本日13時より、大分市内大分銀行ドーム会議室において「株式会社大分フットボールクラブ 第15期定時株主総会」が開催され、決議事項について承認されましたのでお知らせするとともに、下記のとおりご報告させて頂きます。
尚、新役員はもとより、社員一丸となって、引き続き経営努力して参る所存ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
株式会社大分フットボールクラブ 第15期定時株主総会について
株式会社大分フットボールクラブ 代表取締役 青野浩志による株主の皆様へ冒頭挨拶
本日は年度初めの、かつ4月末の何かとお忙しい中、定時株主総会へご出席いただき誠にありがとうございます。
皆様になかなか初勝利をお届けできずに申し訳ございません。あと一歩というところの試合が続いています。これがJ1の厳しさかなと思う部分もありますが、今は産みの苦しみであり初勝利をすれば、勢いも出てくるものと信じております。
皆様には、悔しい思いをさせてしまい申し訳ありませんが、応援していただきますようお願い申し上げます。明日のセレッソ大阪戦、今度こそ初勝利を掴み取って帰ってきたいと思っています。
さて、昨年のこの場で、私は「シーズン終了後の12月には、3年前に一度死んだトリニータがここまで復活したぞ、と言われるように、チーム・フロント一丸となって戦っていく」と申し上げました。
そういう意味では、昨年は、正しく最高の形でシーズンを終えることができました。
昇格、プレーオフ進出のためには、Jリーグ借入金6億円のうち、残る3億円の完済という高いハードルがありましたが、サポーター・県民の皆様の1億2,400万円もの支援金をはじめとして、経済界・行政の皆様のご支援、正しく三位一体のご支援で乗り越えることができました。
プレーオフ決勝での、林選手のループシュートは、経営危機後、本当に苦しい3年間を物心両面にわたるご支援、特に昨年の支援金での大分の皆様の気持ちが乗り移ったシュートだと思っております。
私が社長に就任した時は、平成17年、平成21年と4年間で2度にわたる経営危機の遺産である、17億円もの累積赤字、そして12億円もの債務超過を抱え、さらには主力選手放出によりチームも崩壊し、どこから手を付けていいのか分からない状況でした。
そこで、この3年間、1番目にクラブの経営に対する信頼を取り戻すこと、そして、2番目に財政面での様々な制約がある中でのチームの再構築、この2点を柱にクラブ運営を行ってきました。
正直なところ、経営危機後、3年目にして実を結び「J1昇格」を掴み取れるとは思ってもいませんでした。
これもひとえに、株主の皆様をはじめ、スポンサー企業の皆様、そしてサポーター・県民・経済界・行政の皆様のご支援の賜物であり、この場をお借りして、改めてお礼を申し上げます。
しかしながら、後ほど決算報告しますが、我々はJ1に昇格した今でも、売上を超える11億円の累積赤字、6億円弱の債務超過を抱えていることから、先ずは、クラブの存続を最優先に考え、クラブ再建の歩みを止めることはできません。
現在、J1で厳しい戦いに新生トリニータが挑戦していますが、より強いトリニータにするためにも、一刻も早くクラブを健全な財務体質に変革することが急務だと考えております。
そういう意味でも、昨年クラブライセンス制度が導入され、「2年後の債務超過解消期限」を何としても乗り越えることが、我々に突きつけられた次の高いハードルであります。
振り返りますと、私は2回目の経営危機の真最中であった、平成22年1月、社長に就任しました。多額の借金の中、チームは崩壊し社内も社外も蜂の巣を突いたような状況であり、完全に破綻した状態のクラブを引き継ぎました。
スポンサー企業さんにご挨拶に伺っても、「トリニータは何やってんだ」とお叱りを受けるばかりでした。クラブ経営に対する信頼を完全に失い、12億円の債務超過を抱えた、マイナスからのスタートでした。
正直なところ、何度も心が折れそうになりましたが、約20年間、大分トリニータを応援し支えていただいた株主の皆様をはじめ、県民・サポーター・スポンサー企業・行政の皆様への恩返し、そして、大分の発展・元気のためにも、5年間を目途にクラブを再建し、「必ずJ1の舞台に立つんだ」という気持ちのみでここまでやってきました。
債務超過の解消に限って言えば、経営危機以降、9億円程度の売り上げの中、社員の給与カットやホームゲーム運営費の削減、チーム人件費の見直しなどによる経費削減と、大分総力戦や手作りイベント等による集客増などを行っても、クラブライセンスの債務超過解消期限まで、5年間の期間利益で解消できるのは、どう考えても▲12億円の半分の6億円程度と考え、この3年間、残る▲6億円というものを常に頭に入れてきました。
