J1で7位のF東京は、ホーム味スタに同12位の新潟を迎える。今季も残り3戦となったが、中位の両者はすでに優勝の可能性が消滅。互いに士気を保つのが難しい状態だ。ただし、来季に向けて個人の成長、チームの成熟という点でもただの消化試合にしてしまうのは惜しいところだ。
新潟は今季も、堅実なチームづくりを進めてきた。シーズン途中にFW川又堅碁が移籍したものの、FW指宿洋史をスペインから獲得してその穴を埋めた。来季のアジアチャンピオンズリーグ出場圏内となる3位の目標は逃したが、12年のシーズン途中から指揮を執る柳下正明監督の元でDF松原健、FW鈴木武蔵といった若手も順調に成長している。さらに、中盤にはMFレオ シルバが君臨し、攻守で大車輪の活躍を見せている。
今節はDF舞行龍ジェームズが出場停止となるが、この代表ウィークでFWラファエル シルバらが復帰を果たして戦力は充実している。指宿の高さと、周囲の機動力が絡んだ攻撃は脅威となるだろう。
F東京のマッシモ フィッカデンティ監督も「新潟は中位にいるが良いチームだ。全チームに言えることだが、このリーグで油断のできる相手などいない。コンディションも重要だが、闘争心も重要となる」と、この一戦への意気込みを語った。F東京としては、まずはスペースを与えず、ゲームの主導権を握った上で相手の隙を突いていきたいはずだ。
一方のF東京は、日本代表に招集されていたDF太田宏介、DF森重真人、FW武藤嘉紀がチームの練習に合流した。中でも疲労の色も濃かった武藤だったが、20日はフルメニューを消化し、「久々に良い状態だと思う」と万全を強調した。リーグ新人最多得点記録に並ぶ13ゴールを挙げ、得点王も視野に入っている。「新潟戦で更新できれば、ホッとできる」と記録更新に意欲を示した。
この一戦の注目のマッチアップは、その武藤と、松原の若き日本代表対決だ。左サイドに流れるプレーを得意とする武藤と、松原の主導権争いはこの試合の勝敗を左右するポイントとなるはずだ。今季の前回対戦では、武藤が前半17分に挙げた得点を守り切ったが、松原の攻め上がりに四苦八苦。そこを起点に多くの決定機をつくられてしまっている。
F東京の攻撃のストロングポイントはやはり左サイドだ。そこで相手に流れを与えてしまっては、前回同様に苦戦を強いられてしまうだろう。
また、両者ともにチーム全体が組織化され、機動力も兼ね備えている。終盤まで絶えず動き続ける選手も多い。そうしたチームの下支えとなっている選手の動きにも注視してほしい一戦だ。
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2014.11.21 Reported by 馬場康平