愛媛にとっては2014シーズンのホームラストゲーム。その最終戦を前に、大きなニュースが飛び込んできた。今月10日には関根永悟の契約満了が、そして13日には石丸清隆監督の退任が発表された。2人とも2005シーズン、愛媛のJFL最後の年には選手としてチームを支えた功労者。彼らを気持ちよく送り出すためにも、選手はもちろんのこと周囲も一心となって白星を目指したい。だからこそ、今季最後のニンジニアスタジアムには1人でも多くのサポーターに駆けつけて欲しい。
その石丸監督に関しては13日の練習後、取材対応も終えた後にリリースが出されたため、退任に関する詳細は試合後に明らかになる。従って、囲み取材では自分のことではなく「できるなら関根を使いたい。勝ってチームで送り出す、その状況を作りたい」と、チームの功労者に最大限の敬意を払っていた。その関根は怪我から復帰後のコンディション、さらには今週の打撲の状況なども見ながら、途中出場となることが濃厚だ。どんな展開で投入されるかは分からないが、いずれにせよピッチに立てばアグレッシブで、猪突猛進な攻撃参加でチームに勢いをもたらしてくれるだろう。
ただ今の愛媛に必要なのは、そういうポジティブな姿勢。石丸監督は「今は何気ないところのミス、ビルドアップのミスが失点につながっている。そしてミスをしてメンタルが落ちるところがあるが、それがチームに与える影響も学んで欲しい」と選手たちに奮起を促すが、ゲームの中でもいい意味で切り替えるたくましさを出せるか。特に連敗中のここ2試合に関しては序盤に失点をして、ピリッとしない入りをしてしまったが、仮にそういう展開になったとしても、そこで悪い流れを断ち切る勇気が求められる。試合に挑むメンタル的なところでは、今節に関しては消化試合というよりも自然と感情的なものが出てくるはず。村上佑介は「認めたくないけれど、向こうの勝ちたい気持ちが上回っていたと思う」と前節の熊本戦を振り返ったが、熊本がホーム最終戦で見せた男気を今度は愛媛が示す番だ。
その上で、石丸愛媛の集大成を示すことができるか。相手となる北九州は現在4位。昨季は愛媛が17位、北九州が16位でフィニッシュをしているが、今季は大きく差をつけられた。その北九州に関して石丸監督は「成熟度の高いチーム。カウンターがダメでもボールを運ぶこともできる」と警戒をするが、愛媛はその北九州のペースにはまらず試合を進めたい。前期の対戦では開始4分に堀米勇輝のゴールで先制することができ、追加点、そしてダメ押しと効率よく加点することで3−0の快勝だった。キャプテン吉村圭司は「今はいい時と比べて球際で勝てていなかったり、サポートができなかったりしているが、原点に帰らなければならない。それができないとまとまりも出ないし、いい試合ができた時のことを思い出しながら戦いたい」としているが、前期の北九州戦もいい時の1試合だろう。愛媛はそういった試合を再現できるかどうか。もちろん、北九州としては今季の昇格こそ叶わないまでも、まだ3位まで順位をあげられるチャンスもあり、これまでと同じように戦うまで。既にホーム最終戦は終え、前節はそのホームラストゲームで湘南に敗れてしまった。今回は逆に勝負の厳しさを愛媛に示し、前期のリベンジをして自らを上の順位に引き上げたい。
しかし、いずれにしても今季ニンジニアスタジアムでJリーグを楽しむことができるのは今回が最後。来季はメインスタジアムの改修工事も始まり、また景色が一変する。その前に最後にもう一度、スタジアムで観戦するかスカパーで観戦するのかまだ迷っているサポーターがいれるのであれば、今回は是非スタジアムに足を運んで2人のJFL戦士を見送ってほしい。今季最後の一戦を盛り上げる1人になって欲しいということを、改めてつけ加えたい。
以上
2014.11.14 Reported by 近藤義博