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札幌vs徳島のマッチレポート・動画(明治安田生命J1リーグ:2021年7月4日)

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最後の最後に動いたスコア。札幌が勝点3を手中に収める


7月のデーゲームながらも、さすが北海道といったところか、スタジアムを吹き抜ける涼風が心地よくピッチ上の選手たちの背中も押していたように見て取れた。前節終了時点で札幌が11位、徳島が15位という位置関係。ともに中位以上も狙えるし、1つ間違えれば下位に呑み込まれるというどちらの可能性も持つチーム同士の対戦とあって、終始緊張感のある戦いが披露され続けた。

序盤からボールをコントロールしたのはアウェイチームのほう。GK上福元 直人も組み込みながら最終ラインからショートパスをつなぎ、札幌が高いエリアからボール奪取に走ってきたところでスピードアップをして背後を狙うやり方だ。ときおり、パスが引っかかったところを札幌がショートカウンターで仕掛ける場面もあったが、そうした副作用を含めても徳島としては狙いどおりの形で進めていたと言えるはずだ。

ただし、札幌のほうもディフェンスラインを高く保つことで、徳島に背後を狙われてもオフサイドラインをうまくコントロールして、特に徳島のキーマンであるFW垣田 裕暉に自由を与えず。そうやって札幌陣内でのプレー場面を増やしていくことで次第にボールを握れるようにもなっていった。チャンスの数も札幌が上回っていく。だが、札幌は徳島のフィジカルコンタクトの強度に臆するような場面もときおりあり、試合の空気感としては五分五分の状況だったように感じる。37分には一発で左サイドを突破した杉森 考起がドリブルで持ち込んで演出した徳島の決定機を、逆サイドを長い距離駆け戻ってきた青木 亮太が身を挺して防ぐビッグプレーがあり、スタンドから大きな拍手が沸き起こった。

後半に入っても、徳島がダイレクトに前方のターゲットやスペースを狙うプレーを若干増やした感はあったものの、試合展開の大枠は前半とそう大きくは変わらない。どちらもそれなりに良い形へ持ち込むものの、その先の精度を欠き、攻守の入れ替わりが多いままだった。とはいえ、どこかで守備のミスが出ていればもっとスムーズにスコアが動いていたようにも感じるので、その意味ではどちらも肝心なところではしっかりと集中して応対していたと評すべきだろう。札幌のほうは後半もラインを積極的に押し上げて相手をゴールから遠ざける、コンパクトな好守備を見せていた。

終盤は互いにリスクマネジメントをしながらソリッドに縦へ素早く攻めるプレーが多く大味な感もあったが、時計の針が90分に近づくにつれて勝点奪取をより意識したシビアさが増していったということだろう。ダイナミックなプレーの裏に繊細さが見え隠れし、非常に興味深い推移だったように思う。

そして最後の最後でスコアは動いた。88分、左サイドから菅 大輝が蹴ったハイスピードのクロスが徳島のオウンゴールを呼び込み、ホームチームが劇的に決勝点をゲット。そのままタイムアップの笛を聞き、札幌がリーグ戦中断前最後のホームゲームを白星で飾った。

[ 文:斉藤 宏則 ]
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