経営危機後の株主総会や役員会でも、クラブ再建に向けて減資・増資というご意見も出ましたが、クラブ経営に対する信頼感がなく、また、主力選手が移籍し、チームに対する期待感がない中での増資は厳しいことから、この3年間、黒字体質への変換とチーム再構築を行うことで、経営に対する信頼を取り戻さなければ、この橋を渡ることはできないとの信念で、経営に携わってきたところです。
そうした中、昨年、プレーオフが導入されたことから、一気に6億円という思いもありましたが、余りにも金額が大きいことから、先ずは、昇格あるいはプレーオフ進出条件であるJリーグへの借入金返済が、チームのモチベーション維持と喫緊の課題と考え、J1昇格支援金ということでお願いし、本当に多くの皆様のご支援により、何とかJリーグ借入金を完済することができました。
これは、大分の皆さんの、クラブ経営に対する信頼の回復とチームへの期待感とともに、大分トリニータを無くしてはならないという気持ちの表れと、重く受け止めております。
それと並行して、今後2年間、1億円程度の期間利益を出しても、残る債務3億円について、乗り越える方策を如何にすべきか、専門家の方々や一部の株主さんと、経営努力の継続を前提として、債務超過の解消、そして持続可能な経営体になるための方向性を議論してきました。
結果として、残された方策は、経営危機以降先送りしてきた「会社再建で避けては通れない資本施策」を実施するしかないとの結論に至りました。
他クラブのように2,000万円から3,000万円程度の債務超過であれば、増資のみで十分だと思います。しかしながら、我々はその10倍を超える額を、それも短期間に行わなければならないことから、抜本的な変革に踏み切る必要があると判断いたしました。
そこで、先ずは第一段階として、先ほど言った「黒字体質への変換とチーム再構築」に加えて、クラブ再建の総仕上げとして、クラブライセンス制度の期限を乗り越え、大分トリニータを存続させるためにも、先送りしてきたいわゆる100%減資に踏み切ることを決意したものであります。
本日の定時株主総会でいわゆる100%減資をご承認いただいた上で、第2段階として、年内には、増資の方策を含めた債務超過解消の具体策を明確にしていきたいと考えているところです。
年末には来季のチーム編成も始まり、債務超過解消策が見えないような不安定なクラブに監督・選手は来ないものと思っております。そして、最終年となる来年は、期間利益を見ながらの微調整や不測の事態への対応などを行い、期限である平成27年1月を迎えたいと思っております。
経済環境が厳しい中で、このようなお願いをせざるを得ない状況とともに、大分トリニータが、ここ大分に、あるいは大分の子どもたちのために、5年後、10年後、そして将来にわたり持続可能なクラブとしてあり続けるために、経営危機以降、先送りしてきた最後の方策とご理解いただきますよう、お願い申し上げる次第であります。
「いわゆる100%減資」は、長年、支えていただいた株主の皆様の資産を棄損することから、私も悩みましたが、最後の方策として苦渋の決断をしたところであり、どうかご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
本日は、この他、第15期の決算報告として、3億3,000万円の黒字となり、3期連続で黒字を計上することができました。そして、債務超過も12億円あったものが5億8,700万円と、この3年間で半分弱となりました。
また、取締役・監査役の選任、定款の一部変更についてもご提案させていただいております。
どうか、慎重なるご審議をお願い申し上げて、挨拶に代えさせていただきます。
本日定時株主総会の承認決議事項
・第15期決算に関する計算書等の承認
・取締役及び監査役の選任
・いわゆる100%減資及び第三者割当増資に関する決議
※全ての決議事項は承認されました。
株式会社大分フットボールクラブ 第15期決算状況・役員名簿( http://www.oita-trinita.co.jp/userfiles/files/%E7%AC%AC15%E6%9C%9F%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%8A%B6%E6%B3%81%E3%81%A8%E6%96%B0%E5%BD%B9%E5%93%A1%EF%BC%92.pdf )
以上