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【J2:第40節 長崎 vs 東京V】プレビュー:佐藤由紀彦の引退発表でより一つになった長崎と残留のために死にもの狂いの東京V。男を見せるのはどちらか。(14.11.09)

11月5日。チームの精神的支柱である佐藤由紀彦が今季限りで現役を引退するとクラブの公式HPを通じて発表した。佐藤は引退について「この2年間は一選手としてほとんど試合に出れないことは悔しかったが、悔いは全くない。清々しい気持ちです。ただ、まだ残り3試合あるので出場して活躍できるように練習をがんばるだけです」と一大決心をあたかも日常の出来事を話すかのように佐藤らしい自然体で語ったが、報を受けた選手らは一様に驚きを隠せなかった。チームで最も佐藤と一緒にいる時間の多い神崎大輔は「最初に聞いた時は『まだプレーできるのでは?』と思いました。かなり衝撃が大きかったです。びっくりして『そうですか』としか言えなかったです…」と振り返ると、野田紘史も「練習で手を抜かないユキさんを見ていると若い自分たちがやらない訳にはいかないという気持ちになる」と続く。

翌6日の練習後には自然と佐藤選手の周りに選手の輪ができ、みな名残惜しそうにいつまでもその場を離れることができずにいた。山口貴弘はその時のことを「ユキさんが引退を決心した理由や現在のチームについて話してくれました。全く重い感じではないんですけどね(笑)チームは今、J1昇格プレーオフ進出の望みは薄いけれども、絶対残りの試合で自分たちの力を出し切って3連勝しようと誓いあっています」と明かしてくれた。

そんな長崎だが、「点の取り方、そして時間帯に関してもこれで注文をつけると選手たちがかわいそう」と高木琢也監督が振り返ったように、前節の愛媛戦は3−0で完勝。攻撃陣の調子がすこぶる良い。だが、高木監督は「東京Vの選手はウチの選手よりも個が強い。組織で戦わなければ負けてしまう」と兜の緒を緩めない。また、昨季まで東京Vに在籍し、9月以降は高精度クロッサーとして多くの得点を演出している石神直哉は「愛媛戦は相手のコンディションも良くないように感じた。1試合だけでは意味がない。これを継続して初めて調子がいいといえる。それよりも、東京Vは若い選手が多いし、残留のために死に物狂いでやってくる」と警戒する。

東京Vでやはり最も軽快すべきは若い両SB。攻撃の基点となっている安在和樹とニウドだろうか。神埼は安在について「強烈。特に安在は何でもできる」と敵ながら評価する。神崎はかつて”荒ぶる若獅子”と形容されたこともあるファイターだが、「今年は落ち着いてプレーできるようになった」と自らの成長を客観的に評価している。明日はこの二人の戦いからは目を離せない。長崎は3バックで東京は4バック。このシステムの違いで生まれるギャップをどのように使うか。それは東京VのSBと長崎のワイドの選手にかかっている。その東京Vを率いる冨樫剛一監督は常に相手のストロングを出させない戦い方をチームに求めている。前節の札幌戦では都倉賢を抑えるなど守備面では充分にそれが出せたといえるが、攻撃ではまたしても無得点。結果、スコアレスドローに終っている。無失点は誇れるものの、得点力不足が深刻な課題となっている。愛媛戦は別としても今季の長崎は東京Vと同様にフィニッシュの精度に苦しんできた。両チームの最後の部分の質にも注目したい。

レジェンドの引退発表を受けて一つにまとまる長崎と、残留の為に死に物狂いでくる東京V。リーグ終盤の醍醐味が詰まった試合。久しぶりの長崎県立総合運動公園陸上競技場で開催される。両チームのサポーターの熱い声援で彩られることだろう。男を見せるのはどちらだろうか。

以上


2014.11.08 Reported by 植木修平
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