J2・J3入れ替え戦 第2戦。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、讃岐のホーム・丸亀競技場は歓喜の渦に包まれました。大きな歓声と選手たちへのねぎらいの拍手が響く中、大粒の涙を流し、J2残留への思いを噛みしめる選手が一人。
高木和正−。
そのこらえ切れない涙が止まるには暫く時間がかかりました。いつもは冷静で凛々しさに満ちた高木選手。熱い涙の裏には、どんな想いがあったのでしょうか・・・。
香川西高校を卒業後、広島、山形、岐阜、栃木でプレーし、プロとして12年目の今年、地元に凱旋してきた高木選手。加入当初から「地元にJのチームがあるのは素晴らしい事」と常々、語っていました。“地元のチームの力になりたい”その一心で讃岐への移籍を決断した高木選手でしたが、チームはまさかの開幕7連敗。「自分としては1年間、苦しいシーズンでした。こんなに結果が出ない事は今までの経験であまりなかった」と今季を振り返り、1番苦しかったのは「夏頃」だと言います。「ゲームにも出られないし、メンバーにも選ばれなかった。ここ数年、そういう経験もなかったので」と当時を思い返しつつ「けど、久しぶりにそういう経験が出来て、1年間、いい勉強になった。これを来季に向け、また成長していかないといけないと思います」と苦い経験を前向きにとらえます。入れ替え戦については「リーグ前半の結果からすれば最下位でシーズンを終わる成績だった。けど、後半から段々とチームの調子も上がってきた。その中で残留できるチャンスを与えてもらったので、入れ替え戦2試合は無駄にせず、自分たちが1年間やってきたことをチーム一丸となって、仲間を信じて戦えたんじゃないかなと思います」と高木選手。また「1年間、しっかり頑張ってきたことが今日、報われたかなと率直に思いました」と笑顔を見せました。
地元にJ2のチームを存在させるという仕事を果たした高木選手は、「正直、人生を懸けて今日はやっていました」と、相当な覚悟でこの入れ替え戦に臨んでいたそうです。その覚悟、熱い思いが安堵の涙に変わったのでしょうか?「泣くつもりはなかったんですけど、1年間のいろんな思いが出てきたのと、いろんな人、ファンやサポーターがあれだけ応援してくれて、そういうのを見たら勝手に涙が出てきてしまいました」
サポーターへ「苦しい時、声をからして応援してくれたのが今日の残留につながったと思います。ありがとうございましたと言いたいです」と感謝の思いを寄せた高木選手。苦しい時も、つらい時も、くさることなくひた向きに練習に励み、前を向いていた高木選手にサポーターを代表して一言。「こちらこそ感動のシーズンをありがとうございました。そして来季も期待しています!」
以上
2014.12.09 Reported by 中條さくら(オフィスひやあつ)