■AFC U19女子選手権大会2009 決勝
2009年8月12日 21:00KO(現地時間)
会場:中国・武漢 Hankou Sports Culture Stadium
U-19日本女子代表 2-1 U-19韓国女子代表
(前半:0-0、後半:2-1)
得点:
63分 安本 紗和子(東京電力女子サッカー部マリーゼ)
69分 JI SO YUN(韓国)
87分 岩渕 真奈(日テレ・メニーナ)
マッチMVP:藤田 のぞみ (日ノ本学園高等学校)
大会MVP:岩渕 真奈 (日テレ・メニーナ)
大会得点王:岩渕真奈 (日テレ・メニーナ)、JI So Yun(韓国)=4得点
最終順位:
・1位=日本
(2002年の第1回大会以来となる2度目の優勝)
・2位=韓国
・3位=朝鮮民主主義人民共和国
(上位3チームがFIFA U-20女子ワールドカップの出場権獲得)
・4位=中国
決勝のスターティングメンバーは左サイドバックに竹山裕子、一つ前に小原由梨愛が入った。初戦のオーストラリア戦で怪我を負い、大会途中で離脱を余儀なくされた加戸由佳と体調不良によりベンチ入りできなかった高良亮子のユニフォームもベンチにかけられ、全員が一つになって臨んだ決勝戦は日本のペースで始まった。開始早々にゴール前に出たボールを高瀬愛実がスライディングで突っ込んでいく。9分には竹山がオーバーラップを見せ、そのままロングシュート。 13分にも齋藤あかねから高瀬につなぎ、小原が裏へ抜ける。ボールが落ち着かないながらもチャンスを生み出していく日本。韓国は15分、日本の連携ミスからボールを奪い、一気にシュートまで持っていくがギリギリのところで日本がオフサイドを取った。ようやく日本らしいゲームコントロールを見せ始めるが、それでもゴールを割ることはできない。前半終了間際にも小原からのクロスに高瀬が競り、竹山がシュート。こぼれ球に岩淵がつめるも一歩及ばず。スコアレスのまま後半へ突入した。
後半に入り、試合は大きく動く。優勢に試合を進めていた日本は63分、この日好調だった安本がDFを軽やかに交わすと、ドリブルで持ち込み、そのまま思い切り左足を振りぬいた。勢いにのったボールは一直線にゴールネットに突き刺さり、日本が先制する。しかし、その5分後、「気をつけなければいけない選手」(佐々木監督)だったはずのJI SO YUNに大胆な突破を許してしまう。そしてその疾走をファウルで止めた場所はペナルティエリア内だった。このPKをJI SO YUN本人が右隅へ沈めて韓国は試合を振り出しに戻す。それでも「焦りはなかった」と語る佐々木監督。日本はその後も次々とシュートチャンスを作っていく。78分には後半から入った堂園彩乃が放ったシュートがブロックされ、再び拾った堂園が中へ折り返したところを高瀬が狙うが、大きくふかしてしまう。攻め込みながらもゴールを割れない日本。残り時間もわずかとなった87分、ついに日本が勝ち越しに成功する。右サイドから安本が大きく前線へ配球、ゴールライン際ギリギリのところで追いついた高瀬が中へ。受けた岩渕はDFに囲まれながらも振り切ってゴール。試合を決定付ける勝ち越しゴールが日本に入った。そして、その後3分間のロスタイムを守りきった日本が歓喜のホイッスルを聞いた。若きなでしこたちは、大会前から合言葉になっていた“アジア制覇”を有言実行。念願のアジア女王の座を手に入れた。
なお、この日のMVPには中盤で終始献身的な動きを見せた藤田のぞみが、大会MVPには岩渕が選出された。
■試合後コメント
佐々木則夫監督
選手たちは常にアジア制覇を目標に掲げてきました。世界に目を向ければ日本もまだまだですが、(目標を)達成した選手たちをまずは賞賛したいです。非常に日本らしいサッカーをした中での勝利に満足しています。中国・朝鮮民主主義人民共和国・韓国・・・。ベスト4に入ったチームはどの国も大差はないと思います。私たちがそんなにズバ抜けてよかった訳ではない。まだまだ日本はみなさんが思うよりこれからのチームだと思います。
岩渕選手
アジア制覇はずっと目標にしてきたので、この優勝は自信につながると思う。今日はみんなが体を張ってがんばってくれて、私はただ点を入れただけ。佐々木監督から『オマエが決めろ!』と言われていましたし、(決勝戦では)そこまで何もできていなかった。本当にゴールが決まって安心したし、それが決勝点になったということを自信にして、今後も頑張っていきたいと思います。みんなが引っ張ってくれますけれども、自分も引っ張られてばっかりではダメ。年齢を気にしていたらやっていけないとも思います。熊谷選手などがチームを引っ張り、後ろで相手の攻撃に壁を作ってくれているので、自分は攻撃面で引っ張るプレーを出したかった。その点は良かったと思います。今度はドイツ。前回大会はベスト8で負けているので、次回はベスト4以上いけるように頑張りたいです。
高瀬選手
今日は点を取りたい取りたいって思ってて・・・前半は思いっきり空回りしてしまいました(苦笑)。せっかくビッグチャンスを何度ももらえたのに悔しいです。自分では正直全然走れてないなって思ってたんですけど、そんなときにベンチからの“がんばれ!”って声が聞こえて・・・。あとちょっと頑張れば、後で絶対に後悔しない。そう思って走り続けました。出し切れたか?・・・やっぱりFWなんで、あの展開で点を取れなかったことはちょっと引っかかりますけど、でも優勝できましたからね。今やれることは出し切ったと思います。終わった瞬間はもうガッツポーズでしたから(笑)。自分の夢は世界一になることなんです。また選考もあるだろうし、ここから次は世界に向けて、アピールし続けて頑張っていきたいです。
熊谷選手
ゲームの主導権は握れていたと思うし、惜しいチャンスも結構あった。その中でPKをとられての失点は、いらなかったといったら変ですけど、FWの得点に応えることはできなかったですね。でも、最後まで本当に前線の選手を信じて守り続けられたので、そういう中で得点をとってくれて勝てたのは本当によかったです。しっかり対応すればいけるというのは本当に思っていて、DFラインが、攻めているときにしっかりマークにつけないとカウンターが危ないというは警戒していたので、攻めているときに本当に自分たちがいい状態で守れるようにマークついてっていうのと、10番のおちていたところをボランチとはっきりしようというのは意識していました。やっぱり信じ合えているというのが日本の一番強いところだと思いますね。自分たちが本当に仲間を信じて、全員で戦っているというのが、ピッチの中でも全員で意識してやれていたんじゃないかなというのが、そういうところが日本の強さじゃないかな、と思いました。
安本選手
本当に嬉しいです。(先制点の場面は)櫻本からのパスをカットインして、中にドリブルしてシュートを打ちました。前半からドリブルで仕掛けられていたけど、最終的にはパスという形になっていたので、後半からは積極的にシュートを打っていこうと思って振り抜きました。(左足のシュートは)ちゃんと当たってくれて、今日は本当に良かったです。(前半は)得点が入らなくて苦しい部分はあったけど、自分たちのペースで試合を進められていたので、後半はいけるかなと思っていました。この大会では最終日になって積極性が出てきたと思います。だんだん自信が付いてきて、いけるなという部分もあったので、今日は仕掛けることが出来ました。(後半同点にされた時は)チャンスはたくさんあったので、落ち着いてプレー出来ていました。ドイツでは今のチームよりワンステップ以上成長出来て、メダルが取れたらいいと思います。
(文/早草紀子)
以上