富山は11月1日・第39節で今季の最下位が確定した。J3からの昇格クラブがJリーグに承認されれば、降格する。
ハーフタイムと同時刻、1時間早く試合を始めた21位の讃岐が引き分けて確定した。結果を知らせるウエブ速報をスタンドの記者席で確かめた。心は不思議と静かだった。残留争いが厳しさを増す中で、受け入れる準備ができていたのだろう。席を立ちコンコースに繋がる階段を降りる。青色のユニフォームを着た多くの人々でいつものようににぎわっていた。その様子を目にして感情が戻ってきた。
「ありがとう」
わき上がってきたのはそんな皆さんへの感謝の気持ちだった。負けても負けてもスタジアムに来場し、今日もまた応援に足を運んでくれた。選手とスタッフの努力を日々取材してきた者には、彼らの想いが多くの人に届いているような気がしてうれしかった。
思えば開幕10戦目にして今季初勝利を挙げた松本戦の時もそうだった。喜びに沸くスタンドで、会場ボランティアと言葉を交わした。「3点取って1点差まで追い詰められるのもカターレらしいね」とこぼしながら笑みを浮かべていた。いつも支えてくれる人がいる。胸がいっぱいになった。
カターレ富山は2009年から6季戦ったJ2を去ることになる。取材に携わる幸運を得て、勝敗だけでは表せないスポーツのすばらしさを見つけ、記録したいと思ってきた。この期間に、クラブを中心に地域に積み重ねられてきたものがたくさんある。節目となったこの日に、あらためてそれらに思いを馳せた。
以上
2014.11.05 Reported by 赤壁逸朗