的ではないので、なんとなくもう少しオープンなやり方でも良かったのかなと言う印象です。

A:村井チェアマン
確かに相当の時間を導入していたのは事実です。今日の理事の中からも「議論の生産性は良かったのか」という声があったほどでしたので、同じような議論を重ねてきた感もあります。
今回の意思決定はクラブの社長や選手会とも議論も進めましたし、強化担当、GMクラスの現場担当とも議論をしました。最終的にファン・サポーターを数多く背負っているクラブの声を大事にしようと言うのが議論のスタートアップの方針でしたので、何度も何度も重ねていくような議論ではあったのですが、「当初は移行に賛成だけど意見が変わった」という方もいらっしゃいました。
いろいろなプロセスの中でステークホルダーの声を拾えたのは価値がありますし、良かったかなと思います。J1、J2、J3で北のエリアのクラブは多くありますし、そこは本当にギリギリの中で懸命な経営努力をしている中で、その裏側には悲痛なサポーターなどの声が聞こえてくる場面もありました。
反省はなかったかというと、同じ議論が多かったなという面はあるのですが、総じてしっかりと議論できたという思いはあります。

 

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