なでしこジャパン日本女子代表チームは7月5日、ドイツ・アウグスブルグでグループステージ最終戦を行い、イングランドに0−2で敗れて2勝1敗でB組2位となり、9日の準々決勝でA組1位のドイツとヴォルフスブルグで対戦することになった。
なお、イングランドはこの日の勝利で2勝1分けとなり、決勝トーナメントへ進出。勝点で日本を上回り、ドイツを苦しめたフランスと対戦する。
すでにグループステージ突破を決めている日本は、引分け以上で1位通過が決まる試合だったが、立ち上がりから、勝たなければ後がないイングランドの攻めに遭う。
前回大会ベスト8、2009年欧州選手権ファイナリストにもなったイングランドは、日本のパスコースを消すようにブロックを作り、MF阪口とMF澤にプレッシャーをかけて、自由にボールを出させない。その一方で、MFスコットやMFカーニーらが前線で積極的に動くMF E・ホワイトやMFスミスらに交じって、何度も日本の左サイドバックのエリアを狙い打ち。中盤や逆サイドからの長いボールを通して、崩しにかかる。
日本は対応に追われている間に、最初の失点をした。カーニーからの長いフィードに反応したE・ホワイトが右足でロビングボールを上げると、ボールはGK海堀の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。
日本は逆襲に転じようとするが、芝に足元をとられたり、相手に寄せられてボールを失ったりパスをカットされてパスがつながず、FW永里、FW安藤、MF宮間らへボールが渡らない。ボールが出てもキープに苦労して全体を押し上げられず、攻めのリズムを作れない時間帯が続く。
それでも、FW安藤やMF大野らが前半の終盤にシュートを放つが、ネットを揺らせない。前半40分には、宮間の左サイドからのクロスをあげ、相手GKがはじいたボールに右から上がってきたDF近賀がボレーで狙うがボールはバーを越えた。
ハーフタイム後、動きが活発になった日本は、後半5分に宮間のFKに永里がゴール前に走り込んで左足であわせたが、ボールは枠の外に流れた。
日本は後半56分にFW丸山をベンチから投入し、攻撃の活性化を図るが、ゴールを奪ったのはイングランド。後半66分に交代出場のFWヤンキーにゴール前に入られて、近い距離から決められた。
2点を追う日本は、FW岩渕、MF川澄を入れて反撃に出る。川澄は後半84分、86分、アディショナルタイムと、積極的にシュートを打つが相手に阻まれ、日本が相手ゴールを揺らすことはなかった。
イングランドのパウエル監督は「ゲームプランがうまく行った」と『してやったり』の表情で、「選手がプラン通りにきっちりやってくれた」とチームワークを褒めた。
佐々木則夫・日本女子代表監督は、「選手は前半リズムに乗り切れず、やっとリズムが出てきたかと思ったら、カウンターで失点した。ハーフタイムに気合を入れ直して、後半死ぬ気でやって決勝トーナメントにつながるようなサッカーをしろと言った。後半、気持ちは入っていたが、点が取れなかった」と、前半の出来を嘆いた。
さらに、「フィニッシュと仕掛けのイメージが今日のポイント」と話し、「今日の試合を踏まえて決勝トーナメントへ臨みたい。ベスト3以上の望みが断たれたわけはない。グループ2位で行った方がいいということかとポジティブに考えて、いい準備をして精一杯戦いたい」とコメントした。
MF阪口夢穂選手
負けてくやしいが、決勝トーナメントに向け気持ちを切り替えたい。ハーフタイムに監督から「気持ちが出ていないので、もっとアグレッシブに」と言われた。後半は少しそれが出来たかなと思う。あっけにとられるような失点だったが、取り返せる気がしていたし、攻めていたので(点が取れず)残念です。
FW永里優季選手
相手のスピードが上がって1、2戦とは違うスピードで、(パスの出し手が)前を見れていた部分が見れなくなって、前にボールがつかなくなった。勝ちに行っていたのでリスクを背負って攻めていたところで、それが失点につながった。そこまで悲観的にはとらえていない。後半は(ボールを)受ける位置を少し下げて、自分がボールに関わることでチャンスを作り出すことに切り替えた。もっとテンポをはやめないと点は取れない。
MF大野忍選手
結果から見たら負けだが、個人的には悪くはなかったと思う。後半のような戦い方が前半から出来ればこのような結果にはなっていない。チャンスがあった中で決めきれなかったのが残念。それほど下を向く結果ではないと思う。
DF鮫島彩選手
勝つつもりでいたので、結果的に納得はいっていない。次があるので、切り替えていきたい。引いてブロックをつくる相手に対し、後ろからビルドアップして外せればと思っていた。自分の攻撃参加(ができなかった部分)も含め、攻撃が単調だった。後ろではボールを持てたが、そこから崩していけなかった。このチームで最後まで戦いたいので、絶対に負けられない。相手がどこになろうと全力で勝ちにいきます。
MF澤穂希選手
全体的に今日は疲れている選手が多く、(自分も)疲れが溜まっていて、前半から切り替えが悪く、ハーフタイムに監督からゲキをとばされた。受けて立ったところもあったが、ブロックを作られて崩せず、1本のパスで裏をつかれた。研究されていた?そうだと思います。相手はCKのマークや引いてブロックを作ってスペースを消されたり、日本の高さのなさなどをついてきた。もう少しシュートを打ってもよかったが…。
MF宮間あや選手
どの試合でも負けは悔しい。防げる2失点だった。修正できるミスだと思うので、みんなで何が悪かったかをしっかり解明して次の試合に臨みたい。同じような試合にはしたくない。1度負けてから次の試合へは気持ちの切り替えが難しいが、世界トップのドイツを倒すチャンスがあるのはビッグチャンス。もう一度、日本らしさを出せるように、チームひとつになって戦いたい。
以上