北京五輪の失望は繰り返さない。なでしこジャパン日本女子代表チームは7月13日に、ドイツ・フランクフルトでのワールドカップ準決勝でスウェーデンと対戦するが、08年北京オリンピックであと1勝のところでメダルを手にできなかった悔しさを胸に、今回は勝利で準決勝を突破して決勝進出を狙う。
「北京五輪ではメダルを取れなかった。ベスト4を獲得したところで(準決勝では)いま一つ力が出なかった」と佐々木則夫監督。ワールドカップへ向けて、メダルを逃した悔しさを胸に監督も選手も取り組んできたと話し、「今回は、苦しい状況で満足したベスト4ではなくて、チャンピオンを目指したチャレンジでの準決勝。北京とは違う。」3年前とはチームの気構えが違うと指摘した。
北京五輪の準決勝ではアメリカに敗れたが、今回は、そのアメリカをグループステージで破ったスウェーデンが相手だ。
世界ランク5位のスウェーデンとは、通算対戦成績は2勝2分2敗。今年に入って2度対戦済みで、3月のポルトガル・アルガルベカップでは準決勝で対戦して2−1で日本が勝利。さらに、大会開幕直前の6月23日にも練習試合を行なって1−1で引き分けた。
その後、ワールドカップに入って、北欧の雄はグループステージでコロンビアと北朝鮮をそれぞれ1−0で下し、優勝候補のアメリカに2−1で勝利。準々決勝でオーストラリアを3−1で退けて準決勝に進出した。
佐々木監督は、「スウェーデンはこの大会に入ってのびのびと自分たちのサッカーができている。タフな試合は間違いない。3人の交代枠を含めて戦わなくてはいけない」と警戒する。だがその一方で、大会を通じてチームの成長に手応えを感じている。
「我々もひとつひとつ勉強しながら進んでいる。結果を恐れずに、今までやったことをのびのびとやれば自ずと結果が出る。いいゲームを期待しているし、ドイツ戦に続いて少しでも日本のみなさんに、なでしこジャパンから勇気と感動を与えられれば」と話した。
120分の激闘を繰り広げたドイツ戦の影響が気になるところだが、なでしこ指揮官は「スウェーデンも我々の試合の翌日に試合をしていて、お互いに大変厳しい状況。どちらが決勝へ行きたいと最後の最後まで思い続けられるかがポイントになる」と言い、選手に勝利への執念と強い精神力を求めた。
12日の前日練習では、FW岩渕は軽い捻挫のため別メニュー調整。DF岩清水が右足に違和感を覚えてテーピングをしての最終調整になったが、いずれも大事をとった処置であると佐々木監督は話した。
スウェーデンのトーマス・ダーナビー監督は、「日本がこの大会で注目すべきチームであることは分かっていた。日本はパスワークと技術がありコンパクトにプレーする、とても良いチーム。ポルトガルでの対戦でも1−2で負けているので、相手のレベルは分かっている。セットプレーは我々の高さを活かせる重要な機会。チャンスがあれば使いたい」と話した。
MF宮間は、スウェーデンの8番(FW、Lotta Schelin)とGKのロングボールを要注意項目として挙げて、1対1で足のリーチの長さと体の強さがあると指摘したが、「それをどう攻略するかは話し合っている」と自信を見せる。
心配されるコンディションについても、「調整も大事だが、それを上回る精神力が自分たちにはあると思うので、調整と精神面と両方準備は出来ている。スウェーデンだからと言って特別にすることは何もない。自分たちのプレーをするまで」と話した。
フランスリーグでSchelinのプレーを知るMF宇津木は、「縦へのスピードがあって大きい割にテクニックがある。繊細なタッチで細かい動きができる」と指摘。「彼女がいるのといないのとでは、ロングボールの対応やラインの設定が変わってくる。一番警戒している選手」と言った。
FW安藤は、「疲れはあっても調子がいい。体は動く。あとは気持ち。試合になったら自然と体が動くと思う」と話す。「歴史的な勝利でうれしかったが、浮かれていてはいけないことは自分たちが一番よくわかっている。次に勝たないとドイツ戦で勝った意味もなくなるので、ドイツ戦以上に気を引き締めて、ドイツより強いと思ってやらないといけない。簡単なミスを少なくして、自分たちのコンビネーションをしっかり出せればシュートまでいけると思う」と言った。
DF熊谷も、「明日の試合は本当に大きい。ドイツに勝って自分たちの力でここまできた。ドイツ戦の勝利や苦しさを無駄にしたくないので、全力で勝ちに行きたい」と口にした。
MF澤は、現在のチームに手ごたえを感じていると言う。「代表で18年やってきて、今回はメダルの自信もあるし、(チームメイトと)一緒にやっていても、本当に北京と違うなと感じる。3年経って、中堅と言われる選手が成長して頼もしくなった。チームとしてすごくまとまっていると感じる。みんな、疲れているのは確かだが、本当に強いチームはここから。気持ちの強いチームが勝つ」と話した。
敵将に「今大会で最高の選手のひとり」と評された澤は、「明日は歴史をさらに変える試合になる。メダルにこだわっているけれど、こんなに最高の舞台で最高の仲間と試合ができる。みんなと笑顔で試合を終わりたい」と語った。
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