いよいよ開幕したU-17W杯メキシコ2011。U-17日本代表はU-17ジャマイカ代表との初戦に挑んだ。キックオフの18時には、徐々に日も傾いてきたが、「暖かい風が常に吹いていて、凄く乾燥した」とMF望月嶺臣が語ったように、ピッチ上は熱気に包まれ、厳しい条件下での試合となった。
【4-3-3】の布陣で挑んだ日本は、左サイドバックの秋野央樹とアンカーの望月を起点として、身体能力で優るジャマイカを相手に、しっかりとパスをつなぐポゼッションサッカーを展開した。
狙い通り前半から、ボールポゼッションでは日本が圧倒的な支配率を見せたが、21分にはRomario Williamsにポスト直撃の強烈なミドルシュートを浴びるなど、ジャマイカのカウンターにひやりとする場面もあった。
しかし、0-0で迎えた後半、吉武監督はFW鈴木隆雅に代えて、FW鈴木武蔵を投入。鈴木武を左FWに、左FWだった早川史哉を左サイドバックに、左サイドバックだった秋野を右FWに置いた。
これが的中し、左サイドでは鈴木武が積極的な縦の仕掛けでイニシアチブを握ると、右サイドでは秋野が高い位置で起点となり、徐々にジャマイカを押し込んでいった。56分に中島に代えてFW松本昌也を投入すると、61分に松本が決定的な働きを見せる。
右サイドに流れて秋野からのパスを受けると、そのまま一気にドリブルでカットイン。寄せてくるDFの位置をよく見て、オーバーラップをしてきた右サイドバックの室屋成と絶妙なワンツー。そのままペナルティエリア内まで持ち込んで、冷静に左足を振り抜いた。
先制点を奪い、その後は相手が前がかりになっても慌てることなく、岩波拓也と植田直通の両CBを軸に冷静に対応すると、奪ったボールから鋭いショートカウンターを何度も繰り出した。
MF野沢英之と石毛秀樹の2シャドーが相手のバイタルエリアでフリーになることが多く、彼らのラストパスから、鈴木武が抜け出して決定的なチャンスを迎えるが、放つシュートは尽く相手GKに阻まれた。
追加点こそ奪えなかったが、足がつる選手が出ながらも、最後まで全員が集中を切らすことなく戦い抜いての、1-0の完封勝利。大会前に吉武監督が語っていた、「全員攻撃、全員守備」を見事に90分間貫徹して、初戦好発進を切ることに成功した。この勢いを持って、第一試合でアルゼンチンを3-0で一蹴した、強敵・フランスに挑む。
■監督・選手コメント
・吉武博文監督
ジャマイカは技術的にも優れた良いチームだったので、試合の結果はすごくラッキーだった。前半、ジャマイカのポストに当たるシュートが入っていたら苦しかった。その中でも選手は90分間、しっかり守って無失点だったのが勝因だと思う。当初からもちろん1試合目は勝ちたい思いだった。それより内容的に2年半やってきたことが自信になる試合なら良かった。もっと有効にボールを動かしたいと思っていた。次の試合まで、あと2日間でどこまで修正できるか分からないが、修正できないとかなり厳しい戦いになると思う。
―今日のシステムはこの大会仕様か、ジャマイカ用か?
選手の特長がどのようにしたらいきるかを考えてのシステムであり、今年の3月から取り入れて来た。今後もこの形になるが、システムが大事ではなく流動的に動いて主導権を握っていくことが目的。選手はいろいろなポジションをできる様になっていて、いろいろなポジションができる選手たちがいるからこそ可能な事だと思っている。。次の試合がどうなるかは対戦相手を分析してからになる。
―有効なパス回しができなかた具体的な理由は?
パスを回すこと自体が目的ではない。DFラインの前で数的な優位を作ることが大事であり、そのために高い位置で前を向いたり、ボールに寄ったり、ちょうど良いタイミングで動き出したりなど、基本技術の積み重ねの結果だと思う。できればこの大会で改善していきたい部分。いい失敗をたくさんできたらと思う。
・FW松本昌也選手
―ゴールの気持ち、どう流れを替えようと?
この舞台でゴールできたことはすごくうれしい。前半、ボールはサイドに回していたが、中央に入らず決定的なチャンスを作れなかったので、前でボールをたくさん受けて得点のチャンスを作ろうと思っていた。
―1-0という結果を踏まえて次を戦う気持ち
この試合で戦い方しっかり分かったと思うので、2日間でチームのみんなで修正したいと思う。
・DF植田直通選手
―今日は相手のどの部分を警戒していましたか?
相手の身体能力が高いのは分かっていて、自分も特徴は身体能力の高さなので、そこで負けないようにしました。
―立ち上がりは少しばたついた感を受けましたが?
最初はもっとシンプルにやろうとしすぎて、ちょっとうまくいかなかったのですが、後半からうまくいったので、よかったです。
―この暑さはいかがですか?
熊本と暑さはあんまり変わらないですね。熊本も結構暑いので大丈夫です。
・MF望月嶺臣選手
―この試合で心がけていたことは?
まず立ち上がりの入り方と、あとはボールをこっちが保持することを意識しました。
―ジャマイカに対して警戒していたことは?
カウンターとセットプレー、ロングスローに一番気を付けました。あとはDFのはじいたボールを自分がいかに意識をして拾い切れるか。ここはすごく気を使いました。こっちがボールを持って揺さぶっていれば、相手が後半は疲れてきてチャンスができると思っていたので、先制点もそういうところから生まれたと思います。
―次なる相手・フランスは強敵です。
自分たちがこれまでやってきたことをやり続ければいいと思うし、僕たちのサッカーをどんどん強い相手に試していきたいと思います。
―今のコンディションは?
コンディションはだんだんですが良くはなってきています。ただ、今日の自分のプレーは全然納得いくプレーが出来ていません。パスミスと、もっと前を意識してやればよかったと思います。僕の役割は中盤のつなぎの中心になることなので、もっと高いレベルのプレーをしたいです。
以上