■吉武博文監督コメント
サポーターの温かい応援に感謝したい。チーム立ち上げから2年半の活動の中で、最後の15分間、選手はゴールへ向かう気持ちを見せてくれた。最後まで戦う姿勢を見せた良いゲームだったと思う。
Q:試合前からブラジルは最強の相手だとおっしゃっていたが、実際に戦った印象は?厳しい状況の中で最後まで選手が頑張れた要因、今後の課題をお教えください。
吉武博文監督:ブラジルはとても強かった。パスをまわしながら相手ゴールに向かっていくサッカーの中で、ブラジルはボールを持っている選手がマークを外すのが非常にうまい。日本は、ボールを持っていない選手がマークを外すのはうまいが、ボールを持っている選手がマークを外すことについては大きな差がある。ここを改善できれば、日本はもっと良い試合ができる。ブラジルを最後まで追い詰めることができた要因は、勤勉さ、最後まであきらめない執念など、日本人が持っている良さが出た結果だと思う。また、震災のこともあり、多くのサポーターからの温かい声援が力になった。
Q:最後まで頑張れた要因について具体的にお願いします。
吉武博文監督:昨年の2010FIFAワールドカップでベスト16になったこと、現在ドイツで開催されているFIFA女子ワールドカップでなでしこジャパンが躍進していること、FIFAU17ワールドカップに3大会連続で出場していることなどから、われわれも世界で戦えるのではないかという気持ちでここにきた。さまざまなノウハウが蓄積されていることも大きな要因のひとつだ。もし、今回の「94ジャパン」特有の要因があるとしたら、選手が自立していったことかもしれない。コーチもこれに時間を費やしてきた。自分たちでサッカーを組み立てる、自分たちでピッチ内の問題を解決する、サッカーでは当たり前の能力を、ディスカッションをしたり、映画を見るなどしたりして、高めることに努めてきた。これが直接の要因かどうかは分からないが、選手たちに自信をつけさえたいと思ってやってきた。
Q:大会の総括をお願いします。
吉武博文監督:ファイナリストになり、メキシコ代表と戦いたいという気持ちでこの大会に臨んだ。今大会でベスト8に進めた要因として、選手のフィジカルコンディションが良かったことが挙げられる。また、運があったのも事実。グループリーグ1,2戦をモンテレイという暑い場所で戦い、3戦目にモレリアという涼しい場所へ移動。決勝トーナメント1戦目では、再びグループリーグを戦ったモンテレイに戻ってきた。ただし、ベスト4に進めなかったということも事実だ。少しかもしれないが、まだまだ世界のトップとは差がある。この差を埋める活動をして、次は1996年生まれの選手を世界大会に連れて行きたいと思う。
Q:ブラジルを追い詰めたことで、日本のサッカーが成長していることが実感できた。
吉武博文監督:ありがとうございます。しかし、3失点という事実がある。これを0-1、0-2に抑えていれば違う結果になったかもしれない。選手は90分間の中で1点の重みを感じられたと思う。日本の選手は1点失うと、無理に攻撃をしたり、守りに入ってしまったりする傾向がある。
0-1、0-2で我慢することができれば、もっとメキシコの皆さんを喜ばせる戦いができたと思う。これからもこうした事に取り組んでいきたい。
以上